約 1,917,281 件
https://w.atwiki.jp/propoichathre/pages/527.html
魔理沙13 13スレ目 297 うpろだ969 「では、僕は里の手伝いしに行くから、気をつけて」 「おう。いってらっしゃい」 もう何かの研究に取り掛かった魔理沙が後ろを向いたまました返事を聞いてから、○○は霧雨邸を出た。 森の中から空はよく見えなかったが、どうやら夜には一雨来そうな感じである。 森の生活が長くなったため、そういうこともわかるようになっていた。 「行く前に、竜神様の像に参っておくかな……」 慣れた足取りで、彼は森の出口に向かっていった。 ○○が霧雨邸に住み始めて結構時間が経つ。とはいえ、半年は経過していないが。 それでも、森自体にも、また魔法自体にも造詣が深くなっていっているのは自他共に認めるところ。 そして何より、霧雨邸が以前よりも住み良い場所になったのは彼の功績だ。 まあ、片付ける側から物が増えていくのだが…… 魔理沙の盗癖も半分になった。正確には、半分彼が返しに行っている、なのだが。 返しに行く際、必要な部分はメモしたりノートにまとめたり、としていたので、彼自身も魔法の基礎が身に付きつつある。 それが良いことかどうかは置いておいて、ともかく、二人の生活は割合順調のようだった。 「……駄目だ……」 本日何度目かの失敗をして、魔理沙は宙を仰いだ。 そもそも、失敗など怖くはない。失敗するなら成功までやれば良いだけの話だ。 駄目なのは他の事に理由がある。 「……ああ、くそ! どうしてこんな…………」 昨晩、何となく訊いてしまったのが悪かったのか。 そのときの会話を思い出しながら、魔理沙はため息をついた。 『お前はさ、何で私だったんだ?』 『何がです?』 『いや、そのー……一緒に住んだりしてるのが、さ』 しばらく魔理沙が研究に入るということで、森の外に行く準備をしていた○○は、ふむ、と考え込んだ。 『何故か、ということですよね? 難しいなあ……』 普段は敬語を使う青年なのだが、できるだけ敬語をやめてくれ、という魔理沙の要望に応えて、少しずつ言葉を変えていっている。 『僕は魔理沙さんを好きになったから。ただそれだけだからなあ』 『…………真っ向から言わないでくれ、何か照れる』 『訊いたのは魔理沙さんじゃないですか……でも、そうだね。魔理沙さんの傍にいたいなって思ってるのは、本当だよ』 そう微笑まれて、魔理沙は表情と返事に困った。 『……そっか』 『ええ、そうです』 結局、魔理沙はその晩、○○の顔を直視できなかったのだった。 「あー……」 机に突っ伏して、意味の無い唸りを上げる。誰もいない、中途半端に片付いた部屋が、何となく無駄に広く寂しく感じた。 「……広いな」 呟く。呟いて、この空間に何かが足りない気になって、自分で不思議な気持ちになった。 魔理沙は研究のときに傍に人がいるのを好まない。だから、その間○○は里に仕事に行く。常の行動だった。 魔理沙もそれをわかっていた。だから何も言わないし、それを当然と取っていたところがある。 (でも、あいつは何処にいるんだろう?) 大抵、神社か香霖堂にいる、という話は聞いていた。 神社は、彼がこちらに来てしばらく世話になっていた場所であるし、今でもちょこちょこ顔を出している。 香霖堂では、霖之助とよく話をしているのも見かけるし、外の物品について彼は結構知っているのでその話もしている。さすがに作り方はわからないようだが。 (それ以外にも、行ったりするのかな……) 少しだけ、不安になる。あいつは佳い奴だ、と彼女は思っている。だから、あいつに想いを寄せるのは、自分だけじゃないんじゃないかと。 一度考え出すと、気になって仕方がなかった。 「……何をうじうじ悩んでるんだ、私は」 そうだ、気になるなら行けば良い。それだけだ。研究は中途になるが、このまま悶々としたまま続けても良い結果は出ないだろう。 すっきりさっぱりしたら、また研究に戻れば良いのだ。 そう決めた彼女は、家を飛び出ると箒に乗って夜を駆けはじめた。 「あれ、ここにはいないのか」 「来て第一声目がそれかい、まったく」 霖之助は、突然の訪問者に大きくため息をついていた。 「いや、○○の奴なんだけど」 「ああ、今日は来ていないな……何だ、また研究で追い出したのか?」 「失礼な、あいつが気を遣ってくれてるだけだよ」 「同じことだと思うよ。まあ、彼も嫌々ってわけじゃないみたいだけどね」 「どういうことだ?」 魔理沙が不思議そうに訪ねると、霖之助は何ともなしに答えた。 「彼は魔理沙がそうやって一所懸命なところを見るのが好きなんだとさ。毎回惚気られる身にもなってくれ」 そう軽口を叩いて、霖之助は、ともかくここには来ていないと告げた。 「里か神社か、じゃないかな」 「そうだな。あたってみる。じゃな、香霖、邪魔した」 そして、曇天の中、一条の彗星のように駆けていった少女を見送って、彼は、やれやれ、と微苦笑を浮かべた。 神社にも、彼の姿はなかった。 「ここにもいないか」 「珍しいわね、魔理沙。一人なんて」 縁側に座っていた霊夢が、茶を啜りながら応対する。 「そうでもないぜ。単独行動はよくするぞ」 「○○さんは?」 「里、かなあ。私はてっきりここに来てるかと思ったんだが」 魔理沙の言葉に、霊夢はきょとんとする。 「○○さん、最近は夕方からはここに一人では来ないわよ」 「え?」 「この意味、わかる?」 微笑った霊夢に、魔理沙は少し考えて――ああ、と呟いた。 「……そこまで気を回さなくても」 「○○さんにとっては大事なのね、きっと」 「……かも、な」 魔理沙はそれだけ呟くと、また箒に跨る。 「邪魔したな、霊夢」 「いいわよ、いきなりなのはいつものことでしょ。ついでにお賽銭とか入れてってもらえるともっといいんだけど」 「今度な」 「はいはい……ああ、魔理沙、雨に気を付けてね。降るわよ」 「珍しいな、お前が忠告なんて。まあ、それでも、私は行かなきゃなんないんだ」 互いに了解した微笑みを浮かべて、魔理沙は再び夜空に上がり、霊夢は静かにお茶のおかわりを淹れた。 「……大丈夫か」 戸口にに立つびしょ濡れの魔理沙を前に、慧音はただ一言そう口にした。 「ああ。すまないが、○○の場所を知らないか?」 「○○? どうした、喧嘩でもしたのか?」 「いや、そういうわけじゃないんだが」 魔理沙は苦笑して、無駄とわかりつつ帽子の水を払った。 「あいつなら、確か集会所にいる。そこで寝ると言っていた」 「そうか。てっきり誰かの家に行ってるかとも思ってたんだが」 「まあ、里にも知り合いは多いしな……だが、あいつらしい言い分でな」 慧音はからかうように微笑した。 「今は、誰かの場所に厄介になるのが、お前以外は気が引けるのだそうだ。だから極力、誰のところにも行かないようにしている、とな」 「私ならいいというわけか、あいつ」 「お前だからこそ、だろう」 「……そか」 魔理沙は帽子を深く被る。表情が見えないように。 「悪い、邪魔した」 「いいや。風邪引くなよ」 「ああ」 わかっているのかいないのか、魔理沙は再び雨の中を飛び出していった。 集会所には、小さな明かりが灯っていた。 「……○○?」 「え? ……魔理沙さん!?」 集会所の隅に荷物を動かしていた○○は、全てを放り出して魔理沙の元に駆けてきた。それが、少し嬉しく感じた。 「何かあったんですか!? こんなびしょ濡れで……!」 「あー、いや、何があったっていうわけじゃないんだが」 帽子を取って、魔理沙は何と言ったものかと考える。 「その、心配になってな」 「心配? 僕が?」 「ああ」 ああ、こんなことを言うつもりではなかったのに。 「お前、人気あるからな、誰かに言い寄られてないか、とか思ってな」 「……それだけのために?」 「ん、いや、まあ、な」 言いたい事が出てこない。何を言いたいのかも言えば良いのかも。 「魔理沙さん」 「え……あ、おい! お前が濡れるぞ!」 抱きしめられて、魔理沙は焦る。○○は濡れるのにも構わず、さらに強く抱きしめた。 「……こんなに、冷えて」 「……雨だからな」 「僕に会うために?」 「…………そうなるか」 「研究まで中断して?」 「失敗続きだったんだ」 「こんなに――こんなに、不安そうな顔で?」 そこまで言って、○○は魔理沙の顔を覗きこんだ。 「そんな顔してるか、私」 「はい」 魔理沙は苦笑して、逆に訊き返した。 「……お前は、どうして、私に付き合ってくれるんだ? 研究のときは追い出して、里でこうして一人でほっといてるのに」 「それでも、帰らせてくれる。傍に居させてくれる」 「私は、お前に何もしてやれないぞ? せいぜい、掃除と洗濯と飯当番を振ってやることぐらいだ」 「それは、楽しいよ。魔理沙さんと一緒に生活できてて。昨日も言ったように、僕は魔理沙さんが好きだから」 「……お前、馬鹿だろ」 「そうかも。でも、何だかんだで、魔理沙さんは僕が傍に居ることを赦してくれるでしょう?」 「…………まあ、な」 魔理沙はそう応えて、逆に○○に抱きついた。 「広いんだ、家が」 「だいぶ片付けたからね」 「おまけに、片付けてくれるでかい図体も見当たらない」 「む、そう太ってはないはずですが」 「背が私よりも頭一つ分以上高ければ十分でかい」 そして、表情を見られないように彼の胸に顔をつける。 「手伝いが必要みたいだ。研究中に、いろいろ周りのことしてくれるのが」 「……それは」 「私はアリスみたいに人形とか操れないしな。誰か要るんだ」 「…………僕は、居ていい?」 「居ないと困る。困るんだ。私の気も散る」 「居たら気が散るのでは?」 「そのはずだったんだが。どうやら、私も変わったみたいだ」 そう、魔理沙は口にした。そうだ。いつの間にか変わってしまっていたのだ。 誰かに邪魔されることが嫌いだったのに。誰かがいると気が散るから嫌だったのに。 いつしか、居ることが当たり前の存在が自分に出来てしまうなんて。 「だから、居てくれ」 「はい」 「……帰ろう?」 「はい。では、少し待ってて。すぐに荷物まとめるから」 ○○は柔らかく微笑んで、自分が放っていた荷物を取りに戻った。 慧音に集会所の鍵を返して、雨の中を二人は急ぎ帰った。 風邪を引かないよう早めに交代で湯を取って、今日はもう研究にならないからと一度中断し、それぞれの部屋で休む、はずだったのだが。 「……どうしてこういうことになってるのかな」 「何がだ?」 「僕が魔理沙さんの抱き枕になっていることについて、です」 ○○の背中に、魔理沙が抱きついている。ベッドの上で横になって。 「少し大きすぎる枕だが、暖かくて丁度良いぜ」 「それは光栄。でもこの際言いたいのはそういうことでなくて」 密着体勢がヤバいのですが、と心の中だけで思ってみる。 「……戻ります」 「駄目だ」 「…………このままだと理性がヤバいです」 「それでも」 いやに強情な魔理沙に、彼は気を引かれる。彼女が強引なのは今に始まった話ではないが、今日は何か違う気がする。 「……理由を訊いても?」 「…………お前を連れて帰って来た意味がないだろ、離れてちゃ」 「………………」 「……お前が傍に居たいって思うくらいには、私もお前に傍に居てほしいって思ってる。それだけだ」 魔理沙は、自分が○○の傍にいないときに、誰かが傍にいるかもしれない、ということが不安だった。 それを素直に言うことはないから、○○にそれが正確にわかるわけではない。わけではない、が。 「……僕が好きなのは、貴女だけですよ」 「ん」 魔理沙の返事は頷きと、摺り寄せてきた頬だけだった。それだけでわかりきっていた。 「こっち、向かないのか」 「……いいんですか?」 「顔、見てたいんだ」 魔理沙の要望を受け入れて、○○は身体を反転させた。向かい合う形になる。 「ん、こっちの方が落ち着くな」 「それなら、いいけど」 「うん、落ち着く」 ○○の片腕を枕にするような形で、魔理沙は彼の胸に擦り寄ってきた。 腕の中にすっぽりと収まってしまった魔理沙を見て、○○は、こんなに小柄だったかと感じた。 彼は思う。力もなく、能力もないけれど、僭越かもしれないけれど。 「魔理沙さんの落ち着ける場所かな、僕は」 「んー? そだな。落ち着く。お前は落ち着かないのか?」 「……そうだね、落ち着く」 そう言って、○○は腕の中の魔理沙を抱きしめた。 翌朝。 「んー、よく寝た。何だ○○、寝不足か?」 「若干……」 「寝付けなかったのか? お前寝付き悪かったっけ?」 「……そういうわけではないけど。朝ご飯用意してくる……もう研究に掛かるでしょう?」 「ああ。しかし、よく眠れたなー。またよろしくな」 「…………うん、いいよ。僕の理性が持つ間なら……」 最後の一言は、あまりに小さかったので魔理沙には届かなかったかもしれない。 ともかく、霧雨邸の朝は、今日も平和だった。 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「おーっす」 「あ、こんにちはー」 「やっと着たわね」 少し遅れて境内に到着した魔理沙と俺。 出迎えたのは早苗と霊夢だった。 「やっとって言ったって。直前まで来るなって言ったのは霊夢だろ?」 「まあまあ、とりあえずこちらへどうぞ」 早苗の先導でたどり着いた裏庭には、大きな階段状の枠組みが組み立てられているところだった。 「おー。リアルでひな壇か。豪快な事考えるなぁ」 「ま、一年に一度の事だしね」 見上げる魔理沙に、霊夢は楽しそうに返している。 「で、私は三人官女でもするのか?」 「いいえ」 「じゃあ…大臣か? 私には似合わないと思うんだが」 「そこも他の人が居ますよ」 「じゃあ、どこに?」 「空いてるじゃない。打って付けの場所が」 ……待て。まさか。 「……?」 本当にわからないらしい魔理沙が軽く首を傾げると、霊夢はため息を吐きながら指差した。 「ほら、あそこ」 「あそこって……」 そこは最上段の咳。と言う事は。 「魔理沙さんがお雛様で、○○さんがお内裏様ですよ」 「な……っ!」 早苗の付け加えで、魔理沙の顔が一瞬で真っ赤になる。 「どうせ公然の仲なんだし。何を今更恥ずかしがってるのよあんたは」 本人からすれば唐突なんだろうなぁ。 真っ赤になったまま応対出来ずにいる魔理沙の横で、俺は思いの他落ち着いて自体を把握していた。 「○○さんは驚かないんですね」 「いやぁ。横でここまで驚かれるとなぁ……。反対に驚くチャンスを見失った」 「それも貴方らしい、かも知れないわね。 さ、魔理沙。覚悟しなさいよー」 苦笑で返した霊夢は、まだ真っ赤なままの魔理沙の手を取って神社を目指す。 「ちょ、何を……?!」 「もちろん、着替えるのよー。紫と霖之助さんが全員分調達してきてくれたわ」 「えええええええええええ!?」 助けを求めるようにこちらを振り向く魔理沙。 ……すまん。俺には霊夢を止められん。 合掌。 「てことは、俺のも?」 「はい。こちらに準備していますのでご案内しますね」 「応」 早苗に連れられ、少し離れたところに向かう俺。 「さー!皆さん準備は出来ましたか?」 撮影担当の文が、壇の前に集まった皆を注目させる。 「それでは、本日のお雛様の入場でーす!」 文の言葉と共に、神社の襖が開き霊夢が現れる。 それに一歩遅れて、魔理沙の姿が。 「おお……」 思わず、見とれて感嘆のため息を漏らしていた。 美しい、とでも言うべきなのだろうか? どうも、言葉にしてしまうと無粋な気までしてくる程に似合っていた。 「どう? ○○さん。 私が選んだ着物よ」 「……ああ」 霊夢に連れられてここまで来た魔理沙は、俺の目を見て顔をそらした。 「……綺麗だぞ。魔理沙」 「……あ、ありがと」 視線を逸らしたまま、小さく呟く。 やべぇ。かわいい。 「ではでは!お内裏様にはお雛様を壇上までご案内お願いしまーす」 「りょうかいー」 段取りを聞いていた俺は、魔理沙の横に行って軽くかがむ。 「へ? ひょあぁっ!?」 唐突で変な声をあげる魔理沙を無視して、抱き上げる。 「おー。お嬢様抱っこ」 「ちょ、○○っ! 恥ずかしいだろ下ろせよー!」 「暴れるなよ、な」 何とか落とさないように頑張って、魔理沙に耳打ちする。 「……。」 「!!!!!!」 はい、真っ赤になって大人しくなりました。 「……何言ったの?」 「ひ・み・つ」 半眼で睨む霊夢に笑いかけてから、足を踏み出す。 「じゃ、行くぞ魔理沙」 コクコクと、頷く魔理沙を抱き上げて段を上がる。 …………結構、一段一段高いな。 それに衣装が動き難い。 「よ、っと」 お雛様の席に魔理沙を下ろし、自分はお内裏様の所へ…… 「○○」 「ん?」 小さな声に振り向くと、魔理沙が小さく呟いた。 「わた──」 「はいでは、皆さん各自の場所にお願いしますー!」 文の声に邪魔されて聞き取れなかったが、意味は伝わった。 「ああ」 俺は出来るだけ優しく微笑んで、所定の位置に座る。 「それでは、記念撮影しますねー。 はい、チーズ!」 こうして撮影された写真は、今でも霧雨邸の写真立てに収められている。 貴重な体験をさせてくれた幻想郷の皆に感謝、だな。 ☆個人的ひな壇のメンツ☆ ・お内裏様…○○ お雛様…魔理沙 ・三人官女…八雲紫、西行寺幽々子、レミリア・スカーレット ・五人囃子…八意永琳、みすちー、ルナサ、メルラン、リリカ ・右大臣…風見幽香 左大臣…藤原妹紅 ・仕丁…博麗霊夢、東風谷早苗、鍵山雛 番外編 「……なあ、妹紅」 「なんだ?慧音」 「これは、何かのイヤガラセか?」 「……私に言われても、な」 ・牛車…上白沢慧音 ─────────────────────────────────────────────────────────── 13スレ目 583 うpろだ1008 「ごちそうさま」 「あれ、もういらないのか?」 「ああ、あんまり腹減ってないんだ」 机に茶碗を置いて魔理沙はそう答えた。 変だ、何か変だ。いつもは3杯くらいは綺麗に平らげる魔理沙がたった1杯、それも半分くらいしか入れてないのにだ。 心配になって俺は魔理沙に問いかけた。 「大丈夫か? どこか調子よくないんじゃないか?」 「そんなことないぜ? ほら、こんなに元気だ」 その場でいきなり体操を始めた。何かあやしい。 「なぁ、何か隠してないか? 俺でよければ相談にのるけど?」 「べ、別になにもないぜ? ○○は心配性だな。あんまり心配ばかりしてるとハゲるぜ?」 「ぐっ……まあ魔理沙が平気だっていうなら」 「おう、それじゃ今日はパチュリーのところに行ってくるぜ」 「いってらっしゃい」 颯爽と飛び出していった魔理沙を見送り、やっぱりちょっと心配になって少し考えることにした。 魔理沙がおかしくなったのはこの間の宴会の後からだ。 前までは普通に飯を食べていたのに、今は腹八分目、いや、もっと少ないかもしれない量しか食べないし 霊夢のところに遊びに行ったときも出された茶菓子に一切手をつけなかった。いつもなら食いすぎだって怒られているのに。 しかし、宴会で何かがあったことは確かだが情報が少なすぎるため何故食べる量を減らす理由がわからない。 これ以上は無駄だと考えるのをやめて家事をすることにした。 掃除、洗濯を終えて一服していると猛烈な勢いでドアを叩く音が聞こえた。 何事かと慌てて玄関のドアを開けるとそこには息を切らした小悪魔がいた。 「おう、こぁじゃないか? どうしたそんなに息を切らして」 「た、大変です○○さん! 魔理沙さんが倒れました!!」 一瞬小悪魔が何を言っているのか解らなかった。そしてその言葉を理解したとき俺は駆け出していた。 「あっ、○○さん!?」 くそっ、やっぱりどこか悪かったんじゃないのか!? なんで相談してくれなかったんだ!? 魔理沙!! 張り裂けそうな思いを胸にわき目も振らず俺は紅魔館に向かって走り続けた。 「貧血ね」 部屋に駆け込んできた俺に対してパチュリーはアッサリとそう告げた。 「はう~○○さん速すぎますよぅ~」 振り返るとヘロヘロになった小悪魔がいた。 「こぁ、元はといえばあなたが悪いのよ」 「うう、すみませんパチュリー様……」 要約すると、紅魔館にやってきた魔理沙はもっていくぜー、もってかないでーのいつものやり取りを済ませて本を吟味していたのだが 急に立ちくらみを起こして倒れたところを小悪魔が目撃してパニックを起こしてしまい パチュリーに魔理沙が倒れたことを伝えるとそのまま俺のところに飛んできたという訳だ。 「だから別に何かの病気ってわけじゃないわ。そんなに心配しなくてもいいわよ」 「そうか」 ベットで寝ている魔理沙に顔を向ける。パチュリーよりも顔色が白くみえる。 「へへ……ドジっちまったぜ」 「まったく、ちゃんと飯を食わないからだ。何で食べないのか今ここではっきり聞かせてもらうからな」 「えー、あの、その、あれだ、なんというか……」 ごにょごにょと言葉を濁し、はっきりと言わない。そこにパチュリーの横槍が入った。 「この間の宴会でアリスに言われたことをまだ気にしているのよ」 「パ、パチュリー!?」 慌てて止めようとするがまた眩暈を起こしたのかポスンとベットに倒れこんだ。 「詳しく聞かせてくれないか?」 「いいわ。私と魔理沙、アリスと3人で飲んでいたときに言われたのよ。最近魔理沙太ったんじゃないって」 「なるほど。だからダイエットを始めたと」 魔理沙を見ると布団で顔を隠しているのだがちらりと見える耳が真っ赤に染まっているのでどんな顔をしているのかは想像がつく。 「でも、別に見たところ太ったようには見えないけど? それに何で俺に黙っていたんだ?」 「……○○、あなたもう少し女心を理解しなさい。太ったからダイエットを始めたなんて恋人に知られたい訳ないでしょ。 それじゃ咲夜に何かスープでも作ってきてもらうから、それまで魔理沙をお願いね」 パチュリーは席を立ち、小悪魔を連れて出て行った。 「で、どこがぷよぷよになったんだ?」 「ひ、ひどいこというな!? ……お腹周りがちょっと」 「ふーん」 俺は布団の中に手を入れて魔理沙のお腹をさわった。 「ひゃっ!? ま、○○!?」 「んー、別に変わんないと俺は思うけど」 「い、いきなり何すんだよ! ……○○がそう思うだけだ。やっぱり太ってるんだよ」 「あのな、魔理沙? あんまり無理なダイエットは体に毒だ。それに他の大事なところが大きくならなくなったりするんだぞ?」 「う……それは困るが……でも……」 「……これだけ言ってもわかりませんか。じゃあ仕方が無い。その体に教えてあげましょう」 「え、○○なにを」 いうなり、俺は布団を剥ぎ取ると魔理沙に馬乗りになった。 「え? ちょ、○○? な、何をするんだ?」 魔理沙の問いかけを無視してわき腹に手を当てるとおもいっきりくすぐってやった。 「あははははっ!? な、なにを、や、やめっ、あはははっ、くすぐった、も、もうや、やめっ、いひひひっ、 だ、だめっ、しっ、死んじゃ、死んじゃうーーーーっ! あはははっ!!」 「はいはい、そこまでよ。また倒れられたら迷惑だからそれ位にしときなさい」 パチュリーからレフェリーストップが入ったのでマウントを解く。 お腹を押さえてピクピクと痙攣している魔理沙に言った。 「今おもいっきりくすぐってみたけど贅肉なんて摘めなかったぞ。 結局魔理沙の思い込みだったんだから無茶なダイエットは止めるんだ。解ったか?」 「はぁ、はぁ、わかった……」 「じゃこれ食べて少し休んだら帰って」 そう言ってパチュリーはスープを渡した。 「おかわりだぜー!!」 「……スマン、これで打ち止めだ」 ダイエットを止めるということで夕飯は豪勢にバランスと量を考えず作ってみたのでが甘かった……。 あっという間におかずとお櫃をカラッポにしてまるで幽々子が乗り移ったかのような恐ろしい食いっぷりを見せ付けてくれた。 「あー、やっぱり○○の作ったメシはうまいなー。いくらでも食べられるぜ」 ポリポリ、ズズーとたくわんと味噌汁を食べながらそんなことをのたまう魔理沙。 「あのなぁ、いくらなんでもこれは食いすぎだぞ。さすがに太るかもしれん」 「う……たしかにちょっと食いすぎたかな? でも今日だけだし○○はいつもはちゃんとバランス考えてくれるしな」 と、茶碗を置いて魔理沙がこちらを見つめてきた。 「それに、太ったかどうか○○が私のお腹を確かめてくれればいい……さ、さっそく触ってくれないか?」 「あ、ああ……」 魔理沙はスカートを捲りあげてお腹を見せているのでそっと手を当てる。 「あっ、やっ、く、くすぐったいぜ」 「まぁ、ちょっとぽっこりしてるけどこれは食べたばかりだからだろうな」 「ああ、今度からちょくちょく確かめてくれ……」 しかし、この状況を誰かに見られたらまさにごちそうさまってところだろうな…… ─────────────────────────────────────────────────────────── うpろだ1032 「…霧雨さん? 部屋の片付けを手伝えって言ってたけど、 これ、片付けってレベルじゃ済まないような……」 「う、うるさいぞ、○○! 良いか? こういうのはしっかり計画を立てれば簡単なんだ」 「計画って…。じゃあ、その計画とやらを聞かせてくれよ……」 「どかす、掃く、拭く、戻す!」 「…………」 俺は魔法の森の霧雨亭に、掃除の手伝いで呼ばれた。 霧雨亭内部は物が散らばって残念な事になっており、年頃の女の子が住んでいるとは到底思えない。 魔理沙本人は気にしていないようだったが、おおかた巫女や人形遣いにでも咎められたのだろう。 今日はこれらをどうにかすると言っていた。 「ちょっと霧雨さん。この本はどうする? 捨てちゃうよ?」 部屋の隅に積まれた本を指差して俺は魔理沙に尋ねる。 「馬鹿かお前! 本とかは絶対に捨てちゃあ駄目だぜ。 本は知識の塊そのもの。乱暴に扱う事なかれ、だ。大体それはパチュリーから借りてる大切なものなんだ」 確かに本を捨てるのは良くないな。言葉のあやだとしてもまずかった。 しかし、その手には乗らないよ。 「……あとで紅魔館に持って行って、門番さんに返してくれるように頼んでくる」 こんな風に溜め込むから部屋が散らかるんだ。 「わ、わ、止めてくれ! 分かった、自分で行くから!」 驚くべき速さで俺の手から回収していった。 これじゃあ紅魔館の魔女さんも大変だ。 見回してみると、魔法の実験道具やキノコだけでなく本も転がっている。まだ他にも紅魔館のものがありそうだ。 …ん? あれは……? あぁ、あれが霊夢さんの言ってたやつか! そうだな、あれを使って……。 よーし! お仕置き代わりに、ちょっと意地悪をしてみるか。 「じゃあ、このぬいぐるみは? かわいいクマのぬいぐるみ」 魔理沙はいつも、このクマのぬいぐるみと一緒に寝ている。 ぎゅっと抱き締めて、それはそれは幸せそうに夢の中へと言うわけだ。 本人は恥ずかしいと思っているらしく、友人にしか教えていないのだが……。 そこを、すこーしだけわざとらしく攻めてみた。 「あ、それは……」 焦っているらしく、目が泳いでいる。顔も若干赤い。 「霧雨さんの、なの?」 「いや、ははは、何と言うか……」 耳まで赤みが到達、組んだ指がせわしなく動き始めた。 ……頃合いかな。 「かわいいなぁ」 魔理沙の目を見てそう言った。 「……は?」 「かわいいなぁ。本当にかわいいなぁ。 優しそうな瞳がたまらないよ。それになんだか良い匂いがするし。 ほっぺたとか柔らかそうでキスしたいなぁ。耳とかはむはむしてあげたいなぁ」 魔理沙から目は反らしてない。 むしろ、嘗め回すようにねっとりとした視線を送る。 「ばっ、ばばばか野郎! いきなり何を言い出すんだお前は! いきなり本当に何をいきなり……!」 とうとう魔理沙は首のあたりまで赤くなってしまった。 スカートの端を握り締めていたが、目を合わさないように近づいてきて無言で俺をポカポカ叩く。 まったく可愛い人だ。もう少し見ていたい。 だけど、そろそろ本当の事を教えてあげよう。 「いたた、何だ、止めてくれ。違う、ぬいぐるみの事だ」 「……は?」 「だから、霧雨さんの事じゃなくて、ぬいぐるみがかわいいと言ったんだ」 口をポカンと開けて、俺の言葉を噛み砕いている様子。 そして吟味し終わると、 「………くっ、この野郎! ばかにしやがって!」 ちょっと怒った風にまたポカポカ叩いてきた。 そんな姿も愛らしいと思う。 うん、愛らしいよー……って痛い痛い! なんか本気で殴ってません!? あっ、そこは! そこは蹴り上げちゃダメぇぇ!!!!!!! 「ぐふっ!」 ……――――。 ■ ■ ■ ずさんな計画はやはり意味が無く、大掃除が終わったのは七時をまわってからだった。 それでも霧雨亭は朝に比べ、大分整頓されたと思う。本は本棚へ、カップは食器棚へ。 ベッドの下にあったドロワーズは……。べっ、べべ別に、右のポケットは膨らんでいないぞ。 「悪いな、遅くまで縛り付けて。助かったぜ」 「いや、良いんだ」 「そうか、ありがとうな」 片付いたテーブルでお茶を飲む俺たち。 他愛ないおしゃべりを楽しんでいると、魔理沙が急に真面目な顔になった。 「……あのさ、あのぬいぐるみだけどさ……。恥ずかしいけど、あれは私の大切なものなんだ」 どうやら、ぬいぐるみの事を自分から説明したかったようだ。 「そのー……、毎晩一緒に寝ててな。あれを抱き締めてなきゃぐっすり眠れないんだ」 恥ずかしさを我慢しながらも自身の秘密を打ち明ける魔理沙に、○○は言葉にし難い感情を覚える。 さっきの意地悪、謝んなきゃな。 「……俺も言わなくちゃいけないな。霧雨さん、俺はそれを知っててわざと訊いたんだ」 「は? って言うと、なに、お前知ってたのか……」 首を縦に振って○○は続ける。 「ちょっと霧雨さんを困らせたくて……。 神社の巫女さんに教えてもらったマル秘ネタを使って意地悪しちゃったんだ。ゴメンな」 「じゃ、お前は最初から……。つうか霊夢は何ばらしてんだよー……」 うなだれる魔理沙。 やっぱり言わないほうが良かったのかな。 魔理沙は何とも複雑そうな顔をして頭を抱えていたが、やがて俺に目を合わせてこういった。 「まぁ、良いや……。そうなんだ、まだ私はちょっとガキっぽいところがあるんだ。 家に一人で寂しい時は、ぬいぐるみに話しかけたりしちゃってるんだ…。アリスみたいだろ?」 そして、ちょっぴり自嘲的に微笑んで、 「……嫌いか、そんな奴は?」 そんな。 嫌いだなんてあり得ない。 だって、俺は―――。 「バカだなぁ、嫌いなはずないだろ?」 目の前の金髪の女の子がちょっとだけ帯びていた緊張は、その言葉で霧散した。 ニカーッと口を三日月形にして、そのくせ目はちょっと潤んでる。 やっぱりだ。やっぱり可愛いな。 澄んだ瞳。きめの細かい頬。薄桃色の唇。 あの時言った事は、ぬいぐるみなんかの事じゃないんだよ……。 「○○。もう遅いし、今日は泊まっていけ」 そのまま夕食もごちそうになり、気づけば十時を回っていた。 お腹も膨れ、適度に眠いこの身体で帰るのは確かに面倒だ。 「なぁ、泊まっていけよ。良いだろう?」 「そうだな、せっかく掃除したんだし。 邪魔じゃないなら泊めてくれよ。散らかる前の霧雨さん家で寝るのは、めったに出来ない経験だしな」 なんつってとか言いながら、俺はぐるりと室内を見渡す。 うん。布団を借りて、それにくるまって寝れば床でも悪くないはずだ。 「なっ、失礼だな。これでもベッド周りはいつも綺麗にしてあるぞ」 まぁそうだろうなぁ。流石に寝る場所は気を使ってるはずだ。 今日だって、あそこはホコリを掃いただけでOKだったし。 「だから大丈夫だ。一緒に寝ようぜ?」 うんうん、一緒に寝よう。 ……ん? 一緒に? 「……は?」 「……お前と一緒に寝たいんだ」 「……え、ちょっと?」 ○○は戸惑いを隠せない。 一方魔理沙はと言うと、熱っぽい眼で○○に視線を注いでいる。 もう完全に女のそれだ。 「……あのな、一緒の布団にくるまって、こう、抱き合いながら、さ」 机に置いた俺の手に、自分の指を絡めてくる。 引っ込めようとするとガシッと掴んで逃がしてくれない。 魔理沙は体を乗り出しているから、彼女の吐息が手にかかる。 「枕だって一つしかないんだ。もうこれはくっ付いて寝るしかないぜ。ふふ、恥ずかしいな……」 「ばっ、ばばばばか野郎! 何をいきなり本当にいきなり何を!」 そんなの、そんなのまだ早すぎる。 いくら魔理沙が箒で飛ぶのが速いからって、そっちははやまっちゃいけねえ! 大丈夫! そんな『私、もう子どもじゃないんだよ?』みたいな表情になんか負けない! 魔理沙は貞操はこの俺が守る! だから、ここはしっかりと、せーのっ、 「はやまっちゃ……」 「と、あのぬいぐるみが言ってるんだ」 途中から俺の声がかき消された。 魔理沙はニヤリとし、してやったりとでも言いたげだ。 「……え? ……つまり、どういう事?」 「ははは、私もちょっぴり○○に意地悪がしたくなったのさ。 お前、顔真っ赤にしながらあたふたしてたぜ」 俺は指摘されて顔を押さえる。 気づかなかったけど、かなり上気しているようだ。 「なっ! ……くそ、仕返しとは趣味が悪いな」 魔理沙は楽しそうに笑ってやがる。 あんな顔を見たら、怒るにも怒れないじゃないか。 「まったく、やっぱり勝てないよ。……でも、本当に泊めてくれるのか?」 「ん? あぁ、それは構わないぜ。 引っかかったんだから、ちゃんとぬいぐるみと寝てもらうけどな」 そこは譲らないのね。 「はいはい、分かりましたよ。 ……あれ、でも霧雨さん? あんた、ぬいぐるみがなきゃぐっすり眠れないって……」 重大な事に気づいた。ぬいぐるみと一緒に寝るという事は、結局……。 「ま、そういう事だな……。 お前はぬいぐるみと寝る。そして私もぬいぐるみと寝る。……悪いか? それにだな、もういい加減魔理沙って呼んでくれよ。むず痒くて堪らん」 何ともないような口振りで話すけど、魔理沙の頬はまた赤くなっている。 「き、いや、魔理沙……」 「お、お前もあれを抱きしめて寝てみろ。ふかふかしてすごくいいぞ。 ……べ、べつに、わわ、私ごと抱いても良いぜ?」 だ、ダメだ。……もう我慢できない。 「やっぱりぬいぐるみだけかな……? わ、私も、かわいくないか……?」 「魔理沙ァァァァァァァ!」 ─────────────────────────────────────────────────────────── うpろだ1114 とある暇な日に。 寝転がりながら厚めの本を眺める魔理沙に声をかける○○。 ○○「……何をそんなに、目を輝かせてるんだ?」 魔理沙「えっ? あ、あー……いやぁ、ちょっとな」 ○○「ふむ。外の世界のカタログか。アクセサリー関係なのな」 魔理沙「私だって、こういうの見てわくわくしたりするんだぜ」 ○○「えーと、コンセプトは『アフォーダブルで、ファッショナブルなラグジュアリー』 さりげないトレンド感が個性的、とな。日本語か、これ?」 魔理沙「さあ? でも、これとか結構可愛いと思わないか?」 ○○「……可愛いっちゃ可愛いけど」 魔理沙「けど?」 ○○「こーいう派手なのは、魔理沙にはまだ早いんじゃないか?」 魔理沙「うううううう。どうしてそういうこと言うかなぁ」 ○○「すまんすまん、別にアクセサリーをすることにとやかく言うつもりはなかったんだ」 魔理沙「どうせ私はちんまいですよ」 ○○「しっかし、なるほどねぇ……」 魔理沙「何か企んでるだろ」 ○○「いんやー、何でもゴザイマセンよ」 魔理沙「……ならいいけど」 数週間後。 ○○「魔理沙、誕生日おめでとう」 魔理沙「……へ? あ、あぁ。そういえばそうだっけ」 ○○「自分で忘れてたのかよ」 魔理沙「まあなぁ、祝ってくれる人なんか殆どいないし。 そもそも○○は誰から誕生日のこと聞いたんだ?」 ○○「霖之助さんからな」 魔理沙「そーなのかー」 ○○「まあ、それは置いといてだな。……これ」 魔理沙「お、プレゼントか。開けてみても?」 ○○「そりゃいいだろうさ。魔理沙にあげるんだからな」 魔理沙「ずいぶんちっちゃい箱だけど」 ○○「お前の言い方かたからすると、プレゼントにも火力が必要なわけか……」 魔理沙「どれどれ。あ……これって……指輪?」 ○○「まーな」 魔理沙「随分シンプルなんだな」 ○○「気に入らなかったか?」 魔理沙「そんなわけないだろ。でも、指輪にもサイズがあるって……知ってるよな? 私のサイズなんて教えた覚えがないんだが」 ○○「それは、勘で」 魔理沙「入らなかったらどうす……いや、何でもない」 ○○「あんまり気にするなって。金属アレルギーじゃないよな?」 魔理沙「ないない。うーん、ちょっと中指はキツイか」 ○○「他の指は?」 魔理沙「……え?」 ○○「ほら、ぴったりだ。うーん我ながら良いセンス」 魔理沙「…………」 ○○「どうした? ものっそい複雑そうな顔してるけど」 魔理沙「○○、これ、どういう意味かわかってやってる?」 ○○「意味? って、別に左手の薬指に指輪を…………あ」 魔理沙「わざとだろ?」 ○○「ち、違うぞ。それ以前にどうやって魔理沙の指のサイズを測るんだよ!」 魔理沙「何度かチャンスはあっただろ!」 ○○「いやいやいや! そもそも、どうやって測ればいいか解らないし!」 魔理沙「とっ、とりあえずありがとうな!」 ○○「ああ、どういたしまして」 魔理沙「でも……意図的じゃないなら、そういう意味じゃないのか……」 ○○「本当にそんなつもりじゃなかった。こないだアクセサリーに興味持ってたみたいだったし、 誕生日も近かったから、プレゼントしたら喜ぶだろうなぁ――ってくらいにしか考えてなかった」 魔理沙「うん。嬉しいぜ?」 ○○「だけど訂正」 魔理沙「ん?」 ○○「そうだなぁ……俺が一人前になるまで随分かかるだろうけど、それまで待っててくれるか? その時には、ちゃんとした給料三ヶ月分のものを、左手の薬指に嵌めてくれると嬉しい」 魔理沙「…………」 ○○「ダメ、か?」 魔理沙「……もちろん、良いに決まってるんだぜ」 それから暫くして。 よーむ「幽々子さま、さっき魔理沙が嵌めていた指輪なんですが、何か呪術的な意味でもあるのでしょうか?」 ゆゆこ「ええ、そうねー」 よーむ「それはどういったモノなのでしょう」 ゆゆこ「うーん、その存在を確認するだけで、気分が高揚したり、実力以上の力を発揮できる――ってとこかしら」 よーむ「私にも使えるでしょうか?」 ゆゆこ「妖夢にはまだ早いかしら、ねー」 よーむ「?」 ゆゆこ「あれはね、『予約済み』って意味なのよ」 よーむ「???」 ───────────────────────────────────────────────────────────
https://w.atwiki.jp/frontmission3/pages/225.html
|フォーラム|メール|ネットワークショップ|デスクトップ|シミュレーター|パスワード一覧| エマ編 STAGE05~|STAGE10~|STAGE12B / 14A~|STAGE23~|STAGE31~|STAGE35~|STAGE39~|STAGE45~|STAGE51~|STAGE58~|STAGE61~|STAGE64~ アリサ編 STAGE04~|STAGE09~|STAGE18~|STAGE25~|STAGE29~|STAGE35~|STAGE38~|STAGE41~|STAGE46~|STAGE54~ アリサ編 STAGE04~ パーツ ボディ|Lアーム|Rアーム|レッグ|バックパック 武器 グリップ|ショルダー アイテム アイテム コンピュータ コンピュータ パーツ ボディなし 目次へ Lアームなし 目次へ Rアームなし 目次へ レッグなし 目次へ バックパックなし 目次へ|上へ 武器 グリップなし 目次へ ショルダーなし 目次へ|上へ アイテム アイテム 名称 価格 容量 効果 備考 ミサイル弾 100 2-------- ミサイルの弾をMax補給する リペア 100 1-------- 1パ-ツに対しMaxHPの50%回復する リペアMax 200 2-------- 1パ-ツに対しHPを全回復する リバ-スLow 160 2-------- 破壊パ-ツを修復しMaxHPの25%回復する リバ-スHigh 300 3-------- 破壊パ-ツを修復しMaxHPの50%回復する リバ-スMax 400 4-------- 破壊パ-ツを修復しHPを全回復する リカバ- 80 1-------- パイロットHPを50%回復する リカバ-Max 140 2-------- パイロットHPを全回復する 目次へ|上へ コンピュータ コンピュータなし 目次へ|上へ
https://w.atwiki.jp/orz1414/pages/237.html
里のはずれの目的地。男が一人ぽつんと焚き火をしているのが目に入った。 上空の私に気がついて、露骨に首をたれる。 思わずニヤリとしながら男の傍まで降りていく。 「珍しい奴が珍しい所で珍しい事してるな」 「騒々しい奴が騒々しく現れて騒々しく近づいてくるな」 「そんなに褒めるなよ。照れるじゃないか」 「褒めてねえよ、魔理沙」 いつのも挨拶を済ませて、私は焚き火から突き出ている一本の枝に目をとめた。 「で、まだ焼けないのか?」 その先に突き刺さっているであろう物体の事を聞くまでもない。 間違いなく焼き芋だ。 「一応言っておくが、一つしかない」 「私のために焼いておいてくれたんだろう? 愛されてるな」 そういって焚き火に近寄り手をかざすと、後から聞こえよがしなため息が聞こえた。 いつもの諦めた合図。今日も私の勝ちだ。 「どれ、もういいか?」 「あぁ、もういいぞ」 そう言って男は焚き火から枝を引っこ抜く。その先には芋の形をした新聞紙。 私はそれを受け取って新聞紙をはがしていく。 「お、美味そうだな。ていうか、新聞をこんなふうに使ったら、文が怒るんじゃないか?」 「古新聞の有効活用だ。むしろ褒めてくれるさ」 「そうかね?」 まぁ、むしろ気にしたりしないのかもしれない。 「おお。美味そうだな。 よし、お前にも半分やるぜ。バレンタインだ」 一日遅れだけどな。とは口に出すまでもなかった。 「一日遅れの上に元々俺のだよ」 「まぁいいじゃないか」 「いいけどな」 半分に割った焼き芋を手渡し二人でかぶりついた。 「それにしても美味いな」 「あぁ。美味いな」 「風情があるからかね」 「お前と一緒だからな」 ………… 「照れるなよ」 「いや、無理だろ。照れるぜ。というか恥ずかしい奴だな。それにキザだぜ」 「焼き芋うまいなぁ」 「お前も照れてるんじゃないか?」 「ま、な」 6スレ目 770 ──────────────────────────────────────────────── 「茸狩りに行こうぜ」 霧雨魔理沙が自由奔放、且つその場の気分に合わせて行動をしていることに加え、彼女の使用する魔法に魔法の森の茸が必要不可欠である事を考えれば このような発言が出てくることも至極当然、そうでないのがおかしいとも言える。 それでも彼女の傍らについている男――○○が頭を抱えるのは仕方が無かった。 なぜなら……… 「だからと言って人が気持ち良くまどろんでいる時にわざわざ起こしにくるんじゃなぃ……」 そう、今は深夜なのだ。 もう少し詳しく言うなら、草木も眠るような時間帯であるということぐらいか。 「全くお前はいつもいつも突然というか何と言う、っくあぁぁ……」 注意の声も語尾には覇気が無くなっている。 彼が浮かべた欠伸の数はついに二桁に突入し、目尻に浮かんでいる涙もその眠気を存分に表現していた。 「別に普通だぜ?」 だがそんな事でかの霧雨魔理沙が反省、まして罪悪感を感じるわけも無く、夜中であっても白昼と変わらぬ姿を見せている。 寧ろ二割ほど元気が増している様にさえ感じるのは、きっと隣の人物と相対的に見ているからなのであろう。 「そう思うのはお前だけだろうよ。…ったく、何で俺がこんな事……」 一方の○○はさっさと事を済ませて再び心地よい夢の世界にダイヴを決め込みたかったので、眠たげながらも手をせかせかと動かした。 寝ている彼を叩き起こす魔理沙も魔理沙だが、それに付き合ってわざわざこうして苦労している彼も大概である。 というのも彼には彼女の申し出を断れない理由があるわけで。 「当たり前だろう。恩義ってのは返すためにあるんだぜ?」 ここに訪れた当初身寄りの無かった○○に雨風凌げる家屋と一日三食の食事を提供しているのは、何を隠そう第一発見者の霧雨魔理沙なのだ。 その対価として何かを支払うのは人道的にも道徳的にも当然であるのだが、 「だからってこれは過剰労働じゃないのか…」 やっぱり彼は納得がいかなかった。 それもその筈、魔理沙の要望はどれも度を越えたものばかり。 初めの内は納得していたものだがそれが次第に無理やりになり、果てには自分に言い聞かせるのも諦める。 そりゃ愚痴もこぼれるし胃も痛むってもんである。 「それはお前の考えすぎだ。物事は客観的に捉えなくちゃいけないぜ?」 「誰がどう見ても世論は俺に味方すると思うんだが」 「それこそが自己中心的な思考ってやつだ」 魔理沙が屈み込んで茸の採取に勤しむ○○の顔を覗き込んで意地の悪い笑みを浮かべる。 ああ言えばこう言う。屁理屈はその弾幕の如き力技で押し通す。 それが霧雨魔理沙、其の人となり。 だから堂々と在りもしない胸を張って泥棒家業などという悪行を罪の意識など感じずに続けられるのだろう。 単に、神経が図太い。 いい加減自分の反論も徒労にしか成らない事を彼は徐々に認識し始め、大きな溜息で会話を締め括った。 ―――もう籠も一杯だ。 「もう十分だろ、帰るぞ」 一言だけ吐き捨て、○○は魔理沙からの返答も待たずに一方的に歩き出す。 少々ぶっきら棒と言われればそうかもしれないが、眠気と疲労がピークに達している彼にとってはその対応はまだ穏便なものであった。 が、 「まあ待て」 突如魔理沙にがっしと腕を掴まれる。 当然の如く、○○の足はその場で止まった。 「……何だ」 「今日はそんなクレームだらけのお前を、この私が直々に労ってやろうと思ってな。さあ喜べ」 「明日で結構だ」 ぐいっ 「明日って今さ」 「いや、お前何言ってる」 「女性からの申し出を断るなんて失礼な奴だ」 「真夜中に枕元で魔砲をぶっ放して人を起こす様な輩を世間一般はレディーとは呼ばん」 「まあいいさ。どの道お前に拒否権は無いからな」 「それは労いじゃ無いだrって、うおおおおおぉぉぉぉ---!?」 あっという間に100km/hの世界へご招待。 ○○の意見など聞く耳持たず、魔理沙は腕を掴んだまま箒で空へと滑空した。 「ちょ、おま、寒い!スピード落とせっ、こら!!」 「あー、良く聞こえんな?」 「こんの野郎おおおぉぉぉ!!」 「野郎じゃなくてアマ、だ。言葉は正しくな」 「ばっちり聴こえてるじゃねぇかああああぁぁぁぁ……―――!」 その日の夜は曇りなのに、一筋の流れ星がやけにはっきり北の空に流れたそうな。 「着いたぜ」 「……まさかあの世じゃなかろうな」 「残念、森の外れだ」 たっぷり10分ほど夜の空中散歩を楽しんだ後、箒は漸く目的地に降り立った。 ○○の頭には少々白髪が浮かんでいる。まあ霜なのだが。 「これで大した事無い持て成しだったらその暁には……」 既に心情は怒りを通り越していて、次の呆れの更に先にある絶望に達していた。 だがやっぱり魔理沙はそんな事を気にも留めていない。 「ま、苦言を吐くのはこいつを見てからにしてくれ」 ん、と○○が垂れていた頭を上げる。 果たしてその目に映ったものは………… 「こいつは……」 「な、言っただけのことはあるだろ?」 勝ち誇ったように魔理沙が口を吊り上げる。 事実○○は言葉を返すことが出来なかったのだから、今回の勝者は彼女なのだろう。 顔を上げたその先にあったのは、満開に咲き誇る一本の桜。 何処か幽玄に見えるのは周りの鬱蒼と茂った樹木とのコントラストの所為か。 今が盛りとばかりにその手を一杯に広げて自身の存在を存分に主張していた。 「偶然ここに流れ着いたんだろうな。私しか知らない特等席だぜ?」 今は魔理沙の解説も○○の耳には入ってこない。 それほどに目の前の光景は、彼の心を、目を奪い、虜にするほど素晴らしかった。 「で……あの…、その、………どうだ?」 どれだけの時間見惚れていただろう。 ふいに聴こえてきた魔理沙の声で○○は我に返り、声のする方に目を向ける。 そこには紅くなった顔を背け、ちらちらと横目で彼の顔色を伺うような魔理沙の姿が。 今の桜と同程度とまでは行かないが、その見慣れない彼女の仕草に幾らか○○は驚いた。 そして今が好機、とばかりに急に開き直ってみる。 「んー、そうだな」 「や、やっぱり、迷惑だったか?その、無理やり連れて来て……」 いつも通りならここで「何を今更」と返していることだろうが、それでは勿体無い。 日ごろの仕返しという事でもう少し焦らしてみよう、という考えが○○の頭に浮かんだ。 「確かに、寒かった」 「……ああ」 「俺の言葉も無視して勝手に飛んでいくしな」 「うぅ……」 「普通だったら怒って当然の事だ」 「…………」 途端にしおらしくなり、項垂れる魔理沙。 いつも見てる傍若無人な彼女とはまるで180度違う。まるで別人の様だ。 「でもな」 しかし、その一言で俯いていた魔理沙の顔が上を向く。 「この桜だったらそれぐらいの目にあっても見に来たいと思う」 これは嘘偽りでない、○○の本心だった。 その言葉を聞いた途端、彼女の表情に見る見る光が戻って来る。 「……ああ、何せ私が見つけたんだからな!」 そして先ほどまでの悲しみに濡れた顔は何処へかと消え去り、いつも通り、否、それ以上の微笑みを浮かべる霧雨魔理沙が、そこにはいた。 ……○○が密かにチクショウ、こいつ中々可愛いところあるじゃないか、とか思ったのは永遠の秘密である。 「……しかし、何でまた?」 数刻後、さっきから気になっていた率直な疑問を○○が尋ねた。 「おいおい、私が一番最初に言った台詞を覚えてないのか?」 すっかり調子も戻り、普段見かける通りになった彼女がいそいそと何かを取り出す。 「私はお前を労ってやるって言ったんだぜ? それにこんな花の下でやる事と言ったら、一つしかないだろう」 ドン、と○○の目の前に現れたのは、『水道水』と書かれたラベルの貼られている大き目の瓶だった。 桜の花の満開の下、舞い落ちる花弁を肴に二人は盃を交わす。 「ふむ、花見で一杯、か」 「悪くないだろ? おまけに絶世の美少女まで付いて言う事無しだな」 「自分で言うと格が下がるって知らないのか?」 「ところがどっこい、奇妙な事に私が言っても大丈夫なんだな」 「そりゃあ森田も吃驚だ」 いつもと同じ遣り取りも、この時ばかりは言葉が弾む。 「……綺麗だな」 「ん? 私の事か?」 「魔理沙がそうだと思った方」 「そうか、そうか」 「……本当に、綺麗だ」 「当たり前だな」 通い合うのは言葉と心、重ね合うのは思いと掌。 「……好きだぜ」 「桜がか?」 「○○がそうだと思った方」 「ふーん」 「お、もう空だな。注いでやろうか?」 「知ってる、俺もだ」 「……音速が遅いぜ」 「っと、お代わり足してくれ」 そんな二人の仲睦まじい様子を、桜だけが静かに見守っていた。 「こ、これは特ダネです! まさかこんな所で逢引きの現場に出くわすとはぎゃああああぁぁあぁ!!」 「お前容赦無いのな」 「人の恋路を何とやらってヤツだ」 訂正。桜+αが密かに垣間見ていた。 ▽▽▽▽ あとがきんちょ 桜の花の下から人間を取り去ると怖ろしい景色になります。 最近連投気味でディ・モールトごめんなさい。 とりあえず、あと残す所はフランちゃんとウフフぐらいか。 ▽▽▽▽ 7スレ目 90 ──────────────────────────────────────────────── 日も落ちて、家でぼーっとしていると魔理沙がやってきた。 どうも霊夢と勝負して負けたらしく、不機嫌そうな顔で不満や愚痴を零し続ける。 「なあ、やっぱりお前も弾幕ごっこの強い女がいいのか?」 「あんまり気にした事はないけど、魔理沙が強かったら最高だな」 「じゃあ今の私はよろしくないのか」 そう呟くと、そのまま魔理沙は帰っていった。 翌日、家でぼーっとしてたら扉を吹っ飛ばして魔理沙が飛び込んできた。 「霊夢に勝ったぜ! どうだ、これなら最高だろ!」 ああ玄関の修理必要だけどそれ以上に魔理沙かわいいよ魔理沙 7スレ目 307 ──────────────────────────────────────────────── 「魔理沙、今から言うのは閂の話だ。ところで紅魔館の図書館に行くんだが俺と付き合ってくれないか?」 7スレ目 314 ──────────────────────────────────────────────── 魔「はあー○○の作るご飯は本当にうまいな」 ○「そうか?まあ、それが俺の能力だしな」 魔「謙遜するなって」 ○「まあこんな料理でよかったら毎日作ってやるよ」 魔「ま、毎日って・・・・・////」 ○「ん?なんか変なこと言ったか?」 魔「い、言ってないぜ、そうか毎日か・・・・」 7スレ目 436 ─────────────────────────────────────────────────────────── 最近魔理沙の様子がおかしい、毎日のように遊びに来るのだ まあ別にそれはかまわない。 むしろ暇だからちょうどいい、だが来るときの格好が奇妙だ 3日前は俺がもといた世界の学生服のようなものを着ていた 「どうだ?○○」と感想を聞かれたので 「それは男物だったはずだが」といったら その後のことは何も覚えていない、なんか世界が真っ白になった 一昨日今度はうどんげのようなウサギの耳を生やしていた 「これはどうだ?」 また聞かれたので俺は 「変なきのこでも食べてはえてきたのか?」と聞いた そしたら口に変なきのこをぶち込まれて気を失った きのこはうまかったから味噌汁の具にした 昨日今度は巫女の格好をしていた、霊夢が着ているような 変形したものではなく、普通の神社のものだった 例によって感想を聞かれたので 「霊夢が着ているやつのほうがかわいいよな」 って言ったらマスタースパークが…… そして今日は来なかったで とりあえず最近のマリサの奇行について何か知らないか パチュリーに尋ねようと紅魔館の図書館に来た 門番は誰かに襲われたのか気絶していた 「あなた気づかなかったの?」 用件をを話すとパチュリーは驚いたように言った 「何がだ?」 そういうと彼女はため息をついて一冊の本を取り出した 「その原因はこれよ」 その本はどうも俺の世界のファッション誌のようだ しかし中身はかなり濃いというかコスプレとかが中心だった 「魔理沙はこれの真似を?」 「そうよ、『○○の気を引く方法はないか?』って聞かれて 『○○の世界の格好でもすればいいんじゃない』って見せてあげたのよ」 「しかしまたマニアックなものを……」 俺は本のページをめくりつつ言って気づいた 「俺の気を引く?」 「そうよ、あなたの鈍感は知ってたけどこれほどとはね」 パチュリーは呆れたように言った 「知らなかったな、てっきりちょうどいい遊び相手程度に思われてると……」 確かに俺は鈍感かもしれない するとパチュリーは本に目を落としながら 「まああなたのその反応を見る限り意味はなかったようね」 と言った 「これは……ちょっとな」 マニアックすぎるというかなんというか 「俺は今のままが一番いいと思うんだが」 「全く、それは魔理沙に言ってあげなさいよ」 「そうだな、もう感想答えるのもめんどくさいしな」 そういって俺は倒れていた門番を思い出した 「そういえば魔理沙きたのか?」 「ええ、その本はあなたに効果がないからって新しい本を借りていったわ」 「新しい本?」 「ええ、あなたの世界の本でタイトルはたしか……」 俺はその本のタイトルを聞き挨拶もそこそこに図書館を飛び出た そのままの勢いで魔理沙の家に急いだ 「魔理沙入るぞ!」 ノックもせず魔理沙の家のドアを開けた 「○○!?」 魔理沙の手にはいろいろな化粧品が握られていた 「魔理沙、一回しか言わないからな」 俺は大きく息を吸い 「俺は今のままのお前が好きだ、だからそういうことしないでくれ」 と一気に言った 「○○……」 魔理沙は化粧品を机に置いた 「本当か?信じていいんだな」 「ああ、俺は今の魔理沙が好きだ」 そう言って俺は彼女を抱き寄せた そして落ち着いてから二人して自分たちの行動にお互い テレながら一緒にすごしていると 魔理沙が 「でもなんでこんなにいきなりなんだ? 今まで全然だったのに」 「いやそれは魔理沙が持っていった本がさ……」 俺は机の上の本に目をやった そこには顔を黒く塗り、唇を白くした山姥の様な女性が写っていた 7スレ目 686 ─────────────────────────────────────────────────────────── 幻想卿に来て早数ヶ月。 こっちに来て一番最初に知り合った魔理沙の弟子(魔法使い的な意味で)になって、 そろそろ3ヶ月が過ぎようとしている。 魔理沙の修行はスパルタを通り越して無茶としか言いようがないもので、 「実践あるのみだぜ!」と、連日某紅い館に引きずられてる。 最初こそ何も出来ずボロボロになって引きずられるように魔理沙の家に帰っていたが、 最近になってようやく被弾率が下がってきて、 どうにか怪我も少なく五体満足無事に帰路につけるようになった。 ――――これは、そんなある日のこと―――― 「持ってくぜ」 「持ってかないでー」 魔理沙とパチュリーさんが毎度お決まりのやり取りをしている間、 俺はせっせと持ち帰る本を鞄やら風呂敷やら袋やらに詰め込んでいる。 (えーっと、この前持ち帰ったのがこれの上巻だったから……) 魔理沙は無秩序に本を持って帰っているように見えるが、 実は内容を関連付けて、その系統ごとにまとめて持って帰っているのだ。 どっちかと言うと、パチュリーさんの方が無秩序に本を読んでいる感がある。 「あ、そうそう、○○」 などと考えていると、本を持っていかれることを気にした風でもなく、 最早諦めた感が漂うパチュリーさんが声をかけてきた。 魔理沙は他の本を物色しに行ってるみたいだ。 「はい? 何ですか? あ、心配しなくてもこの前持って帰った本はちゃんと後日……」 「あぁ、そっちの心配はしてないわ……この前の返事を聞きたいのだけど」 この前……あぁ、アレか。 「アレはちゃんとお断りしたはずですよ?」 「心変わりしてないかしら、と思ってね…」 「おい、何の話だ?」 あ、魔理沙が戻ってきた。って、また大量に持ってきたな……。 まぁ、別に良いか。これも修行の内、ってね。 「この前来たとき、図書館の司書にならないか、って誘われたんだよ」 あれは驚いたなぁ。本を詰め込んでるときに、 いきなり「あなた、ここの司書になりなさい」 だもんなぁ…まぁ、丁重に断ったけどさ。 「……へぇ?」 …あれ? 魔理沙、何か…怒ってる? 「どういう事だ? 私は聞いてないぜ」 「え? パチュリーさんが、 『魔理沙には話を通してある、本人がその気なら別に構わない』 って言ってたんだけど……?」 「ほほう……」 怖っ!? 魔理沙、目が据わってる! 「良い度胸じゃないか、パチュリー。 人の弟子に勝手に唾つけるのはいただけないぜ?」 「あら、言ってなかったかしら……ごめんなさい、勘違いしてたわ……」 ――バチバチッ―― ひぃっ!? 火花が、二人の視線がぶつかり合って火花が!? って言うかもうすぐ夏なのに寒っ!? 「ふん、まぁいいぜ。○○には断られたんだろ? だったら素直に諦めるんだな」 「あら、人の心は移ろうものよ……明日には気が変わってもおかしくないわ……」 「埒が明かないぜ。○○、帰るぜ」 「え? あ、あぁ…」 「○○、私はいつでも歓迎するわ……」 「あー、その……さ、さようなら……」 ――少女&青年帰宅中―― 「ふぃー、重かった……」 「だらしがないぜ」 大量に持ち帰った本を適当に置いて……ふぅ、これでようやく一息つける。 「とりあえず、お茶の準備でもするか」 この前香霖堂で買った茶葉がまだあったはずだから………。 「おっと、ちょっと待った○○」 「ん?」 「話がある」 「話? 話って何の……ひっ!?」 振り向くとそこにはとても素敵な笑顔――ただし目は笑ってない――魔理沙さんがいました。 「まぁ、座れよ」 「い、いや……とりあえず、お茶を淹れたいなー、なんて……」 「座れ」 「はい…」 震える足に鞭を打ち、どうにかイスに座る。 視線は逸らせない。逸らそうとすると殺気が溢れてくる。無論、魔理沙の方から。 「で、だ。パチュリーから誘われたこと、なんで黙ってた?」 「いや、だって、パチュリーさんが魔理沙には言ってあるって……」 「な・ん・で・黙・っ・て・た」 「すんませんでしたぁっ!!」 土下座するしかなかった。それはもう、今までしてきた土下座を超える土下座を。 「……………」 あぁ、視線が痛いっ! やましい事はしてないのに何故だっ!? 「……ま、断ったからよしとしておいてやるぜ」 「よ、よかった……」 いや、元々責められる謂れは無いんだけどね? こう、うん、分かるでしょ? 「じゃ、じゃあ、とりあえずお茶の準備を……」 「ただし!」 「はいぃっ!!」 まだあるの!? 「……今後は、誰かにそういうことを言われたら真っ先に私に言うこと」 「へ?」 「分かったな!」 「あ、あぁ、うん、分かった……」 「なら、良い」 そこでようやく、魔理沙の視線が弱まった。 表情も、どこかほっとしたような……。 「…○○? どうした? 私の顔に何かついてるか?」 「ん、や、なんでもない」 …横顔に見惚れてた、なんて言えないよ…な? 「やれやれだぜ…」 お茶の準備をしてる○○を、何とはなしにぼーっと眺める。 このまったりとした時間が、私は気に入ってる。 「にしても、パチュリーのやつ……」 人の弟子を勝手に盗ろうとするなんて…。 だけどそこは私の弟子。しっかりと誘いを断るところはさすがだぜ。 ……パチュリーに直接誘われた、ってところは、思うところが無いわけではないが。 「ま、いいさ。誰が相手でも、○○を渡す気は無いしな」 独占欲…なのかもしれない。だけど、それがどうした。 私は、魔法使いだ。一度捕らえた獲物は逃がさないぜ。 「とりあえず……」 当面の問題は、どうやって○○をその気にさせるか、だな。 フラン相手に弾幕ごっこするより、よっぽど大変だぜ……。 うpろだ242 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「あ゛ー、頭がガンガンするぜ」 「だろうな」 ゴホゴホ 「う゛ー、喉もひりひりするぜ」 「そりゃあな」 ゲホゲホ 「……お前なんか冷たくないか」 「どうかな」 梅雨もいよいよ盛りのある初夏の日のこと。 霧雨魔理沙はおでこに氷嚢を乗せながらベッドの上でダウンしていた。 そしてその傍らには椅子に座って林檎の皮を剥く○○が。 一目見ただけで何が起こったのか即座に理解できるシチュエーションだった。 魔理沙は急性鼻咽頭炎――平たく言えば風邪にかかっていた。 「こういう時は、互いの額を合わせて熱を測ったりだとかな。 もっとこう、病人に対して思い遣りってものを見せてほしいぜ」 「その病人とやらはわざわざ土砂降りの中を箒で飛び回った挙句、家の中までびしょ濡れにしてそのままぶっ倒れたんだ。 その事後処理に当たる羽目になった人間の事も考えてくれ」 「何だ、小さい事を気にする奴だな」 「もう看病してやらんぞ」 「ごめんなさい」 しとしとしとしとしとしと 「○○」 「体なら拭かんぞ」 「じゃあいい」 「……マジだったのか」 しゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃり 「○○」 「子守唄なら歌わんぞ」 「ごめん」 しゃりしゃ―― 普段と違う調子の魔理沙の言葉に○○の手が止まる。 傍の机にナイフと剥きかけの林檎を置いて○○は魔理沙の方へ目を向けた。 「どうした」 「別に、何も無いぜ」 「本当か?」 「嘘だぜ」 しとしとしとしとしとしと 「お前な……」 「でも」 「あ?」 「話したくない」 「……そうか」 「そうだぜ」 しとしとしとしとしとしと 再び二人の間に大地を打つ雨の音だけが静かに響く。 魔理沙は天井を見上げ、○○は窓の外を眺めていた。 「そろそろ変えるか、それ」 「ん? あー、そうだな」 魔理沙のおでこの上の氷嚢を指して○○が言った。 見れば中の氷もほぼ溶けきっていて、肌との間に挟んだタオルも随分と結露を含んでいた。 氷の入った袋とタオルを退けて、新しいタオルで額とついでに顔を軽く拭う。 そして○○は指で魔理沙の髪を分け、 「ちょっと目閉じてろ」 「え――――」 何で、と魔理沙が尋ねる前に自分の額を彼女のそれに当てた。 「……………」 「……………ふむ」 やがて○○の方から額を離す。 魔理沙はというと、明らかに風邪以外の要因で頬を緋に染めながら目を大きくしたまま口をぽかんと開けていた。 「多少は熱も下がったみたいだな。もうそれほど心配しなくてもいいだろ」 魔理沙が全く聞いていないのを知ってか知らずか、○○はそう言い残して部屋を出て行った。 因みにその後○○が新しい氷嚢を持って部屋に戻ってくるまで魔理沙は放心状態だった。 しと………しと…しと 「止んできたな」 「みたいだな」 「もうすっかり夜だな」 「そうだな。お前ももう寝たらどうだ」 「えー」 「喧しい。病人だったら早く寝ろ」 「じゃあ一緒に寝てくれ」 ぱら……ぱら………ぱら… 「寝言は寝て言え」 「じゃあ寝たぜ」 「お前は目を開けながら寝るのか」 「何だっていいじゃないか」 「良くない。大体んな事したら風邪がうつる――」 ぎゅっ 「………ね?」 「……」 「…………お願い」 「……反則だ」 「何だっていいじゃないか」 「良くない」 「大丈夫だ。もう熱も下がったって」 「……」 ――――――ぎし 「……今日だけだ」 「そうはさせないぜ」 「勘弁しろ」 「私は目標の為には努力を惜しまない主義でな」 「それは秘密なんじゃないのか」 「お前だからいいんだよ」 「……それも反則」 この後○○はちゃんと風邪を引きました。 お粗末。 うpろだ248 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「○○! 大変だ! ちょっとドア開けてくれ!!」 いつになく切迫した魔理沙の声が家の外から響く。 魔理沙が『大変』と言ってくるときは、大体 厄介事を抱えているときだ。 魔法を失敗して幼女の姿になってたこともあれば 魔法の副作用で猫耳が生えていたこともある。 そして、そのたびに彼女を元に戻すために俺が迷惑こうむってたのも、また事実。 一度など、元の姿に戻るための実験で妙なキノコを食べさせられたら どこぞの鬼もかくやというくらい巨大化してしまったこともあった。 正直、扉を開けたくはないけれど…… 開けなければマスタースパークで家ごと吹っ飛ばされるんだよなぁ…… 俺は仕方なしに家の扉を開けることにした。 「はいはい、なんだよ魔理沙。また魔法の実験失敗したのk――――」 パーフェクトフリーズでも喰らったかの様に俺の表情と体が凍りつく。 「○○……そ、その……」 魔理沙の姿はいつものままだった。 いつもの白黒の服に大きな黒帽子。 では何が問題なのかと言うと……それは魔理沙の抱きかかえている物体だ。 「あぅー……だぁ…」 それは、まっ白い布にくるまれた可愛らしい赤ん坊。 年は大体1歳に到達するかしないかといったところだろうか? 俺は冷静に状況を判断し、魔理沙に質問する。 「……OK、魔理沙……父親は誰だ? 俺じゃないことは確かだと思うが」 「それが、私にもわからないんだ……いや、と言うか、私の子供じゃないぞ!!」 むぅ、違うのか……いや、待てよ? 魔理沙の子供じゃない……ってことは―――― 「魔理沙……お前なんてことを……」 「え?」 「今ならまだ間に合う! その子を御両親の元に戻して、潔く閻魔に自首しろ! 俺もついて行ってやるから!!」 「だから なんでそうなるんだよ! 違うって! 森の中で拾ったんだよ!!」 「へ? あ、ああ…ごめん。てっきりマジックアイテムの材料にするために 攫ってきたものかと……」 「OK、それは私にマスタースパークでふっ飛ばしてほしいってことだな? だったら、望みどおりに――――」 魔理沙が八卦炉を取り出す。 「ごめんなさい すいません、謝るからマスタースパークは勘弁してくれお願い」 危ない危ない、少し言いすぎたか。 「ぐすっ……ふぇっ……」 「げ……まずい……」 魔理沙の怒声に 子供は怯えて泣き始めてしまった。 「ふぇぇぇーーーーーーん!」 「ああっ、またか!」 泣き出した子供に対する魔理沙の反応から 彼女が ここに来るまでさんざん苦労して赤ん坊を泣きやませたことを理解した。 「ああ、もう泣きやんでくれよ~……なあ○○、助けてくれ!」 「助けてくれと言われてもなぁ……」 自慢じゃないが、俺は子供の相手は結構 得意なほうだ。 実際に、里の人間に子供の御守を頼まれることは少なくない。 まあ、それだけ暇な人間と思われているのだが。 だから、魔理沙の抱きかかえている赤ん坊を泣きやませることは、そう難しくはない。 だが、こんな姿を見せる魔理沙は初めてなので俺はしばらく彼女を眺めておくことにした。 「ふぇーーん!」 「泣きやんでくれよ~…いい子だから……」 「ふぇぇーーーーん!」 「ほーら、べろべろ ばぁ~」 「びぇぇぇーーーーーん!」 「ああ……もう、どうすりゃいいんだよ…」 どうしていいかわからず赤ん坊を抱きかかえながら、あたふた オロオロする魔理沙。 そんな彼女のことをちょっと可愛いと思ったのは秘密だ。 「ほーら、高い高い~」 「いや、ちょっと待て魔理沙! そんな乱暴にするなって!!」 何を思ったか赤ん坊を一人キャッチボールし始めた魔理沙を止める。 ってか、お前ここに来るまでそうやって泣きやませてきたのかよ…… 「貸してみな、こうやって抱くんだよ」 しかし…… 「ふぇぇぇーーーーーーん!」 「って、全然泣きやまないじゃないか!!」 おかしい この赤ん坊マスター(自称)の俺にあやせない子供がいるなんて…… さてはこの赤ん坊、ただの赤ん坊と見せかけて新手のスペカ使い……って、あ 「……ひょっとしてオムツ交換か?」 赤ん坊を家の中に連れて入り、ベッドの上に乗せて確認する。 が違う、なら消去法で―――― 「たぶん腹減ってるんだな……魔理沙」 「なんだ?」 「無い胸出せ」 「は?」 しばし沈黙 そして直後に魔理沙の怒り&恥じらいゲージが一気にMAXまで上昇し―――― 「ファイナルスパ――――!!」 ―――― 極悪『赤子結界』!! フフフ……抱きかかえている赤ん坊を自分の盾にしてやったぜ!! 撃てるか? 魔理沙!! ま さ に 外 道 「な…お前、子供を盾に……」 うん、俺もひどいと思う。 赤ん坊も俺のあまりの非道さに、泣きわめいている。 「ぐっ…覚えてろよ……」 その後、赤ん坊はミルクを与えたら眠ってしまった。 俺はとりあえず赤ん坊をベッドに寝かせたのだが…… 赤ん坊を手放すや否や、さっきの失言と外道な行為をしっかり覚えていた魔理沙に ファイナルスパークを5発も喰らったことは、俺は生涯忘れないだろう。 マジで死ぬかと思った。 2日後―――― 赤ん坊のほうは、捨て子の可能性もあったが一応里に伝えは出しておいた。 そして、魔理沙はここ2日俺の家に足繁く通っている。 なんでも 「赤ん坊の世話でもお前に負けるつもりはないぜ!」 ……らしい。 さすが負けず嫌い。 最初は、赤ん坊のあやし方もまともにできなかった魔理沙も、人並み程度の子供のあやし方 そして、ミルクやおしめの交換くらいはできるようになった。 「ほ~ら、いい子だな~」 「あぶぅ……あぅ~」 赤ん坊はすごく心地よさげに魔理沙に抱きかかえられている。 そして俺は、そんな彼女の姿に ……なんていうか、ものすごく母親らしさを感じて、不覚にもドキドキしてしまっている。 あの魔理沙にこんな一面があったなんて。 「ま…ま……まま~……」 「ははっ、私のこと母親と思ってるみたいだな」 「魔理沙が母親か……世も末と言うかなんというか」 「まま~……だぁー……」 「あははっ、ママだぞ~……あと○○ー お前 後でファイナルスパーク10連発だぞー」 「……ごめんなさい許してお願い…ってか、そんなにこやかに言うな 余計怖いわ」 その時、赤ん坊が俺に向かって手を伸ばして 「あぅ~…ぱぱ~」 と一言。 「「………」」 えーと、魔理沙がママで、俺がパパってことは…… 魔理沙 + 俺 = 夫婦 「わ、私たち……夫婦に思われてるみたいだな…?」 「……あ、ああ…」 夫婦っていうか、両親と思われてるんだけどな…… いや、そんなことよりも……なんだこの雰囲気は。 えっと……これって一般的によく言われてる『いいむーど』ってやつっすかダンナ? 正直、互いに互いを妙に意識してしまって居たたまれないんすけど。 「すぅー……すぅー……」 しかも、赤ん坊はいつの間にか 『さあ、イチャイチャの時間だよ、ベイビー』 と言わんばかりに眠っちまったし。 ええい、このラブキューピッドさんめ! お前も魔理沙もぶっちゃけ大好きだ!! さりげなく心の中で魔理沙への想いも暴露する。 よし、ここからだ! 今までインポッシブルだったミッションを今日こそ―――― コンコン 「「!!」」 家の扉がノックされる。 ……ああ、憎しみで人を殺せたら! 「すまない、私だ。慧音だが」 よし、慧音か。 てめーは俺を怒らせた…… 貴様は魔理沙Loveな俺の魂を舐めたッ!! 絶対に許さんッ!! でも、お前を敵に回して caved は御免だ! だ、だから、別に許してあげないこともないんだからねっ! バカッ!! 一人脳内コントを繰り広げながら、俺は家の扉を開けた。 ガチャ! 「オウ、イラッシャイ。ドウシタヨ?」 「あ、ああ…えらく機嫌が悪そうだが、何かあったのか?」 「イーヤ、別ニ」 あからさまに帰れオーラを出している俺に、慧音は若干引いていた。 が、家の中にいる魔理沙の姿を確認すると。 「……なるほど、私はお邪魔虫だったようだな。すまない。」 「な、何を言いやがりますか―――― あ、一応言っておくがその赤ん坊は俺たちの子供じゃ――――」 「――――わかっている。それにしても、やはり間違いないようだな」 「え?」 「実は、魔理沙の抱きかかえている その赤子のことなのだが――――」 そして、慧音の話によると事の顛末はこうだった この赤ん坊の母親が子供を連れて森の中を歩いていたら、数匹の妖怪が出現 ⇒ このままでは確実に喰われると判断した母親は子供を隠し、自分が囮になって子供から妖怪を引き離す ⇒ その子供を魔理沙が見つけて拾い、俺のところに連れてくる ⇒ 慧音が子供の話を聞き、連れ帰りに来る (← 今ここ) ⇒ 紆余曲折あってイチャイチャする ⇒ ギシアン突入 なお、最後の二行は俺の妄想だ。 「その子の母親は、襲われた時に怪我をしてしまってな。 命に別条はなかったのだが、ここに来ることはできなかったんだ」 「なるほど、それで慧音が引き取りにきたわけだ……あれ、父親は?」 「ああ、その子の父親は母親の看病をさせている。この辺りもあまり安全ではない。 連れて来るのは危険だったのでな」 「なるほどなー」 ・ ・ ・ 「あぅー……」 「じゃあな……バイバイ……」 「あぶぅ~……ぅぅー……」 慧音に連れられて行く名残惜しそうに見つめ……彼女は一言、呟く。 「また、一人になっちまったな……」 「……魔理沙?」 ……どうしたんだ? いつもの彼女と雰囲気が違う。 別にあの赤ん坊と会えなくなるわけではない。 会おうと思えばいつでも会えるはずなのに…… 「お前も……私をおいて行くのかな……?」 俺に背を向けたまま、魔理沙は、寂しそうにぽつりと呟いた。 「魔理沙…どうしたんだ?」 「ひっく、えぐっ……」 「―――――!」 本当に予想外だった。 まさか泣かれるとは…… 『お前に迷惑かけるのが生きがいだぜ』と言わんばかりのあの魔理沙が? 何故……? 「嫌だ……私を、一人に…しないでくれ……」 「……」 なるほど、そういうことか…… 初めて見る彼女の心と姿。 宴会好きなのも、寂しがり屋な性格の裏返しだったのだろう。 「……本当に、ここ数日でお前の新しい面をいろいろ見れたと思うよ」 「……ぐすっ……え…?」 彼女を背後から優しく抱きしめた。 「え…? ちょ、○○!? 何を……」 「とりあえず、お前が安心するまで こうしとく……」 「………」 「あとさ、俺は、いなくならないよ……約束する」 彼女の緊張が急速に弛緩していくのを感じていた。 「……ありがとう………なあ、○○……」 「なんだ?」 「私さ……あの子のような、かわいい子供が欲しいぜ……」 「はは、焦らなくても、いずれできるよ」 「い、いや……そうじゃなくてだな……」 「?」 「その……だから……ああ、もう! わかるだろ! これ以上言わなくても!!」 ……? ――――! もしかして、もしかすると…… 「わからないな…言ってくれ」 「うう……もう、恥ずかしすぎて言えない……」 真っ赤になってしまっている顔に、黒帽子をかぶせて見られまいとする魔理沙。 その仕草が、殺人的に可愛い。 魔理沙可愛いよ、かわいいよまりさ。 もっと苛めたいよ、イジメたいよもっと。 「言え」 有無を言わせぬ口調で命令する。 「……っ、お前……サドだぞ……」 「言ってくれ」 「だから……その……私は、お前との……子供が欲しいんだ……」 感 無 量 ! ! 御馳走様でした。 本当に御馳走様でした。 さて、この上ない感無量を味わったところで真面目モードに戻るか。 「お前さ、いい母親になれると思うよ」 「え?」 「お前、自分の子供でもないのにちゃんと優しく接して世話してあげてたろ? 正直、見直したよ」 「○○……」 「いや、惚れなおした……って言ったほうがいいかな」 「惚れなおし……って、え? ええ?」 そこで一旦言葉を切って。 魔理沙の目を見つめて。 万感の想いをこめて彼女に言った。 「愛してるよ、魔理沙」 しばらくパチクリしていたが 唐突にボソッと呟く。 「……嘘だろ?」 「いいや、大マジさ」 そうして、未だ現実を信じ切れていない彼女の唇を優しく奪った。 そうまでして、ようやく彼女は俺の心が彼女のものだということを理解したようだ。 「私も……お前のことが好き…大好きだぜ……」 再び、キスを交わす。 今度は唇を啄ばむようなキスから 深く熱い口づけを交わしあっていく。 そうして しばらく、深い口づけを交わしあった後 俺は彼女をすぐ傍にあったベッドに押し倒した。 「うわぁっ! ○○…何を…!?」 「じゃあ、早速カワイイ子供をつくるとするか?」 「え? ちょ、そんな……私にだって、心の準備が……」 「……そうか、そうだよな……残念だ」 いや、実はここで終ってしまったらマジで自殺モノのショックなんだが あえて、魔理沙が拒絶しているという風に受け取ったフリをする。 なんて策士なんだ 俺。 「ち、ちょっと待てって! …だ……ダメってわけじゃないんだよ……」 「……」 「そ……そうじゃなくてだな……」 震えてる。 いつもの強気な彼女からは想像もつかない姿。 「そ…その……わ、私は……初めてだから、できれば優しく…してほしいんだ……」 ヤバい、元から抑えるつもりなどあまりなかったが これ以上、理性を抑えられそうにない。 そんな俺の心情を知ってか知らずか―――― 「お、お願いだ……」 上目づかいで、不安げな涙目で 頬を紅く染めて、僅かに身体を震わせている魔理沙。 これに耐えられる男がいるだろうか!? いいや! いはしまい! そして、俺は魔理沙の (省略されました 詳しい描写は省きますがこの後、魔理沙は○○がおいしくいただきました。) うpろだ272・273 ─────────────────────────────────────────────────────────── すっごい遠まわしな○○×魔理沙です。 魔理沙とはイチャつきたいけど悪友みたいな 関係にもなりたい、だけどやっぱり・・・ あぁもう!なんで伝わらないかな!? 「う・・・」 「あ、目を覚ましたみたいだぜ」 「見れば分かるわよ。貴方、名前は?」 目を覚ました俺の前には魔女っ娘と巫女さんが居た。 すかさず俺は巫女さんの手をとり 「助けていただいてありがとう巫女さん。俺は○○、貴方の愛のドレイです」 「俺の霊夢に何をするーッ!」 巫女さんの彼氏と思しき男に蹴り飛ばされた。 紆余曲折を経て、俺はここに残る事を決めた。 元の世界よりは刺激的な臭いがするし、何より俺の美少女レーダーがビンビンだ。 そして魔女っ娘と一緒にこれから住む事になるらしい村へ 移動しているのだがこの魔女っ娘、神社からずっと笑ってやがる。 「こらソコの魔女っ娘あんまり人の事笑うんじゃぁないぜ?」 「いやいや、悪い。最近迷い込んできた奴は結構多いけど・・・ いきなり告る奴は初めてだったし、吹っ飛び方が面白くてな」 「おかしいか? 俺はこれでも地元では愛の伝道師と呼ばれる男だったんだぜ」 もちろんやっかみと嘲笑が8割だが。 「まぁ頑張ってくれ、いい女もいい男もなぜかもうくっついてる連中ばかりで 私も振られ続きだ。同士が増えたと思うと嬉しいぜ」 「なんと、お前もそうなのか!」 一瞬見つめあい、がっしと組まれる握手。 今ここに性別を超えた友情が成立したのだ、多分。 村に着くまでに自己紹介をしてもらったり幻想郷について教えてもらったりした。 物騒なんだか平和なんだか分からんが俺は俺の道を最速で突っ走るだけだ。 「で、その慧音さんとやらが顔役みたいなもんなのか?」 「なんだか間違って伝わってる気がするが、無礼の無いようにしておけば問題ないぜ」 そして前方に素敵な白髪でグラマラスなお嬢さんを発見。 すかさず全力ダッシュして手を握り 「こんにちわ素敵なお嬢さん、俺は○○、一目で貴方に心奪われた哀れな男です。」 「先生から手を離せッ!」 またも別の男に突き飛ばされ、挙句子供たちにフルボッコにされた。 「懲りないヤツだな」 「魔理沙か・・・・・・」 ボロボロの状態で一応挨拶を済ませ、あてがわれた家で休んでいると ニヤニヤしながら魔理沙がやってきた。 「見てたなら助けてくれよ」 「嫌だね、事前にいい女は大抵くっついてるって言ってやっただろ?」 むぅ、そう言えばそうかもしれぬ。 「魔理沙、俺の尊敬するアニキがこう言ったのだ」 俺は一息おくと深呼吸をして記憶に則って一気に喋りだした。 『俺はこう思ってるんです。人々の出会いは先手必勝だと。どんな魅力的な女性でも、 出会いが遅ければほかの男と仲良くなっている可能性もある。 なら出会った瞬間に自分が相手に興味があることを即座に伝えたほうがいい、 速さは力です。興味をもった女性には近付く、好きな女性には好きと言う、 相手に自分を知ってもらうことから人間関係は成立するのですから。 時にそれが寂しい結果を招くこともあるでしょう、 しかし次の出会いがいつまた来るかもしれません!』 「ってな。」 「そ、そうだな・・・それで?」 「いい女は見かけた瞬間口説く事にしている、それが俺の持論だ。」 「せっかくの同士だ、こっちの計画を手伝ってもらう前に死なれると困るぜ。」 「それはこちらも同じよ、邪魔者をひきつけてもらってその間に掻っ攫う!」 「「・・・・・・」」 再び交わされる握手、矢張り同じ考えか。 「ところでお前、誰狙いなんだ?」 「私はとりあえず××を掻っ攫おうと思ってるぜ。」 「ほう、例の猫娘のツレか、まずはそちらを手伝おう。」 結局、夜まで魔理沙のターゲットを落とす計画を話し込んだ、明日の畑仕事の手伝いどーすんだ。 「・・・・・・と、いうわけで旅は素晴しいものだと言う事をご理解頂けましたかな?」 「まぁ、それは素敵ね・・・・・・いつか紫にその道頓*に連れて行ってもらわなくちゃ」 「動機が不純すぎませんか、幽々子様」 「何を仰る妖夢さん、食事は人生におけるもっとも大きな楽しみの一つですぞ」 なんでまた俺がこの二人の相手をしているのかと言うと計略中だからだ。 無論二人とも愛らしいし、何よりも幽々子ちゃんはフリーだから篭絡を狙ってはいるが。 「よろしいですか、人には三大欲求という生存本能に基づいた欲求があります。 これらを満たさずに居ると人類は死に向かってしまう、故に快楽と結びつける事により、 それらの行為を進んで行うようにできているのです」 「それくらい知ってますよ、けれど私は半分、幽々子様は全部人間じゃありません」 「あら、人でなしだなんてひどいわ~」 「いやいや、幽々子様の場合は人を超越した美しさという事ですよ」 「うふふ、ありがとう」 「なんで私の言う事は曲解して○○さんの言う事は素直に受け取るんですかー!」 「あら、なんのことかしら?」 時間稼ぎが主な目的であったが・・・魔理沙に約束した半刻は稼いだ事だし、 後は好きにさせてもらおうk『スパーンッ!』 ・・・・・・なんだか勢いよく障子が開いたような気がするが気のせいだ。 「そういえば次の宴会、、幽々子様達はいらっしゃいます?」 「無視するなこの変態伝道師!」 「何か用ですか●●、生憎と同性に与える愛は品切れですよ」 案の定ばつの悪そうな苦笑いの魔理沙を引き連れて妖夢さんの彼氏が仁王立ちしていた。 「というより何故に俺がお前に睨まれなければならんのだ。見つめるな気色悪い」 「●●さんのどこが気色悪いんですかッ!」 「撤回するからすぐに刀を抜くのはやめてください、物静かな妖夢さんのほうが可愛くて好きですよ」 「「少し黙っててください!」」 直後二人にしばき倒されて意識を刈られた。愛の為せる合体技? 結局、俺が寝てる間に魔理沙が自白したらしく俺が起きるのを待って 時折惚気を混ぜた説教を小一時間くらうハメになった。 欝だ、奴らが俺とまったく関係ないところでのみ幸せになりますように。 さて、説教から開放されて帰ろうって雰囲気だがその前にだ。 「お前なー、せめて説教は一人で受けてやろうとか悪いのは私だ! って庇ってくれるとかそういう気遣いは無いのか」 「なんで○○を庇わなきゃならないんだ?それはお前の役目だろう」 「ふざけんな白黒、ネコ娘の時にそうやって庇ったおかげで酷い目にあったのを忘れたとは言わせんぞ」 「記憶に無いな」 「同じ意味だっつーの!」 「なんだと、丁度むしゃくしゃしてたんだ勝負なら受けてたつぜ」 「すいませんでした俺が悪かったです」 「早ッ!?」 「二人とも仲がいいのね」 いつの間にか幽々子様が背後に居た、いつの間に・・・とも思ったが まぁ、俺の感知スキルなんぞ対人でしか役に立たん。 「気のせいじゃないですか、誰がこんな突撃ガサツ娘と」 「はッ、私だって利害が一致してなきゃこんなへたれ色情魔と組みたくないね」 「言ってくれるじゃねーか、恋愛成就率ゼロの恋符使いさんよ」 「なんだとこのヘタレ野郎、お前こそこれだけアプローチかけて誰にも相手にされて無いじゃないか」 またしても口論になりそうになった俺達だったが次の一言は完全に予想外だった。 「あら、そんなことないわよ」 「「はい?」」 「あなたが要らないならちょっと○○借りるわよ~」 「ふはははははァ!見たか魔理沙、俺の実力をッ! では行きましょうか、幽々子様」 「あら、様付けなんてしなくていいわ。○○の好きなように呼んでくれていいのよ」 「あ・・・」 「ん、どうかしたのか魔理沙?」 「ッ・・・別になんでもないぜ、じゃあな!」 そういうと魔理沙はいつもより素早く(当社比120%)帰っていった。 ハラでも減ったのかね、そんなんだから色気が出ないんだ。 「さて、邪魔者も帰った事だし行きましょうか幽々子様」 「邪魔者が居なくなった割りに寂しそうな顔をしてるわよ?」 ・・・・・・ 「気のせいですよ」 「本当に~?」 「えぇ、それよりも俺を呼び止めた用事はなんです?」 「あら、寂しい私を慰めてくれるんじゃなかったのかしら」 「ありゃ、いいんですか。幽々子様がお望みとあらば朝までお付き合いしますよ」 「それは楽しみね、妖夢ったらあれで聞こえて無いつもりらしいから・・・ね」 「成る程、それは拷問ですねぇ」 「とりあえずはご飯食べに行きましょう、ご飯。」 「白玉楼のご飯は絶品ですが・・・俺食べたら死んだりしませんか?」 「あら、最近はちゃんと考えて食材選んでるから大丈夫よ」 今晩は楽しみだぜ、俺もご無沙汰だったしなぁ。 しかし魔理沙のヤツ最後に何を言いかけたんだろう? --------------------------- 「くそっ、なんで私が苛々しなきゃいけないんだ・・・ 別にアイツが上手くいったっていいじゃないか、最初からそういう目的で 手を結んでたわけだし。しかし幽々子もなんであんなヤツの事なんか・・・ 絶対に感性がおかしいぜ。しかしなんで私が上手くいかなかったんだ。 でも上手くいってたらアイツはどんなふうに思うんだろう?」 「ッ・・・馬鹿馬鹿しい!さっさと温泉入って寝て忘れよう」 「いいえ、その悩みはあなたが自分で白黒つけるべき葛藤です」 「なッ!?」 ---------------------------- 夜と朝の境界 ---------------------------- むぅ、朝か・・・・・・朝日が少し黄色いぜ、異変か? 「がんばっちゃったせいでしょ」 「ゆゆ様が魅力的だったからですよ」 「あなたもなかなか良かったわ、本気になっちゃおうかしら」 「お互いの為にやめておいたほうがいいでしょうな」 「あら、怒らないのね」 「ゆゆ様は待っているのでしょう、気長な事だ」 「あらら、紫かしら」 「正確には藍さんに」 「知っていて尚・・・ね、○○は何故そこまでしてくれるのかしら」 「それはもちろんゆゆ様が美しいk」 「・・・・・・」 やれやれだ。 「誰にも話してないはずですが?」 「女の勘、かしら」 「本当は?」 「紫に聞いたら教えてくれたわ」 「女の勘って凄いですね・・・」 「それで?」 「・・・・・・自己満足ですよ。自分には無かったものを 人に与える事で 得ようとしてるだけです。それがなんなのかを知らないのに。」 「だから鈍感なのね」 「いや、一応向こうでは研究と実践を重ねた結果9割以上の女性の 心理と傾向を把握して動けてましたよ?」 「その1割が大事なのよ、魔理沙を泣かせてたじゃない」 身に覚えが無い・・・ハズだ、覚えが無いハズなんだが・・・ 「なんのことかサッパリ分かりませんな」 「うふふ、やっぱり貴方達似てるわ」 「あんなガサツで自分から弾につっこむようなドジっ娘と一緒にしないで頂きたい」 「あら、自分の為の愛を知らない癖に他人に愛を振りまくあたりそっくりよ」 「そうですか、仮に俺とアイツが同類だとして何だと言うんです?」 目を逸らしてる。何から逸らしてるのかも自覚しないようにしてる。 「うふふ、その悩みは○○が自分で答えを見つけるべき葛藤よ」 「分かりかねます」 「あら、拗ねないでよ。」 だけどまぁ、これだけ本当の事を他人から言われちゃったんだしいい機会だ。 「拗ねてません、そこまで言うなら今度の宴会までに答えを見つけておきますよ」 目を逸らし続けてるという事はソレが何なのか理解してるって事だ。 「がんばってね、応援しちゃうから」 次の宴会までに覚悟を決めればいい、その時向き合おう。 「しかしまぁ、自分が悩むハメになるとは思いませんでしたよ」 「いい経験よ~・・・だけど」 「だけど、なんです?」 「偶に癒しに来てね」 「構いませんけど、いいんですか?」 「いいんじゃないかしら、その程度で揺らぐ愛じゃないから」 「あー、朝からご馳走様です」 オマケ 「そろそろ起こしに行っても大丈夫かな」 「うーん、しかしアレだな」 「どうしたの●●」 「幽々子様達の・・・その、アレが聞こえたって事は」 「言わないで、今凄く自己嫌悪に陥ってるから。」 「俺か妖夢の部屋離れかどこかに移してもらおうか・・・」 ────── 「う・・・」 「あ、目を覚ましたみたいだぜ」 「見れば分かるわよ。貴方、名前は?」 目を覚ました俺の前には魔女っ娘と巫女さんが居た。 すかさず俺は巫女さんの手をとり 「助けていただいてありがとう巫女さん。俺は○○、貴方の愛のドレイです」 「俺の霊夢に何をするーッ!」 巫女さんの彼氏と思しき男に蹴り飛ばされた。 紆余曲折を経て、俺はここに残る事を決めた。 元の世界よりは刺激的な臭いがするし、何より俺の美少女レーダーがビンビンだ。 そして魔女っ娘と一緒にこれから住む事になるらしい村へ 移動しているのだがこの魔女っ娘、神社からずっと笑ってやがる。 「こらソコの魔女っ娘あんまり人の事笑うんじゃぁないぜ?」 「いやいや、悪い。最近迷い込んできた奴は結構多いけど・・・ いきなり告る奴は初めてだったし、吹っ飛び方が面白くてな」 「おかしいか? 俺はこれでも地元では愛の伝道師と呼ばれる男だったんだぜ」 もちろんやっかみと嘲笑が8割だが。 「まぁ頑張ってくれ、いい女もいい男もなぜかもうくっついてる連中ばかりで 私も振られ続きだ。同士が増えたと思うと嬉しいぜ」 「なんと、お前もそうなのか!」 一瞬見つめあい、がっしと組まれる握手。 今ここに性別を超えた友情が成立したのだ、多分。 村に着くまでに自己紹介をしてもらったり幻想郷について教えてもらったりした。 物騒なんだか平和なんだか分からんが俺は俺の道を最速で突っ走るだけだ。 「で、その慧音さんとやらが顔役みたいなもんなのか?」 「なんだか間違って伝わってる気がするが、無礼の無いようにしておけば問題ないぜ」 そして前方に素敵な白髪でグラマラスなお嬢さんを発見。 すかさず全力ダッシュして手を握り 「こんにちわ素敵なお嬢さん、俺は○○、一目で貴方に心奪われた哀れな男です。」 「先生から手を離せッ!」 またも別の男に突き飛ばされ、挙句子供たちにフルボッコにされた。 「懲りないヤツだな」 「魔理沙か・・・・・・」 ボロボロの状態で一応挨拶を済ませ、あてがわれた家で休んでいると ニヤニヤしながら魔理沙がやってきた。 「見てたなら助けてくれよ」 「嫌だね、事前にいい女は大抵くっついてるって言ってやっただろ?」 むぅ、そう言えばそうかもしれぬ。 「魔理沙、俺の尊敬するアニキがこう言ったのだ」 俺は一息おくと深呼吸をして記憶に則って一気に喋りだした。 『俺はこう思ってるんです。人々の出会いは先手必勝だと。どんな魅力的な女性でも、 出会いが遅ければほかの男と仲良くなっている可能性もある。 なら出会った瞬間に自分が相手に興味があることを即座に伝えたほうがいい、 速さは力です。興味をもった女性には近付く、好きな女性には好きと言う、 相手に自分を知ってもらうことから人間関係は成立するのですから。 時にそれが寂しい結果を招くこともあるでしょう、 しかし次の出会いがいつまた来るかもしれません!』 「ってな。」 「そ、そうだな・・・それで?」 「いい女は見かけた瞬間口説く事にしている、それが俺の持論だ。」 「せっかくの同士だ、こっちの計画を手伝ってもらう前に死なれると困るぜ。」 「それはこちらも同じよ、邪魔者をひきつけてもらってその間に掻っ攫う!」 「「・・・・・・」」 再び交わされる握手、矢張り同じ考えか。 「ところでお前、誰狙いなんだ?」 「私はとりあえず××を掻っ攫おうと思ってるぜ。」 「ほう、例の猫娘のツレか、まずはそちらを手伝おう。」 結局、夜まで魔理沙のターゲットを落とす計画を話し込んだ、明日の畑仕事の手伝いどーすんだ。 「・・・・・・と、いうわけで旅は素晴しいものだと言う事をご理解頂けましたかな?」 「まぁ、それは素敵ね・・・・・・いつか紫にその道頓*に連れて行ってもらわなくちゃ」 「動機が不純すぎませんか、幽々子様」 「何を仰る妖夢さん、食事は人生におけるもっとも大きな楽しみの一つですぞ」 なんでまた俺がこの二人の相手をしているのかと言うと計略中だからだ。 無論二人とも愛らしいし、何よりも幽々子ちゃんはフリーだから篭絡を狙ってはいるが。 「よろしいですか、人には三大欲求という生存本能に基づいた欲求があります。 これらを満たさずに居ると人類は死に向かってしまう、故に快楽と結びつける事により、 それらの行為を進んで行うようにできているのです」 「それくらい知ってますよ、けれど私は半分、幽々子様は全部人間じゃありません」 「あら、人でなしだなんてひどいわ~」 「いやいや、幽々子様の場合は人を超越した美しさという事ですよ」 「うふふ、ありがとう」 「なんで私の言う事は曲解して○○さんの言う事は素直に受け取るんですかー!」 「あら、なんのことかしら?」 時間稼ぎが主な目的であったが・・・魔理沙に約束した半刻は稼いだ事だし、 後は好きにさせてもらおうk『スパーンッ!』 ・・・・・・なんだか勢いよく障子が開いたような気がするが気のせいだ。 「そういえば次の宴会、、幽々子様達はいらっしゃいます?」 「無視するなこの変態伝道師!」 「何か用ですか●●、生憎と同性に与える愛は品切れですよ」 案の定ばつの悪そうな苦笑いの魔理沙を引き連れて妖夢さんの彼氏が仁王立ちしていた。 「というより何故に俺がお前に睨まれなければならんのだ。見つめるな気色悪い」 「●●さんのどこが気色悪いんですかッ!」 「撤回するからすぐに刀を抜くのはやめてください、物静かな妖夢さんのほうが可愛くて好きですよ」 「「少し黙っててください!」」 直後二人にしばき倒されて意識を刈られた。愛の為せる合体技? 結局、俺が寝てる間に魔理沙が自白したらしく俺が起きるのを待って 時折惚気を混ぜた説教を小一時間くらうハメになった。 欝だ、奴らが俺とまったく関係ないところでのみ幸せになりますように。 さて、説教から開放されて帰ろうって雰囲気だがその前にだ。 「お前なー、せめて説教は一人で受けてやろうとか悪いのは私だ! って庇ってくれるとかそういう気遣いは無いのか」 「なんで○○を庇わなきゃならないんだ?それはお前の役目だろう」 「ふざけんな白黒、ネコ娘の時にそうやって庇ったおかげで酷い目にあったのを忘れたとは言わせんぞ」 「記憶に無いな」 「同じ意味だっつーの!」 「なんだと、丁度むしゃくしゃしてたんだ勝負なら受けてたつぜ」 「すいませんでした俺が悪かったです」 「早ッ!?」 「二人とも仲がいいのね」 いつの間にか幽々子様が背後に居た、いつの間に・・・とも思ったが まぁ、俺の感知スキルなんぞ対人でしか役に立たん。 「気のせいじゃないですか、誰がこんな突撃ガサツ娘と」 「はッ、私だって利害が一致してなきゃこんなへたれ色情魔と組みたくないね」 「言ってくれるじゃねーか、恋愛成就率ゼロの恋符使いさんよ」 「なんだとこのヘタレ野郎、お前こそこれだけアプローチかけて誰にも相手にされて無いじゃないか」 またしても口論になりそうになった俺達だったが次の一言は完全に予想外だった。 「あら、そんなことないわよ」 「「はい?」」 「あなたが要らないならちょっと○○借りるわよ~」 「ふはははははァ!見たか魔理沙、俺の実力をッ! では行きましょうか、幽々子様」 「あら、様付けなんてしなくていいわ。○○の好きなように呼んでくれていいのよ」 「あ・・・」 「ん、どうかしたのか魔理沙?」 「ッ・・・別になんでもないぜ、じゃあな!」 そういうと魔理沙はいつもより素早く(当社比120%)帰っていった。 ハラでも減ったのかね、そんなんだから色気が出ないんだ。 「さて、邪魔者も帰った事だし行きましょうか幽々子様」 「邪魔者が居なくなった割りに寂しそうな顔をしてるわよ?」 ・・・・・・ 「気のせいですよ」 「本当に~?」 「えぇ、それよりも俺を呼び止めた用事はなんです?」 「あら、寂しい私を慰めてくれるんじゃなかったのかしら」 「ありゃ、いいんですか。幽々子様がお望みとあらば朝までお付き合いしますよ」 「それは楽しみね、妖夢ったらあれで聞こえて無いつもりらしいから・・・ね」 「成る程、それは拷問ですねぇ」 「とりあえずはご飯食べに行きましょう、ご飯。」 「白玉楼のご飯は絶品ですが・・・俺食べたら死んだりしませんか?」 「あら、最近はちゃんと考えて食材選んでるから大丈夫よ」 今晩は楽しみだぜ、俺もご無沙汰だったしなぁ。 しかし魔理沙のヤツ最後に何を言いかけたんだろう? --------------------------- 「くそっ、なんで私が苛々しなきゃいけないんだ・・・ 別にアイツが上手くいったっていいじゃないか、最初からそういう目的で 手を結んでたわけだし。しかし幽々子もなんであんなヤツの事なんか・・・ 絶対に感性がおかしいぜ。しかしなんで私が上手くいかなかったんだ。 でも上手くいってたらアイツはどんなふうに思うんだろう?」 「ッ・・・馬鹿馬鹿しい!さっさと温泉入って寝て忘れよう」 「いいえ、その悩みはあなたが自分で白黒つけるべき葛藤です」 「なッ!?」 ---------------------------- 夜と朝の境界 ---------------------------- むぅ、朝か・・・・・・朝日が少し黄色いぜ、異変か? 「がんばっちゃったせいでしょ」 「ゆゆ様が魅力的だったからですよ」 「あなたもなかなか良かったわ、本気になっちゃおうかしら」 「お互いの為にやめておいたほうがいいでしょうな」 「あら、怒らないのね」 「ゆゆ様は待っているのでしょう、気長な事だ」 「あらら、紫かしら」 「正確には藍さんに」 「知っていて尚・・・ね、○○は何故そこまでしてくれるのかしら」 「それはもちろんゆゆ様が美しいk」 「・・・・・・」 やれやれだ。 「誰にも話してないはずですが?」 「女の勘、かしら」 「本当は?」 「紫に聞いたら教えてくれたわ」 「女の勘って凄いですね・・・」 「それで?」 「・・・・・・自己満足ですよ。自分には無かったものを 人に与える事で 得ようとしてるだけです。それがなんなのかを知らないのに。」 「だから鈍感なのね」 「いや、一応向こうでは研究と実践を重ねた結果9割以上の女性の 心理と傾向を把握して動けてましたよ?」 「その1割が大事なのよ、魔理沙を泣かせてたじゃない」 身に覚えが無い・・・ハズだ、覚えが無いハズなんだが・・・ 「なんのことかサッパリ分かりませんな」 「うふふ、やっぱり貴方達似てるわ」 「あんなガサツで自分から弾につっこむようなドジっ娘と一緒にしないで頂きたい」 「あら、自分の為の愛を知らない癖に他人に愛を振りまくあたりそっくりよ」 「そうですか、仮に俺とアイツが同類だとして何だと言うんです?」 目を逸らしてる。何から逸らしてるのかも自覚しないようにしてる。 「うふふ、その悩みは○○が自分で答えを見つけるべき葛藤よ」 「分かりかねます」 「あら、拗ねないでよ。」 だけどまぁ、これだけ本当の事を他人から言われちゃったんだしいい機会だ。 「拗ねてません、そこまで言うなら今度の宴会までに答えを見つけておきますよ」 目を逸らし続けてるという事はソレが何なのか理解してるって事だ。 「がんばってね、応援しちゃうから」 次の宴会までに覚悟を決めればいい、その時向き合おう。 「しかしまぁ、自分が悩むハメになるとは思いませんでしたよ」 「いい経験よ~・・・だけど」 「だけど、なんです?」 「偶に癒しに来てね」 「構いませんけど、いいんですか?」 「いいんじゃないかしら、その程度で揺らぐ愛じゃないから」 「あー、朝からご馳走様です」 オマケ 「そろそろ起こしに行っても大丈夫かな」 「うーん、しかしアレだな」 「どうしたの●●」 「幽々子様達の・・・その、アレが聞こえたって事は」 「言わないで、今凄く自己嫌悪に陥ってるから。」 「俺か妖夢の部屋離れかどこかに移してもらおうか・・・」 -------------------------- キング○リムゾン! -------------------------- 白玉楼で幽々子様としっぽりしてから数ヶ月。 俺は今地獄に居た。(比喩的な意味で無く) 何故こんな所にいるかと言うと話は遡って前回の宴会の時。 何時も通りに宴会に馳せ参じると今まで見たこと無いくらい狼狽した魔理沙に遭遇した。 丁度いい、ここでキッパリと言わねばならぬ事がある。 「その・・・○○・・・わたしは・・・」 「おっと魔理沙、その先を聞くわけにはいかないな」 俺の返しが予想外だったのか、それとも何か勘違いしたのか泣きそうな顔をしたのでデコピンをお見舞いしてやった 「痛っ」 「俺は俺を否定できない、俺は俺の決めた道を最速で突っ走る。 そしてその為には魔理沙、『今』その先を聞くわけにはいかない。 その前に成さねばならん事がある」 「なんだか分からないけどその「成さねばならん事」って何なんだ?」 「俺は愛の伝道師だ、やっかみの他称だろうと自称だろうとそう在ると決めた。 故に女性に愛をもたらすのが宿命だ。細かい所は違うだろうがお前もそうだろう?」 「まぁ、分からなくも無いぜ・・・だけど、それと何の関係があるんだ?」 「俺は一人しか居ないからな、一人ずつしか幸せにできん。故に俺は幽々子様の笑顔を取り戻す為に××を迎えに行ってくる」 「誰だそりゃ?というかどこに居るのか分かってるのか?」 「幽々子様の恋人、今地獄で罪を償ってる」 「なっ・・・何言ってるんだ○○!それってお前が死んじゃうって事じゃないか!」 「誰が死ぬか、閻魔様に頼み込んで罪の償いを手伝わせてもらうだけだ」 「嫌だそんなの!結局○○が地獄の苦しみを味わう事になるのは変わらないじゃないか! ○○、私はッ」 そっと指先で魔理沙の唇に触れる、思ったよりも柔らかくてこれからの事を 思うと魔理沙の言うとおり逃げたくなるが、それは許されない。 俺が俺を許すわけにいかない。 「その先は聞けないと言っただろ? 何、帰ってきたらちゃんと聞いてやるし 俺から10倍返しで言いたいこともしてやりたい事もある。 ・・・なーんて言うと死亡フラグだなwww」 「○○!ふざけてる場合じゃないぜ!」 「大真面目さ、じゃあまた『後』でな」 その後、宴会に来ていた閻魔様(これがまた可愛かったが隣の大男と眼があって諦めた)に 何とか頼み込んで××の贖罪を手伝う許可をもらって地獄へ降りた。 「そして今に至る、と」 「○○さん、また独り言ですか?」 「日記に代わりさ、△△。何も無い所だが記憶と心はあるからな 俺達が顕界なり冥界なりに戻るまでの暇潰しだ。」 割と気楽に会話してるように見えるが霊峰富士の如く積み上がった昔の罪人達に関する 罪状等をひたすら整理しながらである。俺が地獄に来た時は衆合地獄の責め苦を××が 耐え切った所で、ぶっちゃけもう終わりかけてるんじゃないのか?とも思ったが 転生やら何やらにはまだ徳が足りないらしく、生身の人間も一緒にできる贖罪の一環として この書庫の整理を言い渡されたのだった。 「○○さん、大叫喚地獄に関する資料ってどこに置くんでしたっけ?」 「0869-ろ-5429の列にその年代のヤツがあったぜ」 「了解、行ってきますー」 -------------- 本人達の感覚で数十年くらい -------------- そんなこんなで働いてる時間が分からなくなった頃、宴会で会った素敵な閻魔様が現れた。 「△△、あなたの転生の日取りが決まりました」 「お言葉ですが映姫様、僕は彼女と同j」 「分かっています、この場合の転生は種族変えという意味です。 ちゃんと西行寺幽々子と同じ亡霊として白玉楼に住めるよう手配してあります」 「ありがとうございますッ!」 おー、よかったよかった。来た甲斐があったってもんだ、多分。 「さて、○○。あなたは何故ここに居るのかまだ覚えていますか?」 「西行寺幽々子の笑顔を取り戻す為、自分自身に嘘をつかないため。 そして何よりも己の道理を通した上で伝えたい思いがあるから『だぜ』」 「驚いた・・・よく覚えているものです、この書庫での時間は数十年にも感じたのではないのですか?」 「だからこそ俺は俺の思いと待たせている女の為だけに生きていたのさ」 「馬鹿も突き抜ければそれはそれで一つの道理なのかもしれませんね。 あなたにできる善行はそこのドアを開けてさっさと顕界に戻る事です」 「△△はいつ出れるんです?」 「もう冥界に行きましたよ」 早ッ!?挨拶無し!?と、思いきや目の前に置手紙で簡潔に別れと謝辞が書いてあった。 まぁ仕事中に何度も怒られたし謝られたし感謝されたからいいか。 「じゃあ娑婆に帰らせてもらいますね」 「その用法は・・・まぁ人間達の間では正しいので良しとしましょう」 「じゃあ映姫様、お世話になりました」 「彼女とお幸せに、○○」 ----------------- 地獄門の裏(顕界的な意味で) ----------------- 「おぉ、さすが顕界。空気が旨くて朝日が眩しいぜ」 「ここはキノコだらけで空気が悪いし今は昼過ぎだぜ」 振り返ればそこに懐かしい白黒の姿 「森の中で魔法使いに会うと攫われて食われるんだったか?」 「あぁ、攫って食ってやる。どれだけ待ったと思ってるんだ?」 「んー、10年くらいっ」 「残念、3ヶ月だ。」 この空気が好きだった 「外れか、罰ゲームは何かあるのかな?」 「相棒、空気を読もうぜ」 一緒に居ると何でもできそうな気がした 「了解、じゃあ言うぜ・・・俺は霧雨魔理沙の事g「私は○○の事が好きだ!」・・・」 「ズルいぜ相棒」 「罰ゲームってやつだぜ相棒」 そして何よりも 「おい魔理沙」 「何だよ○○」 「愛してるぜ」 「言うのが遅いんだよ、馬鹿」 俺は普通の魔法使い霧雨 魔理沙の事を大好きらしい。 おまけと言う名の蛇足① 「そう言えば何で私だけ最後まで告白されなかったんだ?」 「なんかお前の事見た時、可愛い女の子じゃなくて同類として認識しちゃったんだよね」 「なんだそりゃ?」 「同じにおいがする、とかコイツとは仲良くなれそうだとか、すけこまち・・・じゃなくてスケコマシだとか。」 「ひどいぜ○○」 「お前も似たような感想だったんじゃないか?」 「禁則事項です☆」 「・・・・・・霖之助さんから何を奪った?」 「面白そうな漫画があったからパk・・・インスパイアしたんだぜ」 「悪い子にはおしおきだべー」 「いやーおそわれるー」 「あんたら神社でサカるなッ!」 蛇足② 「ただいま戻りました幽々子様」 「おかえりなさい△△」 「なんかごく普通に見えるけどアレでいいんですか妖夢さん、こう長い間離れてたんだから もっと色々「あいたかったわっ」とか言って熱烈なハグとかしないんですかね?」 「知りませんよ、△△さん自体私は知りませんし。」 「妖夢ー、●●ちゃん~。紹介するわ、私の旦那の△△よ」 「「結婚済み!?」」 「言ってなかったんですか幽々子様?」 「えぇ、聞かれなかったもの」 「とりあえず・・・その、旦那様って呼ばせていただきますけど 旦那様のお部屋は俺と同じように離れでよろしいのでしょうか」 「要らないわ」 「幽々子様?」 「ご飯もしばらく要らないから」 「「幽々子様!?」」 「それと、迎えに行くまで母屋に近寄っちゃ嫌よ?」 「あはは、挨拶はまた今度しっかりとさせてもらうね」 「△△さん引きずられて行っちゃいましたね」 「妖夢、しばらく離れのほうで一緒に寝ようか」 「●●さん!?」 「もちろん従者的な意味で、邪魔できないでしょ?」 「・・・そうですね」 蛇足③ あやややや:そう言えば○○さんが目を逸らしていたものって何だったんですか? ○○:そりゃ愛する女さ あやややや:なんで目を逸らしてたんです? ○○:誰かをマジに好きになった事がなかったからこっ恥ずかしかったんだよ。 あやややや:えー、初対面の私の肩に手を回していきなり口説いて来た貴方にそんな感情が? 魔理沙:ほほう、それは初耳だな あやややや:じゃあ私はこれで失礼しますねっ ○○:裏切ったなブンヤ!OK落ち着けまいふぇあれでぃ、昔の事だし文には彼氏が居るし今の俺達には関係ない 魔理沙:それこそ私には関係ないぜ、嫉妬の心も恋心!恋符「マスタースパーク」! ○○:ッアー!? 色々と終われ うpろだ285・380・943 ─────────────────────────────────────────────────────────── 此処は紅魔館、俺は吸血鬼もどきの執事である 最近嬉しかった事は腐敗が止まった事だ まぁそんな事はどうでもいい、俺はいま廊下の掃除をしている、窓開けて館を換気しているのだ 「曇りじゃ無いと死んじまうぜ」 なんたって一応吸血鬼、日光は大敵だ 長い廊下の先、もそもそと何か動いてやがる 「・・・白黒か」 どっからどう見ても忍び込んだ霧雨魔理沙だ 「何してるんだ魔理沙君?」 「うひゃぁぁ!?・・・なんだ○○か」 「また勝手に侵入してきたのか、借りた本は返せよ?」 「解ってるって、借りるって事は返すって事だろ?返す気が無いなら借りるなんて言わないぜ」 「そういうことは一度でも返してから言いなさい」 「はっはっは」 まぁ言って聞くなら苦労しないけどな 「パチュリー様ならレミリア様と一緒にお茶を飲んでる、お前もご一緒すれば?」 「あー・・・○○の休憩はまだなのか?」 「休憩?俺の?基本的に各自自由でいつでもいいんだけどな」 「ふーん・・・じゃあさ・・・お茶にしないか?」 「いや、だからパチュリー様が」 「そうじゃなくて・・・私と、お前で、レミリアが居ちゃ一緒にお茶もできないだろ?」 「あ、ああ・・・じゃあ何処か部屋にいくか」 「と言うわけで救護室にお邪魔する」 とりあえず行き場の無い俺達はティーセットのあるメイドの憩い場、救護室にお邪魔する事になった 「○○さんと魔理沙さん・・・珍しい組み合わせですね」 「すいません、何かお邪魔しちゃったみたいで」 救護室では数人の妖精メイドが雑談していた 「いいんですよ~どうせ井戸端会議だしwwそれにここはみんなの憩いの場ですから~誰が使っても構いませんよ」 救護メイド、通称救ちゃん、この救護室は彼女の根城だ 常にうろうろしている他のメイドと違いこの部屋に常に居る、保険のせんせーみたいなもんらしい 「じゃあ魔理沙さんとごゆっくり~・・・後でkwsk教えてくださいね」 なんて親指たてて退室しやがった、いまだに何を言ってるのか解らないときがある 「あー・・・じゃあ茶でも飲むか」 「あ、ああ・・・その・・・これ、よかったら・・・食べてくれるとありがたいぜ」 懐から出した小さな紙袋? 恐る恐る(失礼)開けてみる・・・おお、クッキィだ、星型だし、スターダストレヴァリエッ! 「い、いびつで悪かったな・・・始めてなんだから大目にみてくれ」 甘い香り、シナモン? とりあえずミントティーを入れる ミントティーに柔らかな午後の光と~ なんてやったら死ぬけどな、日光だめ 「へぇ・・・初めてにしては上手に作ったな・・・うむ、味も美味い・・・うーむ、乙女ティックが止まらない」 「そ、そうか、口にあったか・・・よかった」 何だかな、間が持たない、白黒がいつもと違うのでやりにくい そういえば何だかいい香りがして・・・コロンか?魔理沙が香水?・・・しかしこれは 「なぁ魔理沙・・・今日はその・・・なんで俺と?」 しょうがないので直球で、内閣低めのストレート(嘘 「た、ただ何となくだぜ!別に深い意味は・・・その・・・」 調子狂うなぁ、何だか今日は魔理沙が女の子してて・・・なんだか 救護室のテーブルはあまり広くない、だからか、魔理沙が凄く近い、魔理沙の香りも、息遣いさえも、わかるほど 身を乗り出せばキスだってできそうなぐらい、近い、いかんいかん、意識してしまう 「なぁ○○・・・」 寄るな、意識して、しまうだろ 「私はさ」 勝手に一人で突っ走って、思春期の少年か俺は、頼むから加速する脳内妄想よ、止まってくれ 「○○?大丈夫か?」 「あ、ああだいじょうb」 確認しておこう、俺は俯いてた、魔理沙は俺を心配して「身を乗り出して」はなしかけた そして俺は顔を上げた 唇が触れ合ってしまった、正確に言えば掠った程度だろう、だがそれでも十分だったこんなに近い所に顔があるそれだけで 「~~~~」 魔理沙は驚いて、真っ赤になって飛びのいた、俺は驚いてのけぞった 「ま、魔理沙・・・その・・・大丈夫か?」 今度は魔理沙が俯いている、真っ赤になって やっぱり、いや一段と気まずい、これはこれは、この空気に耐えられないよ 「あ、あれは・・・その・・・かうんとしないぜ」 「カウント?なにが?」 「だから・・・その・・・キスに」 あ、やばい、これは凄い威力だ、ぐらっときた 「じゃあ魔理沙、これはカウントしてくれるか?」 ちょっと肩を引っ張って、体制の崩れた魔理沙を抱きとめた 「○、○○!?○○!?冗談は―」 互いに硬直、魔理沙は魔理沙で目を瞑ってなんか待ってるし、でも俺はやっぱりチキンで吸血鬼もどきで もう何時間経っただろうか、いや実際まだ一分経ってないんじゃない? これはオッケーって事なんですよね?しますよ?いいですか? 「・・・・・・」 よし、する、するからちょっと待って・・・よし、いくぞう・・・ 「ああもうじれったい!キスするならさっさとぶちゅーっとやっちゃいなさいよ!!」 「きゅ、救ちゃん!?だめだって!もうちょっとだったかもしれないじゃん!」 「えーだってあの鶏肉野郎があんまりへたれてるもんだからしょうがないじゃん」 勢いよくドアが開いたと思ったら救ちゃん+妖精メイド三人計四人が 状況から察するにドアに聞き耳を立ててたんでしょう、ああもう、このこったら 「ななな、なんでお前ら別の部屋に行ったんじゃなかったのかよ!!?」 「あわわわわわ」 俺も魔理沙も混乱、魔理沙は驚きのあまり壊れた 「こんなwktkするギャルゲーみたいなイベントを!この救ちゃんが!見逃すとでも思ってるんですかっ!!」 何か偉そうに言ってるけどただの盗聴だよ、せっかくいい空気が、見事にぶち壊しだよ 「大体ですね!あの体制まで持っていったのになぜ!ってああ!?」 残りの三人が救ちゃんを引き摺っていきました、何か断末魔が聞こえたのは気のせい 「は、ははは・・・魔理沙?」 「あ、ああ、だいじょうぶだぜ・・・はははは」 何となく調子が戻った気がする さっきのは惜しかったけど・・・まぁ気にしない 「○○・・・さっきの続き・・・する?」 「ま、魔理沙・・・そ、そうだな・・・」 「ぷっ、はっははは!なに緊張してるんだよ!○○の癖に」 「う、五月蝿いな!緊張するに決まってんだろ!」 「・・・ねぇ○○、何で緊張してるか教えてよ」 「・・・・・・好きな女のキスしそうな状況だから、だよ」 「あっ・・・ばか、いきなり告白かよ、ずるいぜ」 「はっ、お前も真っ赤だ、緊張してるか?」 「あ、当たり前だ、好きな男とキスしそうな状況だから、な」 そのまま、ゆっくりと、唇を重ねた キスってのはいろんな事を、意味を孕んでる、気持ちを伝える行為だったり、性交における前菜として、挨拶だったり 何となく、俺は魔理沙を好きだって気持ちが伝わるように、そう思って 「ぷはっ・・・これは・・・カウントするのか?」 「も、もちろん・・・はじめてのカウントだぜ」 「魔理沙のはじめて、俺が貰ったわけか」 「ば、ばっか!なんか・・・恥ずかしい」 今日の魔理沙は乙女してる、いや正確に言えば、そういう娘なのか、なのだ 「茶が冷めちまったな、入れなおそう」 「あ、ああ・・・クッキィも、食べてくれよ?」 「もちろん、魔理沙の手作りクッキィはありがたくいただきます」 これから魔理沙の言うカウントができなくなるぐらい、キスできればいいな、なんて思ったのは秘密 これは蛇足だが後日メイドの間で魔理沙と俺の噂がすごく流れた、しかもいじられるのはやっぱり俺 ああ、救ちゃんめ、今に見てろ、何かしら仕返ししてやる・・・返り討ちにあいそうだけどな ~終~ うpろだ357 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「若!棚入れ終わりましたっ!」 「おう、ごくろうさん・・・じゃあ今日は店じまい、御疲れさん」 俺は、若大将でござる、若旦那でござる 恋色魔法使いに惚れてるんだが・・・なかなか告白とは行かない なんせ相手は魔法使い、普通の男が普通に告白してなびく奴じゃ無いはずだ 「はて、さて、どうしたもんか」 店のもんは全員帰ったし、俺も実家の方に帰ろうか そう思った時、酷い雨が降り出した 雷と、風と、大粒の、雨 「こりゃ・・・酷いな」 龍神さんの予報にない大雨だ 「すぐ止むかねぇ・・・朝まで続けばちょっと危ない事になりそうだな」 まぁ川が溢れようが山が崩れようが、問題ないだろ 幻想郷が危なかったら変な巫女と変な妖怪sが何とかしてくれるらしいし 店の戸を閉めようと立て付けの悪い戸を、ガタガタやってると 「じゃまするぜっ!」 との隙間をするりと、何かが入ってきた 「へ?は?」 「よう○○!ちょっと雨宿りさせてくれ」 ついさっきまで告白がどうのと考えていた、相手 霧雨魔理沙、本人であった しかも俺の名前を、覚えててくれて 「あ、悪いもう閉めるところだったか」 「い、いや、大丈夫だ!ゆっくりして行け」 そうそう、平常心だ 「悪いな、急に振り出すし雷も危ないし、風も強いし」 よく見ればずぶ濡れだ、これはいかん 「おい魔理沙、風呂入れ、風邪ひくぞ」 「え、あ、ああ・・・ありがと」 風呂に案内し、着替えがないか探す事にする ・・・ ・・・しょうがない、親父にゃナイショだ 店にあった女物の服(上下)ちと大きめだが、まぁいいだろ 戸越に魔理沙に話しかける 「おい魔理沙、着替えは此処においとくぞ」 「あ、ありがとう・・・」 「脱いだ服は絞ったらもってこい、乾かすから」 囲炉裏に火を入れる、火の上には部屋を横断するワイヤー これに吊るせば、乾くのが早い ちょっと眼を離すと燃えたりするが 「○○?その・・・あがったぜ」 「ちゃんと温まったか?」 へいじょうしんへいうじょうしん だぼだぼの服着た魔理沙がやばいです、そでとか、すそとか へいじょうしんへいじょうしん 「此処につるしとけば早く乾く」 白黒の服、スカートとか色々、吊るして、乾かす、ついでに帽子も 「ん?それはいいのか?一緒に乾かして」 「ハンカチか何かだと思ったんです」by幻想郷在住:匿名希望さん 「あ、いや、これは」 ぽと、落としたものが 「あ」 「あ」 下着でした、そういえばすっかり忘れてた 「あ・・・あはははは」 「HAHAHAHAHAHAHA!」 笑ってごまかした、二人とも 火にあたる魔理沙 晩飯を用意する俺 なんとも奇妙な 「ん?待てよ・・・・今魔理沙はノーパn」 げふんげふん、というかがんばれ理性 「魔理沙は食べるか?豚汁と魚の塩焼きだ」 「ありがたく頂くぜ」 二人して飯を食う、魚の焼き加減がどうとか、里芋が崩れてるだとか ちっとも御淑やかじゃなく、文句ばかり言ってる魔理沙、でもその方が彼女らしいし、可愛い 雨は止む気配がない、止まないと面倒だと思っていた雨が、今は少しありがたい 「・・・止まないな」 「ああ、これは困ったぜ」 もう日付が変わる頃かな 「ま、布団は余計にあるし、泊まっていけよ」 「え、いや、でも、お前に迷惑じゃ」 「じゃあこの嵐の中家まで帰れるか?箒じゃ無理だろうな、だからといって歩くのも大変だろう、それにお前の服は乾いていない」 「あー・・・うん・・・」 「ま、無理はすんな、遠慮せずに泊まっていけ、それに・・・迷惑だと思ったら此処までしてやらんさ」 「・・・それじゃあその・・・お世話になるぜ」 とりあえず布団引いて行燈・・・ちょっと暗いかな? 囲炉裏の火も消して、寝ることにしたんだが 「○○?寝た?」 「起きてる」 寝れるわけねぇだろ、隣に好きな女が居るのに意識せずにいれたら尊敬するねっ! 「その・・・色々ありがとうな」 「・・・気にするな、困った時はお互い様だ」 珍しくしおらしい魔理沙 いつも商品をかっぱらっていくときの、妖怪たちと弾幕ごっこをしているときの、彼女とは違う一面 「なぁ○○・・・好きな女とかっているか」 「!!!????」 いきなり何ツー事を聞いてくれるんだ、修学旅行じゃ無いんだぞ!?、しんぞうばくばく、どきがむねむね 「ええと・・・その」 ああ居るぜ・・・そいつは幻想郷一可愛い娘だ・・・お前だよ魔理沙、なんてことは言えるわけなく 「い、いるにはいる」 動揺しながらやっとこさ言えた台詞だった 「そ、そうか・・・それって・・・私が知ってる奴か?」 ええ知ってますでしょう、当たり前だろう、お前がお前を知らないでどうするんだっちゅーの! いつの間にか身を起こして、互いに、近い距離に 「知ってるはずだ、お前以上に詳しい奴も居ないんじゃないか?」 「私が知ってる・・・アリス、いや」 ○○と面識がありかつ私がよく知っている人物・・・アリスか霊夢か、パチュリーか?いやあいつはヒッキーだからな(酷 「うーん・・・霊夢か?」 「はぁ・・・違うよ」 「じゃあアリスか?」 「違うっ!」 気がつくと魔理沙の両手を、掴んで引き寄せていた 「俺が好きなのはっ!魔理「ズンっ!!」 「きゃっ!?」 「うをっ!!?」 近くに、とても近くに雷が落ちたらしい 「・・・凄かったな」 「耳が痛いぜ」 なんて間が悪い雷だ、チクショウ、怨むぜ 「あの・・・○○?」 「え?」 いつの間にやら魔理沙を抱きしめていた、魔理沙も俺を強く抱きしめて―― 「あ、わ」 互いにぱっと身を離した まだドキドキしている 「え、あ・・・寝ようか」 「そ、そうだな!寝ようか」 こんな状況で寝れるわけねぇだろ、と思ってたけどあっさり寝れた 神経が図太いのかね 「おい○○、起きろ」 「ん、あー・・・あさか」 起きてみれば雨はすっかり止んで快晴だ それに、魔理沙もいつもの白黒になってる 「えと・・・色々とありがとうな」 「いやいや、困ったときはお互い様、俺が困ってたら助けてくれ」 「ふふ、解ったぜ」 彼女は箒に乗って、帰ってしまう 「魔理沙、ちょっといいか?」 「ん?なんだ」 大きく息を吸って!しんこきゅー 「俺さ、お前が、霧雨魔理沙が好きだ、昨日言い損ねたから、言っとく」 勢いで、言えた 見ているだけだった時から、こんなに 「○、○?」 「悪いな、呼び止めちまって、じゃあ「ちょっと待て!」 店に戻ろうとしたら怒鳴られた 「へ?え?」 「・・・返事ぐらい・・・ちゃんと聞いてくれよ」 「あ、ああ」 へんじ、断られるのか、それとも・・・ 「その・・・わ、私も、お前が・・・好きだぜ」 今すぐにでも、魔理沙を抱きしめてしまいたい、でも自重しよう 「魔理沙・・・」 「な、なんだ?」 「あとで人気のないとこrげふんげふん・・・お前の家に、行っていいか?」 「あ、ああ・・・待ってる」 「じゃあまた後でな」 そう言って、見送った まだちょっと放心状態みたいになってるけど・・・ 思いっきり叫びたい、魔理沙愛してる、って叫びたいけど、我慢 それに予定も出来たし 店は・・・今日は閉めてていいだろ はてさて、早く支度して魔理沙の家に行こうじゃないか 何しに行くかって?ナニしに行くんじゃない、イチャイチャしに行くんだっ!! ~終~ うpろだ396 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「よう魔法使い」 「やぁ雑魚妖怪」 森の中、出くわしたのは魔法使いと一人の妖怪 つい最近知り合いになった二人、会うのはこれが3回目か 「その雑魚から逃げ出すので精一杯だった君はもっと雑魚と言う事か」 「う、五月蝿い、今日こそ、勝つぜ」 一回目の遭遇、それはきのこ集めの途中だった 偶然出会って、歩く片付けるはずが全然敵わなくて何とか逃げる事はできたが・・・ 2回目の遭遇もきのこ集めの最中だった 妖怪はこの間の勝負が面白かったからもう一度やろう、と言い出した ルールもあったし、見返りも有ったから受けて立った 結果は引き分け、痛み分け ルールは殺さない程度、負けた方が勝った方の言う事を一つ聞く、それだけ 「それじゃあ・・・よーい・・・スタートッ!」 妖怪は接近戦が得意だ、距離をつめられたら間違いなくやられる 故に開始と同時に後ろに跳んだ、そしてそのまま上空へ 「恋符!イリュージョンレーザー!」 真っ直ぐに突き抜ける閃光、光の柱 「愚直!その起動は見飽きた」 それをするりと避ける、避ける、木々を足場に宙の魔理沙へ肉薄する 「ちっ、恋符!マスタースパークッ!!」 「この瞬間を待ってたぜっ!」 妖怪の手にした数珠?のようなものがつ世光を帯びた 「防腐!じゃなくて防符!菊花!」 「な、なにっ!?」 華のように広がった光は盾となりマスタースパークを完全に受けきったのだった 「どうだ?これが俺の本領発揮だ・・・」 魔理沙が絶対の自信を持っているマスタースパークをあえて受けることによってプレッシャーをかける そして菊花がある限り魔理沙の攻撃は通らない、大技は無意味だ、と言う印象を植え付ける 「う・・・ちぃっ!」 旋回し更に上空へ、あいつがこんな隠しだまを・・・ 真っ向からマスタースパークを受けきった、恐らくダブルスパークも、スターダストレヴァリエも、効かないかもしれない 「・・・どうする・・・どうする」 菊花は正面の攻撃にはめっぽう強いのだろう、だからレーザー系は正面から打っても無駄、どっかの誰かみたいにグニョグニョ曲がる弾幕が撃てれば・・・ 「砲呪、飛火燕」 鳥の形をした炎が様々な角度から襲い来る 「遠距離技もっ!あるのかよ!」 油断していた所への攻撃に何とか対処する 「ははっ!どっかの不老不死程の火力はないが、それで十分だ」 あいつめ、全然強いじゃあないか、この前引き分けたときより、全然強い 「これは、どうだ?」 物は試し、私は私の必殺技を放った 「恋心、ダブルスパーク!!」 「これがお前の最高技か!」 余裕の顔を装ってはいたが内心ヒヤッと、肝が冷えた おいおい、マスタースパークの比じゃないレベルの威力じゃねぇか、受けきれるか?ギリギリ、いや・・・ 「防符!菊花!あぁぁぁぁぁっ!!」 ズ、ンッ・・・ 凄まじい爆発、幻想郷が揺れる、衝撃 「はぁっはぁっ・・・はぁ・・・殺しちまったか?」 煙が晴れる、其処には 妖怪が立っていた、服はぼろぼろ数珠にはヒビが入っている 「・・・やってくれたじゃねぇか、良い威力だった」 まさか、受けられてしまうとは、思ってもいなかった あいつにもダメージはあるが私のも相当な負荷が掛かっている、もう大技は撃てない、それはあいつも同じだろう 菊花を壊した今、あいつの防御手段は少ない 「マジックナパーム!」 大技のせいで手足に体に、ガタが来ている、正直動くのも辛い 妖怪と決闘なんてして、こんなに痛い思いをしてまで、もう嫌だ、痛いだけで何もないじゃ無いか、そう思っている でも、心のどこかで、とても、とても、ワクワクしてしまっている 「はははっ!」 「如何した?何がそんなに楽しいんだ?」 「さあな!何が楽しいのか解らない、でもこの瞬間全てが、楽しい」 「はっはっは、それはお前が俺と同類だからだ」 とてつもない数の弾幕、避けれるものは避け、避けれないものは叩き落す 魔理沙の攻撃もこれが最後、この弾幕さえ抜ければ・・・俺の勝ち、だ でもそれじゃあ、芸がないし、楽しくないだろ? 向かい来る全ての弾幕を、吹き飛ばしてやる 「神風、乱気竜」 風の刃を携えた竜巻、触れた木々が細切れになっていく それを、魔理沙と魔理沙の弾幕を巻き込んで吹き飛ばした しかし、竜巻に飲まれる瞬間、魔理沙は笑ってこう言った 「右を見てみろ」 と 「右を?」 右を見た瞬間、左のほうから魔力を感じて、振り返った 其処には気に結ばれた八卦炉、既に魔砲は発動している― 「ちっ、一歩届かず、か」 俺はそのまま光に飲まれ意識を失った 「ぐっ・・・俺は・・・そうか、痛み分けか」 「いや、私の勝ちだぜ」 顔を上げると其処には魔理沙が立っていた 「そうか、お前のほうが先に起きたのか」 一応手当てしてくれたらしい、一応だけどな 「はぁ、初勝利おめでとう」 「ありがとう、だぜ」 偉く上機嫌な魔理沙、3回目にして負けた俺、でも楽しかったからな 「それで・・・俺は何をすればいいんだ?」 「あー・・・考えてなかったぜ・・・」 一人でうんうん唸ってる、いったい何をさせるつもりやら 「それじゃあ今度茸狩りにいく時に荷物もちと手伝いを頼むぜ」 「は?」 「なんだ、もんくあるのか」 いや、文句はないけど、そんな事で良いのか? 「いや、そんな事で良いのか?例えば使い魔になれって言えば茸狩りなんて毎日でも手伝ってやれるし 自分で言うのもなんだが俺は結構上級の妖怪だし、使い魔にするならもってこいで儲けもんだと思うんだが・・・」 「う~ん、一瞬考えたんだが、お前とはほら、またこうやって戦いたいし、それにその・・・友達のままでいたいし・・・その・・・」 「魔理沙・・・お前って凄くいい奴だ」 こんな良いやつを見たのは初めてだ、コイツとならきっといい友達でいられる、そう思える ただちょっと純粋すぎる、まぶしい 「ほ、誉めても何も出ないぜ!」 「別に誉めてるわけじゃねぇよ、ただお前がいい女だって、俺が思ったから口にしただけだ」 今度は赤くなってあわててるし、単純で、莫迦で、実に可愛い 「なぁ妖怪、そういえばお前の名前聞いてないぜ」 「ああ?そういえば言ってなかったか・・・俺は――ってんだ、憶えとけよ、魔理沙」 「お、おう・・・それじゃあ、神社に行って茶でも飲もうぜ」 「お、いいな、茶菓子はあるか?あの貧乏神社に」 「この間私が煎餅をおいてったけど・・・残ってるか?」 「じゃあなんか買っていくか、そうすりゃ貧乏巫女も喜ぶだろ」 焼け野原になっちまった此処の始末は・・・まぁ巫女に任せとけば良いだろ そのためにちょっと高めな茶菓子を持っていこう 里一番の菓子の店で・・・ 「おーい、早く行こうぜ」 「ああ、それじゃあ行こうか」 まぁ、面倒な事は後回しだ、どうせ何とかなる そんな投げやり思考、でもそれでいい 俺は魔理沙の後について里へ向かう 面倒な考えを投げやって彼女を見た 俺の頭の中はこの面白い少女のことでいっぱいだったからだ うpろだ411 ─────────────────────────────────────────────────────────── 当然っちゃあ当然なのだろうが、そろそろ明かりが欲しくなるような時間帯であるというのに、その家にはランプの一つも灯っていなかった。 寝ているのではないか。普通ならそう思うところだが今回はそうなっていないという確信がある。 勝手に玄関を開け、暗闇の中散らかりに散らかった家の中をずんずん進む。目的の人物は自室にいるだろう。 着いた。見慣れた扉を叩く。 「帰れ」 無視。ドアノブを回して中に入る。 直後、飛んできた枕を受け止める。これでも弾幕ごっこは出来なくもない。どこぞの巫女をはじめとする人外達に勝てる気はしないが。 例えるならイージーを辛うじてクリアできる程度の奴がいきなりルナティックに挑戦する感じ。 受け止めた枕を相手に投げ返すと、ぼふ、という音と共に枕は相手の顔に直撃する。 しかし酷いものだ。当てる気も避ける気も無いとは。 普段俺を笑いながら伸している姿――俺がどう足掻いても辿り着けないあの姿からは想像できない。 「随分と沈んでるじゃないか――魔理沙」 「………お前もかよ、○○」 闇に慣れてきた目の奥で、ベッドの奥にうずくまる少女――霧雨魔理沙が弱々しい目でこちらを睨んできた。 仮に目線が凶器になったとしても、それでは蚊に刺された位にしか感じないな、等と下らない事を考える。 「お前もかよ、ってことは結構な人数が来たみたいだな」 まあ、こんなもんが他の奴らの目に触れればな、と思わなくもない。 俺の手にあるのは文々。新聞の最新号。霧雨魔理沙がどこぞの神様に喧嘩を吹っかけたはいいもののあっさりと返り討ち、という内容のものだ。 そんなニュースが幻想郷に広がれば、まあその後は想像が付く。 今まで魔理沙に一蹴されていたような存在が、こぞって彼女に押しかけて日頃の鬱憤を晴らすべく言葉を投げかけていくのだ。 実力行使ではなく、言葉での攻撃なのがここでのポイントだ。 反論しようにも、力で黙らせようにも、魔理沙には既に負け犬のレッテルが張り付いている。 だから、彼女はただ黙っているしかなかったのだろう。負け犬が何を吼えても遠吠えにしかならないのだから。 とはいえ――― 「ホントだったんだな、お前のその様子を見る限りだと」 びくり、と魔理沙が肩を震わせる。 俺がここを尋ねた理由は、事の真偽を確かめたかったからだ。真偽を確かめたかったのは、信じられなかったからだ。 吸血鬼を倒し、亡霊の姫を倒し、永遠人を倒し、更には閻魔様まで倒してのけた魔理沙――それを上回る存在が現れたなんて、俺には信じられなかったからだ。 勿論日頃色々なことに巻き込まれている恨みを晴らしたい、という下心もまあ、あるにはあるのだが。 「どうしたんだよ、霧雨魔理沙ともあろう者が。そんなに相手が強かったのか?」 魔理沙は答えない。ただ、彼女の二つの目がこちらを弱々しく捉えているのが分かる。思った以上に衰弱しているらしい。 これ以上追い詰めても後が怖い。適当に温かい物でも作ってやってから帰る事にしよう。 予想外の事態にため息をつき、手に持っていた新聞を放り投げる。元々散らかりきっている部屋だ。今更新聞の一部や二部混ざっても変わりはしないだろう。 「……お前のせいだよ」 新聞が床に着いてからたっぷり数秒後、魔理沙はそう言い切った。その口調には、溜め込んできたものを吐き出すような重々しさが混じっていた。 「俺のせい? 俺が何をしたって言うんだよ?」 とぼけている訳ではない。本当に身に覚えが無いのだ。 「ま、確かにお前を笑いに来たつもりではあったんだけどな、もうそんな気も無くしたよ。疲れてるんだろ? 台所借りるぞ、何か温かいもん作ってやるから今日はさっさと寝とけ」 そんな俺を見て、魔理沙は「そうだよな」と呟いた。その口元に、はっきりとした自嘲の色が浮かぶ。 「――そうだよな、お前に当たったところでどうしようもないんだよな」 「………」 何を今更、と思うのだがとりあえず黙っていることにする。 「……でもな―――それでもお前が悪いんだぜ……?」 一瞬、魔理沙はその身を震わせた。まるで目の前にいる俺に怯えているように。 そして次の瞬間には、喉笛を食い千切らんばかりの勢いで、俺に言葉を叩きつけてくる。 「ああ、そうだ!! お前が全て悪いんだ! 離れないんだよ、お前が!! 本を読んでいる時も、食事の時も、息をしている時でさえも!! 何をしていてもお前のことが頭から離れてくれやしないんだ!」 魔理沙の声が、震える。 「今回だってそうだ! 誰かと弾幕撃ってれば少しは楽になると思ってたのに! だから神様にまで会ったっていうのに―――!! 消えてくれないんだよ、お前が! それどころかどんどん頭の中がお前だけになっていくんだ……!」 慣れたとはいえ闇の中にしか魔理沙の顔を窺う事が出来ない。 でも、そんな暗闇の奥、少女が涙を堪えているのが分かる。 もう自分でも何を言っているのか分かっていないに違いない。膝元にある枕を抱きしめて、続ける。 「ひっく……好きなんだよぉ……○○……」 俺は、動けない。突然の告白に戸惑っている。 「魔理沙……」 「来ないでッ!!」 歩み寄ろうとする俺を、魔理沙は枕を投げつける事で制する。 今度は受け止める事が出来なかった。顔面を埋め尽くさんばかりの枕から広がる、魔理沙の匂いが俺の心を蝕み始める。 「でもお前は……私の事……笑いに来たんだろ――? あんなに偉そうに息巻いてながら負けて帰ってきた私をカッコ悪い奴って思ってるんだろ……私の事、嫌いなんだろ――?」 自分の言葉で、魔理沙はとうとう涙をその目蓋に溢れさせる。 もう魔理沙には、外面を繕う余裕なんて残っていなかった。 「嫌だ……嫌だよぉ……嫌われたく、ないよぉ……嫌いにならないでよぉ……ぅぅ……ひっく……好きなんだよぉ……」 俺は―――衝動的に魔理沙を抱きしめていた。 子供をあやすように、優しく背中をさする。太陽の光を受けて輝く稲穂のような金色の髪越しに、魔理沙の体温が伝わってくる。 耳元で聞こえる嗚咽が、俺の脳を蕩けさせる。 「魔理沙……」 理性は言うのだ。彼女は弱っているだけだ、と。親とはぐれた子供が人恋しさで泣いているのと同じだ、と。そんな彼女の心の隙間に付け込むような最低な真似は止めろ、と。 だけど。 口が開く。蝕まれた心が、蕩けた脳が、勝手に口を開く。 言え。今言わなければ、絶対に、一生、後悔する。 言うんだ。本当の事を――埃を被って風化していく筈だった、本当の想いを。 「俺は――お前が好きだ」 瞬間、全ての音が止まったような錯覚。 「うそ……」 「嘘じゃない。気が付いたら目で追うようになっていた。箒に乗って気持ち良さそうに空を飛ぶ仕草を、嬉しそうに怪しい実験をしている表情を、弾幕ごっこの時の真っ直ぐな瞳を。 眩しかったんだ、俺には。霧雨魔理沙っていう女の子が、眩しくてたまらなかったんだ。でも、気持ちを伝える事は出来なかった。 気持ちを伝えた途端、今までが全て嘘になるんじゃないかって。夢から醒めるように全ては無くなっちゃうんじゃないかって。あの眩しさがもう無くなっちゃうんじゃないかって―――怯えてた」 「○○……」 俺の背中に、腕が回される。細く、小さな腕。 背中を這う温もりが、なけなしの勇気と混じって力になる。 「もう一度、言う。魔理沙――俺は、君が好きだ」 互いが、示し合わせたように腕の拘束を緩め、目と目を合わせて向かい合い、どちらともなく瞳を閉じる。 目蓋の闇しか見えない中、二人の息遣いだけがやたらと鮮明に聞き取れる。 唇に、何かが触れた。 その何かの正体なんて、考えるまでもない。 嘘じゃない。夢じゃない。この温もりが、全てを現実だと言い切ってくれる。 霧雨魔理沙は、ここにいる。 ―――― 「全く……私としたことが新聞の一部や二部でここまで取り乱すとはな。どうやら心にマタンゴが生えてたみたいだぜ」 一晩明けた霧雨亭、その食堂で朝食を胃に収めながら魔理沙は照れ臭そうに呟いた。 昨日の死んだような顔とは打って変わって、その表情には生気というものが満ち溢れている。 彼女が浮かべたそんな表情を笑いながら見ていると、不思議そうな目線がこちらを向く。 「どうした? 私の顔に何か付いてるか?」 「いや。やっぱり魔理沙は、そうじゃなくっちゃなって思っただけだ」 「……照れるぜ」 そう。 きっかけは太陽のように眩しいあの笑顔だったのだから。 ずっとそれを大事にしていきたいと、そう思えるのだ。 「じゃあ、行って来るぜ。私が帰った時に温かい料理と出迎えてくれると嬉しいぜ? 今回は道中、無性に芋が食べたくなるんだ」 「おう。フルコースで振舞ってやるさ」 フルコースも何も、俺が簡単な物しか作れないのは向こうも知っているのだが。 「ははっ、楽しみにしてるぜ。じゃあ――」 立ち上がった彼女はもう、何時もの彼女だ。 黒い帽子、白黒の衣装、丈夫そうな箒。 だから、これから始まっていく何時も通りの関係を、始めることにしよう。 「行って来るぜ、○○」 「いってらっしゃい、魔理沙」 箒に跨って魔理沙が矢のように飛んでいく。きっと戻ってきた時には、何かがすっきりと解決しているのだろう。 そうだ、彼女はもう絶対に負けない。 その事実が、とても誇らしかった。 10スレ目 220 ───────────────────────────────────────────────────────────
https://w.atwiki.jp/propoichathre/pages/529.html
魔理沙15 新ろだ46、49、61、73 「ごうがーい。号外ですー」 それは、平穏で怠惰な幻想郷に訪れた、異変。 「喧しいぜ。人がせっかくお茶してるときに…」 それは、各々に委ねられた、選択。 「ああ、魔理沙さん。号外、よろしければどうぞ」 「よろしくなくても置いていくんだろ?」 それが何をもたらすのか、それは誰にも分からなくて。 「パチェ、それは何?」 「天狗が置いていったのよ」 「いつものゴシップ?」 「今回は、ちょっと違うみたいよ」 それでも、何かが変わる気がした。 図書館はいつも、薄暗い。 主が日の光を嫌う性質でもあるし、間借りしている館の主人もまた、日光は天敵だからだ。 「外界への扉を開く、ねえ…」 この紅魔館の主、吸血鬼のレミリア・スカーレットは頬杖をつきながら、配られた…というか勝手に置いていかれた 号外を眺め、気だるそうに呟いた。 「あのスキマ妖怪、何を考えているのやら」 「あれの考えていることが読めるのなら、幻想郷を支配できるわ」 レミリアの真正面からの小声。白いクロスがかけられたテーブルの反対側に、見た目は彼女よりわずかに年上、といった雰囲気の少女で、 この図書館の管理者にして魔法使い、パチュリー・ノーレッジのものだ。親友にして家主が訪れているというのに、この魔法使いは分厚い 魔法書から目を離すことはないし、パチュリーの5倍は生きているこの吸血鬼も、それを咎める風でも気に障る風でもない。これが二人の、 いつものスタイルなのである。 「パチェは、どうするの?」 「…何を」 「この話、伸るか反るか。まあ、答えは想像できるのだけど」 言いながら、文文。新聞と書かれた号外を軽く投げ出す。一枚もののそれにはこんな事が書いてあった。 曰く、幻想と現を隔てる結界の管理者、八雲 紫が、神無月の初めに、その結界を一部、開く。 曰く、幻想に暮らす人妖は自由に、外界を旅することができる。 曰く、然るべき用紙に記入して署名し、土産を持ち帰り、なおかつ神無月の終わりまでに戻るのであれば、何も縛りはない。 「多分、それ、外れてるわよ」 へえ、と意外そうにレミリアは呟いた。 「ということは」 「ええ。あのスキマ妖怪の企みに、乗ってあげるわ」 突然レミリアの顔が変わった。一転、つまらなそうに息を吐く。 「なあんだ。私の予想通りじゃない」 その一言に、初めてパチュリーは本から顔を上げた。目を細め、威嚇するような視線を親友に向ける。 「どういう意味よ」 「私に知られてないとでも思ったのかしら?愛しの彼と外界デートに洒落込もうとしてるんでしょう?」 「…彼って、誰のことよ」 「あれ」 レミリアが向けた視線の先には、ハタキを振るって本棚の埃を取り除く、ジャージ姿の青年、☆☆がいた。正確には少年と青年の狭間、といった容貌で、 彼は数ヶ月前から、この図書館でパチュリーの使い魔と共に、雑用として働く身の上である。 「随分、お熱を上げてるみたいじゃない。妖精メイド達が色めいているわよ?いつ想いが通じ合うのかって」 魔法使いは何も答えずに、また黙々と文字を目で追い始めたが、その頬の色が全てを語っていた。それに満足したのか、わずかに笑みを湛えて、レミリアは 傍らのティーカップを手に取った。 「早くしないと、あなたの使い魔に取られてしまうかもしれないわよ?」 パチュリーの目が僅かに泳いだのを、吸血鬼は見逃さない。その様子がおもしろくて、さらに追撃をかけようとして、それは思わぬ反撃によって遮られた。 「レミィも、人のこと言えた義理じゃないでしょう?」 カップを口元に運んでいた手が、止まる。 「あなたの場合は大変よね。何せ恋敵が盛りだくさんだもの」 この紅魔館には現在、3人の人間が暮らしている。瀟洒で完全なメイド、十六夜咲夜。図書館雑用にして、パチュリーの意中の人☆☆、 そして──レミリアが森で見つけ、血の提供と雑用を条件に、館で住み込み働く●●。 その彼の事を、そして彼を取り巻く状況をさらりと口に出されて、レミリアの顔から余裕の色が消えていく。 「咲夜も、フランも、さらには美鈴もかしら?妖精メイド達が色めいているわよ?誰が彼の心を射止めるかって」 「…言うじゃない、パチェ」 そうでもないわ、と軽く流して、涼しい顔で本を読み続けるパチュリー。一方のレミリアは、観念したかのように息を吐いた。 「そういえば、その●●は?手元に置かなくて大丈夫なの?」 「美鈴と一緒に、庭の手入れをしてるはずだわ」 「ずいぶんと余裕じゃない」 「私には、優秀な従者がいるから」 「…なるほど、ね」 レミリアは●●を、自分の力や権力を駆使して手元に置くようなことはほとんどしない。それは自分の他にも、彼に心惹かれる人妖が いるからだ。別にトラブルを恐れている訳でなく、●●を狙う咲夜や美鈴、フランドールは互いを牽制し合い、結局何もできないのを見越しているのだ。 しかしこの時、庭ではレミリアの目論見が完全に崩れ去っていた。 「えへへ、●●の背中っておっきいねー」 「そうですか?」 「うん。それにあったかい」 「あ、あの妹様、そろそろ私にも、代わってくれないですかねー、なんて」 「寝言は寝てからいいなさい、美鈴。次に彼の背中に頬擦りするのはこの私、十六夜咲夜に決まってるじゃない」 「だーめ。お断りします(AA略)」 「あ、あの、フランドール様、美鈴さん、咲夜さん?お、落ち着いて…」 「いまは わたしの ばしょだ。 うばいかえせばよい。…できるものなら」 「「こ ろ し て で も う ば い と る !」」 「…!」 「どうしたの、レミィ?」 「何か今、非常にマズい運命が見えたわ」 カップをソーサーに置いて、立ち上がるレミリアを見たパチュリーは、ああ、また『紅魔館・女のガチンコバトル!~(主に美鈴の)ポロリもあるよ!~』 が始まるんだなと気づいたが、自分に被害が及びそうに無いので何も言わなかった。他人の潰し合いというのは、なかなかにどうして、見てる分には おもしろいのだ。 「まだ日が高いから、日傘を忘れずにね」 「ありがと、パチェ」 ダッシュで出口へ駆けていくレミリアは、気づかなかった。 パチュリーが読んでいた本は、魔法書などではなく、魔法書に隠して正面からは分からないようにしていた、タウン情報誌別冊の「おススメデートスポット」 だったことに。 紅魔館で、人智を超えたキャットファイト(第13回戦)が始まろうとしていた頃。 「会いに行こうぜ!」 「誰に」 魔法の森の中にある、小さな一軒家。 流しに立ち、洗い物をしていた若者──△△の背中に、威勢のよい声がかかった。 「△△の両親にだよ!」 その瞬間、皿を水に漬ける手が止まった。それに気づいていないのか、さらに声が畳み掛けられる。 「それに、外って一回見てみたいんだよ、私。すごいとこなんだろ?」 「…まあ、幻想郷と比べれば、魔境みたいなものかもしれないな」 △△の声が、僅かに暗くなっていることにようやく気づいて、声の主の少女──霧雨 魔理沙は、読んでいた号外から目を離し、 今だ手が止まったままの彼を見遣った。 「…△△?」 「そうだな、いい機会かもしれない」 その独白は、魔理沙へ向けられたものというよりは、まるで自身に言い聞かせているようで。 「かわいい俺の奥さんに、俺の故郷を見てもらうのも、悪くないかもな」 言いながら、肩越しに振り返った△△の声は、すでにいつもの調子を取り戻していた。魔理沙は心に引っかかるものを感じたが、 それ以上に恥ずかしいセリフを聞いてしまったので、それどころではなかった。 「…ば、バカ。真顔でそういうこと、言うなよ」 「嫌か?」 「い、嫌なわけないだろ!」 頬を真っ赤に染めて俯いていた魔理沙は、飛び切りの笑顔で顔を上げ。 「そうだな。素敵な私の旦那様の故郷、見てみたいぜ!」 かくして、目的はそれぞれあれど、少女達は。 幻想郷からほんのちょっと、旅立つことを決めたのだった。 ───── 「ということで、ここで解散にしましょう。いいですか、羽目を外しすぎず、節度を持って行動することが、貴方達に積める善行です。 そう、貴方達は──」 「ということで映姫様のありがたーい小姑のお小言はこれにて終了!みんな気をつけていきな!」 「ち、ちょっと小町!まだ話は終わ」 「はいはいこんな往来で留まってたら迷惑ですし宿の時間に遅れそうなんでさっさと電車に乗りますよ。ほら、■■も急ぐよ!」 言いながら、普段以上に生き生きとした様子の死神は、同じく死神に成り立ての見習い、■■の手を掴むと、引きずるようにして 早足で自動改札へ歩いていく。 「ま、待ちなさい小町!■■!」 肩から提げたボストンバックを揺らして必死に着いていく閻魔様を見送りながら、△△は修学旅行を思い浮かべたが、口にすると 悔悟の棒が飛んできそうなので何も言わなかった。その少女趣味全開なフリフリスカートとか、ボストンバックで揺れているクマさん ストラップとか、突っ込みたい所は多々あったが、他の人妖達と同じように、小町に引きずられて苦笑しながら手を振る■■に、ただ 手を振り返しているだけに留めた。 小町は慣れた手つきで自動改札を潜り抜け、続いて■■を改札に通し、いきなりブザーとフラップドアが閉まってオロオロしている 映姫を見かねて係員を呼びにいき、駅員の操作でようやく通過できて、何度も何度もその駅員に頭を下げている彼女の手を掴むと また早足で歩き出し、二人の手を引きながら、「京浜東北線」と書かれた水色の案内板の階段を上っていき── そこで姿が見えなくなった。 慣れたものだなあ、と感心しながら見送っていると、ふいに紫が口を開いた。 「じゃあ、ここでお別れね」 企画者自身もやっぱりマヨヒガの客人××との旅が嬉しいのか、いつもの胡散臭さが若干薄れた(気がする)笑顔で、口元に 当てた扇子をパタンと閉じた。その出で立ちは、名前のような紫を基調とした着物姿で、聞くところによると、隣でのほほんと 彼女の式の式、橙とじゃれあっている彼の希望だとか。 「神無月の終わりに、またここで会いましょう」 「皆さんも、お気をつけて」 丁寧な口調で紫とその式、藍から旅行鞄を受け取り、踵を返そうとした××と八雲一家に、亡霊の姫君、幽々子が声を掛ける。 「そっちはどこへ行くのかしら?」 「ちょっと、西のほうへ、ね」 信じられないことに、僅かに頬を染めて、どこか恥らうような幻想郷最強クラスの妖怪。普段の彼女を知る他の者…つまりほぼ 全員が目を瞬かせたが、どうやら幻術の類ではないらしい。ただ幽々子は「あらあら、そういうことね」と笑みを深くし、 意外なことに△△も、どこか納得したように頷いていた。それもそのはずである。××とは同じ迷い込んだ身の上で知らない仲 でもなかったし、いつぞやに彼は「出身は西の方」と話していたのを覚えていた。 (多分、挨拶に行くんだろうな、両親に) その性格はともかく、見た目は周囲の一般人の衆目を引くほどに麗しい。そんな彼女を連れての挨拶の意味など、ひとつしかない。 (ご祝儀、どうするか…) 気の早いことを考えながら、閻魔、死神組と同じ改札を抜け、東海道新幹線への乗換え口を目指して遠ざかる四人の背中を見ていると、 残りの面々も、ざわざわと動き始めた。 「お腹すいたわ~。ねえ◇◇、どこかで軽く食べていかない?」 「あなたの軽くは、ぜんぜん軽くじゃないでしょ。しかも途中のす○家でメガ牛丼食べたばかりでしょうに…3つも」 「あら、あれおやつでしょう?」 「そんなこと真顔で言わんでください…」 ニコニコ顔の華胥の亡霊とは対象的に、うんざりした顔で呟く◇◇。話によると彼らは全国のうまいものを巡って海を越え、山を越え 全国を回るらしい。食費を捻出するため移動は高速バスと普通列車中心で、そのほとんどを安いビジネスホテルなどで過ごすのだとか。 日程的に一番きついのでは、と△△は思う。しかし「惚れた人のたっての願いくらい、叶えてやりたいじゃないか」と笑う彼の 顔を思い出して、彼自身もそれなりに楽しんでいるんじゃないかとも思う。改札へ向かわずに、挨拶を済ませて談笑しながら高速バス 乗り場へ連れ立って歩く二人の顔を見ていると、なおさらそう思う。 ちなみに幽々子の従者である半人半霊の庭師は、今回主と別行動らしい。お互いに想い人がいるのでどちらが気を回したのかは分からない が、彼女──魂魄 妖夢は先日晴れて恋人同士となった(と文文。新聞ですっぱ抜かれた)◆◆とと共に、主の一歩後に改札を抜けていた。 雑談したところでは、こちらも妖夢の希望で、関の刃物市や刀鍛冶を見に行くのだという。彼のその隣で、恥ずかしそうに顔を真っ赤にしながらも 恋人繋ぎした手をぎゅっと握る彼女を思い出し、青春してるなあ…と感慨深く呟いていると、新たな声が上がった。 「私達もそろそろ行くわ」 「そうか。気をつけてな」 「ええ。そちらもね。さあ、行きましょう○○、空と燐も準備して」 「にゃー!にゃー!」 「もう、うるさいよお燐。静かにしないと置いていくよ?」 地下に篭る妖怪達が、最近地霊殿に住み着いたという○○を促して、準備を始めた。地底のムツゴ…もとい地霊殿の主にして怨霊も恐れ怯む少女、 古明地さとりは、いつもの園児っぽい…じゃなくて可愛らしいスカート姿に、あの第三の目を隠すためか、カーディガンを羽織って、△△に 微笑んだ。その隣では巨大な登山用リュックを背負ったさとりのペットにして、熱かい悩む神の火である霊烏路 空が、なぜか犬猫用の旅行用 ケージを持ってはしゃいでいる。 そういえば一人足りないなと思い、切符を確認している○○を肘でつついて、耳打ちした。 「なあ、お燐ちゃんはどこいったんだ?」 「ああ、あの中だよ」 そういって○○が指差したのは、空が「ろぉりんぐじぇっとこぉすたぁ!」と笑いながら思い切り回している腕に握られた、あの犬猫用ケージ だった。 「人の形だとどうしても耳とか、尻尾とか隠せないみたいだから、とりあえずはあの中にって、さとりが」 かわいそうだから、あとでズボンとか帽子とか買って出してやるけどな、と彼は付け足した。なるほど耳をすませば、あの高速大回転中の ケージの中から「にゃ、に、ゃ…」と今にも息絶えそうな猫の声が聞こえてくる。 (いろんな意味で可哀想だな…) △△が心の中で地獄の輪禍に合掌をしていると、ケージから「ゲェェェェ」と食事中には絶対に聞きたくない断末魔が聞こえた。 「……」 「……と、ところで、なんで空のほうは人型のままなんだ?あのでっかい羽、何かの術で隠したのか?」 断末魔は華麗にスルーして、△△はもうひとつの疑問をぶつけると、○○は今度、彼女の背負った大きなザックを指した。 「あのリュックの背中のとこ切って、あの中に羽を無理矢理仕舞ってる。空が自分で考えたんだ」 言われてみれば、おそらく容量60ℓクラスと思われるザックは異様に膨れていて、それでも窮屈なのか時折もぞもぞと蠢いている。 確かに傍目には、うまく隠せているように見える。見えるが… 「お前らも列車使うんだろ?あれ背負ったまま席に座るのか?」 「…あ」 「しかもあんなでかいの背負って街中うろつくと目につかないか?しかもなんか中で動いてるし」 「……ケージの中に入るべきは、空のほうだな」 冷や汗をかきながら、呟く○○。 哀れ地獄鴉。燐と立場が逆転することがたった今運命付けられた。おそらく、というか絶対、今ケージの中でリバースしてグロッキー 状態であろう火車は復讐に走る。それも、自身が受けたもの以上の仕打ちを以って。 (…まあ、自業自得だしな) さとり達に切符を配り、他の3組と同じように改札を済ませる彼と彼女達を見ながら、空に合掌をささげない△△は、腕時計── 衣装代の替わりに霖之助に押し付けたものだが、結局返されてしまったものだ──を覗き込み、心配そうに一人呟いた。 「あいつ、遅いな。もしかして迷ってるのか…」 死神・閻魔組のありがたい(?)お話の前に、他の面々とともに飲み物を買いに出かけたままの彼女──魔理沙がまだ、戻ってこない。 幸いまだ列車の時間までは充分にあるためその点の心配はないが、この日本有数の大きさ、日本一といっても過言ではないかと思うこの 駅のどこかで、迷ってるんじゃないか。いや、迷っているだけならまだいい。何事かに巻き込まれているんじゃないか。 考え出すと、キリが無い。探しに行こうかと思い始めたところで、 「おーい、△△ー!」 待ち焦がれた声が聞こえた。思わず振り向くと、待ち焦がれたその人が、手に何かを抱えながら走ってくるのが見える。 「…遅いぞ、探しに行こうかと思った」 「ここ、広すぎだぜ!レミリアのとこより、デカい、ぜ、きっと…」 肩で息をしながら、思い切り安心したように笑う魔理沙。どうやら彼女も心細かったようで、空いてる左手で△△の右手を掴んだ。 「ところで、一緒に買出しに言ったご一行様は?」 永琳とその伴侶、鈴仙とその想い人、アリスとその恋人、妹紅と慧音、その彼女達の同居人。ともに出かけた面子が見当たらないことを 不思議に思い尋ねると、魔理沙は服選びのとき一緒に調達したトートバックに飲み物を仕舞いながら言った。 「ああ、なんか別の、カイサツ、って言うのか?のほうが近いからって、そのまま行ったぜ。みんなに気をつけて、って伝えてくれとさ」 言いながら魔理沙は辺りを見渡し、ほとんどいなくなったなとつぶやいた。 「みんな私が来る前に行ってしまうなんてひどいぜ」 「…ほんとはそう思ってないだろ」 分かるか?と△△を見上げた魔理沙の顔は、心の底から湧き出たような笑みで。 「こうやって気兼ねなく、△△にぎゅーってできるからな」 そのまま彼の背中に手を回し、言葉通りに抱きつく魔理沙。家路を急いだり、会社に戻る途中の人の「うわあこのバカップル」 「妬ましいわ」「見せ付けてくれるじゃないの」「ウツダシノウ。オレンジノデンシャ二トビコンデシノウ」という生暖かい視線を 苦笑いで受けながら、できれば気兼ねてほしいななんて思いながらもやめさせるつもりは全く無く、そんな魔理沙の綺麗な髪を、 さらりと撫でた。 「私が●●の隣よ。そういう運命なの」 「だめー!●●と私が一緒なの!そんな運命なんて壊しちゃうから!お姉様は咲夜と美鈴と三人で座ればいいじゃない!」 「ふ、二人とも落ち着いて…」 「いけませんお嬢様、妹様、下賎な人間と相席など。ここは私、十六夜咲夜が、しっかりと●●と愛を深め…じゃなかった、 監視のために同席します!」 「わ、私も隣がいいなー、なんて…」 「「「な ん か 言 っ た ?」」」 「な、なんでもないですぅぅぅ」 「いつまでやっているのかしら…」 「ホントですね、パチュリー様。その点私達は三人で仲良く座ればいいですもんね」 「…チッ」 「?何か言いました?」 「…何も」 「ほらパチュリー、行儀悪いからキャリーバッグの上に座って本読まない!」 「そうですよパチュリー様。☆☆さんの言うとおりです」 「むきゅー…」 何か後ろが騒がしいが、魔理沙も△△も他人のフリをした。後ろを顧みることは決してせずに、それぞれ旅行鞄とトートバッグを掴むと、 二人もまた、改札に向けて歩き出した。 「なあ、△△」 「どうした、魔理沙」 繋いでいた手を解かれて、どうしたんだと思った瞬間、左腕がぎゅうっと、暖かい感触に包まれる。顔を向けると、魔理沙が左腕に抱きついて、 思わずドキリとするような笑顔で。 「いっぱい、楽しい思い出、作るんだぜ!」 そんな顔されて断れるはずも、断るつもりも毛頭持ち合わせていない。△△も照れたように笑みを返して、頷いた。 騒がしい方向に駅員と鉄道警察隊の警察官が走っていく姿を視界の端に捉えたが、そんなことはすぐあちこち珍しそうに見回しながら、 いろいろ聞いてくる魔理沙とのやりとりに上書きされて、忘却の彼方に飛ばされてしまった。 というか飛ばした。 ────── 「本日はJR東日本、寝台特急──」 車掌の声がスピーカー越しに、少しくぐもって響いている。 「ふう、ギリギリだったぜ」 「あちこち寄り道しすぎたな」 魔理沙と△△は、顔を見合わせて笑った。 「見るもの全部初めてだからな。ついついはしゃいじまったぜ」 シーツが敷かれ、二人文の浴衣と毛布、掛け布団が用意されて、きちんとベッドメイクされたその上に、魔理沙はバタリと仰向けに 倒れた。流れるブロンドの髪が、さらりと白の上に広がる。 「あのぬいぐるみ、もう少しで取れそうだったんだけどな」 「あのゲームはなかなか取れないように出来てるんだよ」 「なあ、最後の日にもう一回チャレンジしてもいいか?」 「金と時間が、残ってたらな」 上野の駅に向かったはいいが、時間まで結構余裕があったため、二人は駅の周りで軽くデートを楽しむことにした。 山手線の車窓に浮かぶ夜の東京に「すごい…ほんとにすごいぜ。こんな景色見たこと無い!」と呆然と立ち尽くしたり、 ホームに降りた後も、5分と置かず次々やってきては人の群れを吐き出しては飲み込んで去っていく電車を彼女がおもしろそうに 見ていたり、初めに立ち寄ったゲームセンターでは、魔理沙がぬいぐるみのつまったクレーンゲームをひどく気に入り、 野口さんがお一人いなくなるまでにのめり込み、財政危機が迫っていると判断した△△が筐体にしがみつく魔理沙を無理矢理引き剥がしたり、 近くのファーストフード店で初めてハンバーガーに挑戦した魔理沙が、「食べづらいけどなかなか旨い!」と顔を綻ばせたり、 雑貨屋やアクセサリーショップを巡る度に「べ、別に欲しいとか思ってるわけじゃないんだぜ!」と強がりながらも羨ましそうな 顔で商品を見回す魔理沙に、「あとでこっそりプレゼントしてあげよう」と心の内で決意しているうちに、あっという間に時間が過ぎてしまい。 生涯ここまで一生懸命走ったことはないんじゃないかというほどの勢いで二人は走り続け、ベルが鳴る13番ホームから青い客車に文字通り、 飛び乗った。列車はどうも二人を待ってくれていたようで、乗り込んだとほぼ同時に扉が閉まり、今に至る。 「駆け込み乗車はするものじゃないな」 △△が苦笑していると、隣で寝転がる魔理沙がなんの気なしに聞いてきた。 「なあ、これに乗れなかったらどうなってたんだ?」 「…明日の朝まで野宿、だったかもしれない」 「間に合ってよかったぜ…」 ホッとしながら、もう一回笑う魔理沙。本当にそうだなと答えてから、△△は窓のカーテンを開く。 「…外の世界って、こんなにすごいんだな」 窓の向こうには、夜を迎えて尚活動し続ける、東京の街並みが流れていく。煌々とその色や形を変えながら輝くネオン。天界にまで続いて いるんじゃないかと思うほどに高い建物にも余すところ無く明かりが灯っている。高速道路に並ぶ車の列が赤々と連なり、隣やその向こうの 線路を走る長い電車にもぎっしりと、人の形が見て取れた。 「△△は、こんなところで暮らしてたんだな…」 「まあ、俺が住んでた所はもっと田舎で、街もぜんぜん小さいけどな」 不意に車窓が途切れた。どうやらトンネルか何かに入ったらしく、風を切る音が響く。 「…どうした?」 声音に何かに怯えるような、少し震えた響きを感じて振り返ると、魔理沙が微笑んでいた。 だけどそれは、どこか寂しげで。 その唇が、弱々しく動く。 「やっぱり、帰りたいか?」 「何言って──」 「だって、悲しそうに、外見てるから」 不意に開けた車窓。止んだ風切り音。 『次は、大宮です──』 部屋に響く、車掌のアナウンス。 魔理沙が気づいたときには、△△はその小さな体に覆いかぶさり、抱きしめていた。 「△、△?」 「確かに、懐かしいなって思ってたことは認める。1年も幻想郷で暮らしてないのにな」 だけどな、と呟いて、心なしか腕に力を込めた△△。その声が、吐息と共に魔理沙の耳に染み込んでいく。 「俺が今帰る場所は、お前の傍だよ、魔理沙」 「△、△…」 「別にこっちの世界が嫌になったとか、そんなんじゃない。ただ、魔理沙の隣がいいんだ、俺は」 列車がブレーキをかけたのか、部屋が軽く揺れた。流れる景色が徐々に遅くなって、駅の構内を照らす白い光が、窓から差し込む 頃には、魔理沙の腕が△△の背に回され、離すまいときつく抱きついていた。 「わたしも、だぜ」 「魔理沙…」 「私の場所は、これからもずっと、お前の隣だ。絶対、絶対に譲らないからな」 「望むところだ」 「お前がこっちに戻りたいって言ったら、意地でもついて行くからな。魔法店も全部引き払って、こっちで魔法使いになってやるぜ」 「今のとこは考えてねえよ」 「でも、明日お前の親御さんに何か言われたら、分からないだろ?」 その時、△△の体が、わずかに、ほんの僅かにぴくりと跳ねたように魔理沙は感じた。それきり言葉を発しなくなった彼に不審を抱き、 声を掛けようすると、それを制して△△が口を開いた。 「明日、明日まで何も、聞かないでくれないか」 弱々しい呟きが、魔理沙の耳にかかる。 「それも含めて、明日、全部話すから」 それ、というのが一体何を指すのか、魔理沙はよく分からなかった。だが、自分がどうすればいいのかは、分かっていた。 「分かった。何も聞かないぜ」 あやす様に、優しい声で△△の背中を撫でながら、魔理沙はゆっくりと言葉を紡いだ。 「その代わり、待ってるからな。お前が話してくれるのを」 「ああ。…ありがとう」 ゆっくりと離れていく△△の顔は、まだどこか寂しそうで、それを見た魔理沙の心が締め付けられたが、少なくとも声はいつもの 調子を取り戻しており、それが僅かな救いだった。 「…魔理沙の体を堪能してたら、喉渇いたな。飲み物もらうぞ」 「言い方がやらしいぜ…ってお、おい!」 魔理沙の静止は間に合わず、トートバックからペットボトルの紅茶を探し当てると、蓋を捻り開け、ぐいっと喉に流し込んだ△△。 それを見てわずかに曇る魔理沙の顔。寝転がっていた上体を起こし、ぶーぶーと抗議の声を上げた。 「…それ、私のだぜ」 「知ってる」 「私も喉、渇いてるんだぜ」 「知ってる。だから、こうする」 顔を上にしてもう一度紅茶を口に注ぎ込んだ△△は、そのまま顔を魔理沙に近づけて── 「ちょ、ちょっと!なにっく、んん、んく…」 重ねられた二人の唇。△△のそれを通って、魔理沙の口に少しづつ注がれる、ひどく甘くて、ひどく香る紅茶。最初は驚いていた 魔理沙だったが、次第に積極性を増し、彼女の舌が彼の口に僅かに残ったストレートティの残滓を舐め取るように嬲った。 「うまかったか、紅茶」 「…甘いな。甘くて癖になりそうだ」 「そいつは困ったな」 「困ったぜ。だから、こうする」 今度は魔理沙が紅茶を口にすると、△△に口付ける。両腕で首を抱き、離れないようにしっかり抱きとめて、紅茶をゆっくり流し込む。 それが飲み干されると、今度は互いの口の中を味わうように、舌が絡み合う。 「っは…、本当だ、確かに甘いな」 「だろ?」 「これは、癖になってもしょうがない」 「全くだぜ」 どちらとも無くベッドに倒れ、横になって見つめ合い、照れた笑いを浮かべる二人を邪魔するものは、この個室にはなくて。 そんな甘い時間を乗せて、夜行列車は遥か北を目指し、大宮の駅を滑り出す。夜を抜け、朝を駆け、日が高く上る頃には着くだろう。 ただ惜しむらくは── カーテン全開で、ホーム上の帰宅客に全て丸見えであったことだ。まあ気にせずに、というか気づかないまま、口付けを再開した二人には 些細なことなのだろう。 ──── 『ご乗車、ありがとうございました。あお──』 朝の喧騒が一段落した北の終着駅は、秋晴れの穏やかな日差しに包まれていた。 夜行列車から降りた人々は、乗り換えのため、駅を出るため、ホームの階段を登っていく。 「だいぶ人が少ないな。昨日とは大違いだぜ」 「住んでる人の数からして違いすぎるんだから、しょうがないだろ」 その中に、二人の姿があった。 旅行用のバッグを手に、東口と書かれた案内板の方へ歩を進める△△と、いつもの白黒エプロンドレス姿──ではない、 「普通の」魔法使い、霧雨 魔理沙。 「なあ」 「どうした?忘れ物か?」 いつもの有り余るくらいの溌剌さは鳴りを潜め。 自分の姿をあちこち見回し、縮こまった声で魔理沙は、傍らを歩く△△を向いた。 「や、やっぱ、私の格好、変なのか?」 「急に何を……」 「な、なんか、周りの視線が、な」 すれ違う人、追い越す人、追い越される人、座る人。その幾人かが二人を一瞥したり、振り返ったりしている。人だかりやひそひそと 話し込まれるほどではないが、少なくとも周りに溶け込んでいるとは言えそうに無い。 頬を僅かに赤くして、恥ずかしそうに縮む魔理沙を△△は振り返った。 「そんなに変な服を選んだつもりはないんだけどな…」 幻想郷から旅立つ前に、香霖堂にて二人で──主に△△が──選んだ服を、魔理沙は身に纏っている。といっても、彼も自身がお洒落なほうでは ないと自覚しているので、書籍の棚に何冊か並んでいた女性ファッション誌などを参考、というかまんま手本にした結果であるが。 ヒールの若干高いパンプスにオーバーニー、短めのスカートとファージャケット。魔理沙自身の希望で、暗めの色を基調としているためか、 華美な印象は無く、むしろ地味な感じさえする。 しかし魔理沙は綺麗だから、何着ても映えるな、と考えが飛びそうになったところで、思い至った。 「ああ、そういうことか」 「何がだぜ……?」 恋人繋ぎした△△の左手を、魔理沙の右手がぎゅっと握る。これ言ったらどんな顔するかなと心の中でにんまりとしながら、△△は顔を寄せて、 そっと耳打ちした。 「……魔理沙がかわいすぎるから、みんな注目してるんだよ」 わずかな間、呆けた顔をする魔理沙。やがてその頬は急に赤みを増して、俯きながらそっぽを向いた。 「ば、ばか。そ、そんなこと、ま、真顔で、言うなよぅ……」 してやったりとニヤニヤ顔でそれを見つめる△△であったが、心の内では割と本気でそう思っていた。 染めたような不自然さが全く無い、本当に綺麗なブロンドに、どちらかといえば綺麗というより可愛さに針が振れたような顔立ち。 最近はテレビなど見られるはずもないのでよく分からないが、タレントやアイドルにもここまでの容姿はいない気がする。そんな魔理沙が 、衆目を集めるのも致し方ない。彼氏補正が多分に入っている分析だが、何が悪いのか。 彼は心の中で一人、開き直っていた。 「で、これに乗って、どこ行くんだ?」 物珍しそうに車内を見回しながら、無邪気な魔法使いは好奇心に満ちた視線を、隣席から向けてくる。 「お前のご希望通りだよ」 「私の……?」 「俺の両親に、挨拶したいんだろう?」 「…あ」 改札を抜けた二人が向かったのは、バス乗り場であった。 幸いなことに、バスはさほど待たずに来たので、今は二人でバスに揺られているところである。平日の昼間ということもあり、 乗客はまばらだ。 「こ、こんな格好で、だ、大丈夫なのか?」 「心配しすぎだ」 「で、でも、こんなに、スカートとか、み、短いし」 腿をすり合わせながら、魔理沙はスカートの裾をつかんで、ぎゅっと伸ばした。いつものエプロンドレスよりかなり短いそれは、 白い太腿を露にし、いわゆる絶対領域を作り出していた。 「大丈夫だよ」 「そ、それに、わ、私、こ、言葉だって、ら、乱暴だし」 わずかでも自覚はあるらしい。 恥じらいの止まらない彼女の頭を、△△はぐしゃぐしゃと撫でてやった。 「心配するなって。大丈夫、魔理沙は普段どおりにしてればいいんだから」 「ほ、本当、か?」 すがるように見上げた魔理沙は、また心を締め付けられるような感覚に襲われた。 ──また、だ。また── 頭に手を置いたままの△△は、魔理沙のほうを見ずに、ただ、車窓を眺めている。 ──そんなに、悲しい顔、しないでくれよ── できることなら、聞きたい。なぜそんな顔で外を眺めるのか、吐き出させてやりたい。 でも、それはできない。約束、したのだから。△△が自分で、全て話してくれるその時まで、待つと決めたのだから。 だから。 「……」 頭に置かれた手を下ろして、魔理沙はその腕を抱きしめると、ただ無言で、彼の左肩に頭を預けた。 『次は──』 エンジンの音だけが静かに響く車内に、女性の合成音声が次の停留所を告げる。 「そろそろだな。魔理沙、降りるぞ」 「え、あ、ああ」 急に掛けられた声にドギマギしながら、抱きしめた腕を放し、足元のトートバッグを掴む魔理沙の横で、△△は「降りる」の ボタンを押した。ブザーが短く響き、車内全ての降車知らせボタンが、赤く灯る。 外を見るといつの間にか街を離れていたようで、建物の背丈も低くなっていた。その代わり金色の水田や、畑、高い杉の木など、 幻想郷でも見られるような光景が広がり始めている。 『霊園です。お忘れ物無いようにお降りください』 ゆっくりとバスは速度を落とし、完全に止まった。同時に前のドアが空気の抜ける音と共に開いた。運転手のアナウンスが聞こえると、 △△は魔理沙を促して、席を立つ。 「先に降りててくれ。料金払ってるから」 「ああ、分かった」 いつもは履かない高いヒールに軽くよろめきながら、二段のステップを下り、アスファルトの硬い感触と、風の肌寒さを感じ、足元を見ていた 頭を上げて── 「え、これ……」 目の前に広がる荒涼とした光景に、魔法使いは言葉を失う。 四角い石碑が、整然と並んでいた。 大きさは多少の差はあれど、大体同じようだった。どれも台座は大きくとられ、両脇に花束が飾られたものもある。それが細い通路にそって、 かなり奥まで並んでいた。 これは、幻想郷でも見受けられる。 これは──墓だ。 さすがにこれほどの数を幻想郷で見たことは無いが、僅かに違いはあれど、それはまさしく、墓石の連なり。 死した者への、手向けの証。 「こっちだ」 気づくと、△△が傍らに立っていた。バスは彼を降ろすと扉を閉め、排気ガスを吐き出して去っていく。その煙たさに顔をゆがめた 魔理沙だったが、彼が歩き出したので、あわててついていく。隣で歩きながらいろいろ聞きたいが、背中が全てを拒絶しているように 感じられて、ただ△△のすぐ後ろを、無言で歩いていった。 ほどなくして、目の前に一軒の店の前に出た。 「ちょっと買い物してくるから、ここで待っててくれ」 「……ああ」 店の方へ歩いていく彼の背中を、魔理沙はだまって眺めていた。 どこからか、鳶の鳴き声が聞こえる。風が時折そよぎ、側に植えられた銀杏の枝を揺らす。雲はほとんどない秋晴れで、その空の青さが どこか悲しげに見えるのは、ここが墓所だからだろうか。 やがて、買い物を終えたらしい彼が、手招きしているのが見えた。自分が一人取り残されたような感覚を振り払って、慣れない靴も気にせず、 急いで彼の元へと向かう。 手に花束を持って、△△は佇んでいた。その花束は菊を中心としたもので。 すでに亡き者へ向けたものであることが、魔理沙には分かった。 この光景を目の当たりにしたときから、予感はあった。 そして今、それは確信になった。 △△の両親は、もう── 「ここだよ」 どれだけの時間が経ったかは分からないが、少しは歩いたはずだ。墓石の間の通路を半ばまで歩いたところで、△△は立ち止まった。 その前には周囲のものより一回り小さい、灰色の墓標があった。 「俺が幻想郷に迷い込む、少し前にな。事故で、逝っちまったんだ」 魔理沙は、ただ立ち尽くすことしかできなくて。ぽつりぽつりと言葉を漏らす彼の、蔭の落ちた顔を、何も言わずに見ていた。 「最後に交わした言葉が、嫁さんの顔が早く見たい、でな。まあ、親父の口癖みたいなものだったんだが──」 何かを堪えるように、△△は空を見上げ、言葉を紡ごうとして、 「何で、言ってくれなかったんだよ」 「……魔理沙」 震える魔理沙の声に、遮られた。 「何で黙ってたんだよ!言ってくれなきゃ、わからない、じゃない、か…」 その目じりに、涙を浮かべて。 「私、馬鹿じゃないか。何にも考えないで、お前の両親に会わせろって」 「…悪い」 「なんで△△が、謝るんだよ…悪いのは」 「俺だ。家族の話につらそうにしてたお前に変な気回して、結局言いそびれた俺のせいだ」 魔理沙が家族から半ば勘当のような扱いを受けていることを、△△は知っていた。だからこそ彼はなるべく家族の話はしなかったし、 彼女もまた、積極的に聞いてくることは無かった。 「だから、泣かないでくれ」 嗚咽を漏らす目の前の少女を、△△はだまって抱きとめる。片手を頭に回し、風に吹かれてさわさわと揺れる金糸の髪を梳くように撫でながら。 諭すように優しくあやす目の前の青年に、魔理沙は縋る。その胸に顔をうずめて、彼の上着を少し濡らして。 二人の間を、秋風が通り抜けていく。 どれくらい、そうしていたのか。 「落ち着いたか?」 「ああ」 △△の問いに、魔理沙は顔を上げた。涙の跡ははっきりしていたが、少しは晴れたようで、弱々しい笑顔で、見上げていた。 「じゃ、親父とお袋に、挨拶してくれないか。ちょっとばかし遅かったが、ようやく親父の心配を、掃けそうだしな」 「…分かった」 二人連れ立って、墓の前に並ぶ。 「親父、お袋、紹介するよ。俺の大切な──」 「霧雨、魔理沙です」 言いながら、軽く頭を下げる魔理沙。 「仕事は、魔法使いです。家事の類は、それなりにこなせます」 「部屋は片付けられないけどな」 「あれは片付けられないんじゃなくて、一時的に置いてるだけだぜ」 「それを片付けられないっていうんだよ」 「なにをぅ!?」 はは、と笑った△△の顔は、いつもの調子を取り戻し。 「この人にこうやっていじめられながら、毎日過ごしています」 「仮にも親への挨拶でひどい言い草だなお前」 「同棲生活の事実を伝えてるだけだぜ」 朗らかに笑う魔理沙の顔も、いつものものに戻っていた。 「…花束、貸してくれないか」 「ほら」 花束を受け取ると、少しかがんで墓前に供えた魔理沙は、両手を合わせて、軽く目を閉じる。 ──どうか、この人と一緒になることを、許してください。 そんな願いを、乗せながら。 「というわけだから」 「きゃ!」 きゅうに抱き寄せられ、彼女は思わず声を上げた。 「俺、こいつと一緒に生きていくことにしたんだ。だから、心配しないでくれ」 そういって△△は、墓石に笑顔を向けた。 「まあ、なかなか顔も見せられないだろうけど、孫の顔は見せに来るから、さ」 「ま、孫って…」 とたんに赤くなる魔理沙の頬は、風に舞う紅葉の葉のようで。 「…嫌か?」 意地悪な笑みで、魔理沙の顔を覗き込む△△に。 「そんなわけ、ないだろっ!」 頭上の太陽のような笑みで、魔理沙はぎゅっと抱きついた。 「……行くか」 「…うん」 向き直った二人の手は、しっかり握り締められて。 「また、来るから」 「また、来ますね」 別れの言葉を、墓前に残して。 魔理沙と△△は、バス停へ、歩き始める。 そんな二人を優しく送り出すように、冷たくも寒さを感じさせない風が、ふわりと舞って通り過ぎた。
https://w.atwiki.jp/nicoten/pages/322.html
狂気の優曇華院シリーズ きょうきのうどんげいんしりーず 【タグ】 09-03-13最終更新 random_imgエラー:ご指定のファイルがありません。アップロード済みのファイルを指定してください。 「狂気の優曇華院シリーズ」とは、東方Projectの二次創作動画である「患部に止まってすぐ溶ける~狂気の優曇華院」を元に三次創作されたMADにつけられるタグ。 特にニコニコ動画の初期に元動画および派生MADが高い人気を得た。これにより、うどんげの新参ホイホイとしての地位と、「魔理沙は大変なものを盗んでいきました」と共にニコニコ動画における東方Projectの認知度上昇に大いに影響したと思われる。 また、コメントでよく用いられる「なぜ殺たし」をはじめとする「なぜ~たし」という語法は、この動画に由来する。流行していた当時、うどんげ撃墜の場面で誰かが縦書きで「なぜ殺した」とコメントしたもの(正確には「な」「ぜ」「殺」「し」「た」とコマンド「shita」で別々にコメントすることにより縦書きに見えるようにしたもの)が、バグのためか時々「なぜ殺たし」と表示されたため、らしい。 元動画 元動画の「患部に止まってすぐ溶ける~狂気の優曇華院」は、東方永夜抄のうどんげ(5面ボス)用BGM「狂気の瞳 ~ Invisible Full Moon」をベースに、同人サークルIOSYSが製作した二次創作楽曲およびそのPV動画である。 タイトルを含めうどんげの座薬ネタが主となっているが、「脱!童貞」(いわゆるキモーイガールズ)など多数のネタが入れられているのは他のIOSISの東方系作品と同じ。 なお、歌詞の「初月」に「イージーモード」と歌詞がふられているのは、原作「東方永夜抄」がイージーに「初月」、ノーマルに「三日月」・・・と字をあてているため。お、俺は心は小学生だからイージーモードでもきっと良いはず・・・ MAD これも中毒性からか人気が出たため、MADが多数製作された。これらのMADにつけられるタグが「狂気の優曇華院シリーズ」である。 余談ながら、08年12月のバトルドーム投稿祭では、このMADが別々に3つも投稿された。さらに比較版も3つ作られた。なぜわざわざこれでカブったんだ・・・もっとも「最大4人用だから」4つカブって欲しかった、という声もあったりして。 うどんげ 他のIOSIS系MAD盗んでいきましたシリーズ ウサテイシリーズ お嫁にしなさいっ!シリーズ 動画検索 「狂気の優曇華院シリーズ」でタグ検索 上位分類タグ 東方永夜抄 (タグ検索 → 検索結果) うどんげ (タグ検索 → 検索結果) random_imgエラー:ご指定のファイルがありません。アップロード済みのファイルを指定してください。 動画 原曲 元動画 sm202066患部で止まってすぐ溶ける~狂気の優曇華院(高画質・高音質版) http //www.nicovideo.jp/watch/sm202066 派生MAD sm2991979ツンでデレってすぐ入信~狂喜のツンデレ神釘宮教 http //www.nicovideo.jp/watch/sm2991979 か行の単語一覧にもどる 「タグ」関連の単語の一覧にもどる 「東方」関連の単語の一覧にもどる トップページにもどる - -
https://w.atwiki.jp/propoichathre/pages/522.html
魔理沙8 うpろだ242 幻想郷に来て早数ヶ月。 こっちに来て一番最初に知り合った魔理沙の弟子(魔法使い的な意味で)になって、 そろそろ3ヶ月が過ぎようとしている。 魔理沙の修行はスパルタを通り越して無茶としか言いようがないもので、 「実践あるのみだぜ!」と、連日某紅い館に引きずられてる。 最初こそ何も出来ずボロボロになって引きずられるように魔理沙の家に帰っていたが、 最近になってようやく被弾率が下がってきて、 どうにか怪我も少なく五体満足無事に帰路につけるようになった。 ――――これは、そんなある日のこと―――― 「持ってくぜ」 「持ってかないでー」 魔理沙とパチュリーさんが毎度お決まりのやり取りをしている間、 俺はせっせと持ち帰る本を鞄やら風呂敷やら袋やらに詰め込んでいる。 (えーっと、この前持ち帰ったのがこれの上巻だったから……) 魔理沙は無秩序に本を持って帰っているように見えるが、 実は内容を関連付けて、その系統ごとにまとめて持って帰っているのだ。 どっちかと言うと、パチュリーさんの方が無秩序に本を読んでいる感がある。 「あ、そうそう、○○」 などと考えていると、本を持っていかれることを気にした風でもなく、 最早諦めた感が漂うパチュリーさんが声をかけてきた。 魔理沙は他の本を物色しに行ってるみたいだ。 「はい? 何ですか? あ、心配しなくてもこの前持って帰った本はちゃんと後日……」 「あぁ、そっちの心配はしてないわ……この前の返事を聞きたいのだけど」 この前……あぁ、アレか。 「アレはちゃんとお断りしたはずですよ?」 「心変わりしてないかしら、と思ってね…」 「おい、何の話だ?」 あ、魔理沙が戻ってきた。って、また大量に持ってきたな……。 まぁ、別に良いか。これも修行の内、ってね。 「この前来たとき、図書館の司書にならないか、って誘われたんだよ」 あれは驚いたなぁ。本を詰め込んでるときに、 いきなり「あなた、ここの司書になりなさい」 だもんなぁ…まぁ、丁重に断ったけどさ。 「……へぇ?」 …あれ? 魔理沙、何か…怒ってる? 「どういう事だ? 私は聞いてないぜ」 「え? パチュリーさんが、 『魔理沙には話を通してある、本人がその気なら別に構わない』 って言ってたんだけど……?」 「ほほう……」 怖っ!? 魔理沙、目が据わってる! 「良い度胸じゃないか、パチュリー。 人の弟子に勝手に唾つけるのはいただけないぜ?」 「あら、言ってなかったかしら……ごめんなさい、勘違いしてたわ……」 ――バチバチッ―― ひぃっ!? 火花が、二人の視線がぶつかり合って火花が!? って言うかもうすぐ夏なのに寒っ!? 「ふん、まぁいいぜ。○○には断られたんだろ? だったら素直に諦めるんだな」 「あら、人の心は移ろうものよ……明日には気が変わってもおかしくないわ……」 「埒が明かないぜ。○○、帰るぜ」 「え? あ、あぁ…」 「○○、私はいつでも歓迎するわ……」 「あー、その……さ、さようなら……」 ――少女&青年帰宅中―― 「ふぃー、重かった……」 「だらしがないぜ」 大量に持ち帰った本を適当に置いて……ふぅ、これでようやく一息つける。 「とりあえず、お茶の準備でもするか」 この前香霖堂で買った茶葉がまだあったはずだから………。 「おっと、ちょっと待った○○」 「ん?」 「話がある」 「話? 話って何の……ひっ!?」 振り向くとそこにはとても素敵な笑顔――ただし目は笑ってない――魔理沙さんがいました。 「まぁ、座れよ」 「い、いや……とりあえず、お茶を淹れたいなー、なんて……」 「座れ」 「はい…」 震える足に鞭を打ち、どうにかイスに座る。 視線は逸らせない。逸らそうとすると殺気が溢れてくる。無論、魔理沙の方から。 「で、だ。パチュリーから誘われたこと、なんで黙ってた?」 「いや、だって、パチュリーさんが魔理沙には言ってあるって……」 「な・ん・で・黙・っ・て・た」 「すんませんでしたぁっ!!」 土下座するしかなかった。それはもう、今までしてきた土下座を超える土下座を。 「……………」 あぁ、視線が痛いっ! やましい事はしてないのに何故だっ!? 「……ま、断ったからよしとしておいてやるぜ」 「よ、よかった……」 いや、元々責められる謂れは無いんだけどね? こう、うん、分かるでしょ? 「じゃ、じゃあ、とりあえずお茶の準備を……」 「ただし!」 「はいぃっ!!」 まだあるの!? 「……今後は、誰かにそういうことを言われたら真っ先に私に言うこと」 「へ?」 「分かったな!」 「あ、あぁ、うん、分かった……」 「なら、良い」 そこでようやく、魔理沙の視線が弱まった。 表情も、どこかほっとしたような……。 「…○○? どうした? 私の顔に何かついてるか?」 「ん、や、なんでもない」 …横顔に見惚れてた、なんて言えないよ…な? 「やれやれだぜ…」 お茶の準備をしてる○○を、何とはなしにぼーっと眺める。 このまったりとした時間が、私は気に入ってる。 「にしても、パチュリーのやつ……」 人の弟子を勝手に盗ろうとするなんて…。 だけどそこは私の弟子。しっかりと誘いを断るところはさすがだぜ。 ……パチュリーに直接誘われた、ってところは、思うところが無いわけではないが。 「ま、いいさ。誰が相手でも、○○を渡す気は無いしな」 独占欲…なのかもしれない。だけど、それがどうした。 私は、魔法使いだ。一度捕らえた獲物は逃がさないぜ。 「とりあえず……」 当面の問題は、どうやって○○をその気にさせるか、だな。 フラン相手に弾幕ごっこするより、よっぽど大変だぜ……。 ─────────────────────────────────────────────────────────── うpろだ248 「あ゛ー、頭がガンガンするぜ」 「だろうな」 ゴホゴホ 「う゛ー、喉もひりひりするぜ」 「そりゃあな」 ゲホゲホ 「……お前なんか冷たくないか」 「どうかな」 梅雨もいよいよ盛りのある初夏の日のこと。 霧雨魔理沙はおでこに氷嚢を乗せながらベッドの上でダウンしていた。 そしてその傍らには椅子に座って林檎の皮を剥く○○が。 一目見ただけで何が起こったのか即座に理解できるシチュエーションだった。 魔理沙は急性鼻咽頭炎――平たく言えば風邪にかかっていた。 「こういう時は、互いの額を合わせて熱を測ったりだとかな。 もっとこう、病人に対して思い遣りってものを見せてほしいぜ」 「その病人とやらはわざわざ土砂降りの中を箒で飛び回った挙句、家の中までびしょ濡れにしてそのままぶっ倒れたんだ。 その事後処理に当たる羽目になった人間の事も考えてくれ」 「何だ、小さい事を気にする奴だな」 「もう看病してやらんぞ」 「ごめんなさい」 しとしとしとしとしとしと 「○○」 「体なら拭かんぞ」 「じゃあいい」 「……マジだったのか」 しゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃり 「○○」 「子守唄なら歌わんぞ」 「ごめん」 しゃりしゃ―― 普段と違う調子の魔理沙の言葉に○○の手が止まる。 傍の机にナイフと剥きかけの林檎を置いて○○は魔理沙の方へ目を向けた。 「どうした」 「別に、何も無いぜ」 「本当か?」 「嘘だぜ」 しとしとしとしとしとしと 「お前な……」 「でも」 「あ?」 「話したくない」 「……そうか」 「そうだぜ」 しとしとしとしとしとしと 再び二人の間に大地を打つ雨の音だけが静かに響く。 魔理沙は天井を見上げ、○○は窓の外を眺めていた。 「そろそろ変えるか、それ」 「ん? あー、そうだな」 魔理沙のおでこの上の氷嚢を指して○○が言った。 見れば中の氷もほぼ溶けきっていて、肌との間に挟んだタオルも随分と結露を含んでいた。 氷の入った袋とタオルを退けて、新しいタオルで額とついでに顔を軽く拭う。 そして○○は指で魔理沙の髪を分け、 「ちょっと目閉じてろ」 「え――――」 何で、と魔理沙が尋ねる前に自分の額を彼女のそれに当てた。 「……………」 「……………ふむ」 やがて○○の方から額を離す。 魔理沙はというと、明らかに風邪以外の要因で頬を緋に染めながら目を大きくしたまま口をぽかんと開けていた。 「多少は熱も下がったみたいだな。もうそれほど心配しなくてもいいだろ」 魔理沙が全く聞いていないのを知ってか知らずか、○○はそう言い残して部屋を出て行った。 因みにその後○○が新しい氷嚢を持って部屋に戻ってくるまで魔理沙は放心状態だった。 しと………しと…しと 「止んできたな」 「みたいだな」 「もうすっかり夜だな」 「そうだな。お前ももう寝たらどうだ」 「えー」 「喧しい。病人だったら早く寝ろ」 「じゃあ一緒に寝てくれ」 ぱら……ぱら………ぱら… 「寝言は寝て言え」 「じゃあ寝たぜ」 「お前は目を開けながら寝るのか」 「何だっていいじゃないか」 「良くない。大体んな事したら風邪がうつる――」 ぎゅっ 「………ね?」 「……」 「…………お願い」 「……反則だ」 「何だっていいじゃないか」 「良くない」 「大丈夫だ。もう熱も下がったって」 「……」 ――――――ぎし 「……今日だけだ」 「そうはさせないぜ」 「勘弁しろ」 「私は目標の為には努力を惜しまない主義でな」 「それは秘密なんじゃないのか」 「お前だからいいんだよ」 「……それも反則」 この後○○はちゃんと風邪を引きました。 お粗末。 ─────────────────────────────────────────────────────────── うpろだ272・273 「○○! 大変だ! ちょっとドア開けてくれ!!」 いつになく切迫した魔理沙の声が家の外から響く。 魔理沙が『大変』と言ってくるときは、大体 厄介事を抱えているときだ。 魔法を失敗して幼女の姿になってたこともあれば 魔法の副作用で猫耳が生えていたこともある。 そして、そのたびに彼女を元に戻すために俺が迷惑こうむってたのも、また事実。 一度など、元の姿に戻るための実験で妙なキノコを食べさせられたら どこぞの鬼もかくやというくらい巨大化してしまったこともあった。 正直、扉を開けたくはないけれど…… 開けなければマスタースパークで家ごと吹っ飛ばされるんだよなぁ…… 俺は仕方なしに家の扉を開けることにした。 「はいはい、なんだよ魔理沙。また魔法の実験失敗したのk――――」 パーフェクトフリーズでも喰らったかの様に俺の表情と体が凍りつく。 「○○……そ、その……」 魔理沙の姿はいつものままだった。 いつもの白黒の服に大きな黒帽子。 では何が問題なのかと言うと……それは魔理沙の抱きかかえている物体だ。 「あぅー……だぁ…」 それは、まっ白い布にくるまれた可愛らしい赤ん坊。 年は大体1歳に到達するかしないかといったところだろうか? 俺は冷静に状況を判断し、魔理沙に質問する。 「……OK、魔理沙……父親は誰だ? 俺じゃないことは確かだと思うが」 「それが、私にもわからないんだ……いや、と言うか、私の子供じゃないぞ!!」 むぅ、違うのか……いや、待てよ? 魔理沙の子供じゃない……ってことは―――― 「魔理沙……お前なんてことを……」 「え?」 「今ならまだ間に合う! その子を御両親の元に戻して、潔く閻魔に自首しろ! 俺もついて行ってやるから!!」 「だから なんでそうなるんだよ! 違うって! 森の中で拾ったんだよ!!」 「へ? あ、ああ…ごめん。てっきりマジックアイテムの材料にするために 攫ってきたものかと……」 「OK、それは私にマスタースパークでふっ飛ばしてほしいってことだな? だったら、望みどおりに――――」 魔理沙が八卦炉を取り出す。 「ごめんなさい すいません、謝るからマスタースパークは勘弁してくれお願い」 危ない危ない、少し言いすぎたか。 「ぐすっ……ふぇっ……」 「げ……まずい……」 魔理沙の怒声に 子供は怯えて泣き始めてしまった。 「ふぇぇぇーーーーーーん!」 「ああっ、またか!」 泣き出した子供に対する魔理沙の反応から 彼女が ここに来るまでさんざん苦労して赤ん坊を泣きやませたことを理解した。 「ああ、もう泣きやんでくれよ~……なあ○○、助けてくれ!」 「助けてくれと言われてもなぁ……」 自慢じゃないが、俺は子供の相手は結構 得意なほうだ。 実際に、里の人間に子供の御守を頼まれることは少なくない。 まあ、それだけ暇な人間と思われているのだが。 だから、魔理沙の抱きかかえている赤ん坊を泣きやませることは、そう難しくはない。 だが、こんな姿を見せる魔理沙は初めてなので俺はしばらく彼女を眺めておくことにした。 「ふぇーーん!」 「泣きやんでくれよ~…いい子だから……」 「ふぇぇーーーーん!」 「ほーら、べろべろ ばぁ~」 「びぇぇぇーーーーーん!」 「ああ……もう、どうすりゃいいんだよ…」 どうしていいかわからず赤ん坊を抱きかかえながら、あたふた オロオロする魔理沙。 そんな彼女のことをちょっと可愛いと思ったのは秘密だ。 「ほーら、高い高い~」 「いや、ちょっと待て魔理沙! そんな乱暴にするなって!!」 何を思ったか赤ん坊を一人キャッチボールし始めた魔理沙を止める。 ってか、お前ここに来るまでそうやって泣きやませてきたのかよ…… 「貸してみな、こうやって抱くんだよ」 しかし…… 「ふぇぇぇーーーーーーん!」 「って、全然泣きやまないじゃないか!!」 おかしい この赤ん坊マスター(自称)の俺にあやせない子供がいるなんて…… さてはこの赤ん坊、ただの赤ん坊と見せかけて新手のスペカ使い……って、あ 「……ひょっとしてオムツ交換か?」 赤ん坊を家の中に連れて入り、ベッドの上に乗せて確認する。 が違う、なら消去法で―――― 「たぶん腹減ってるんだな……魔理沙」 「なんだ?」 「無い胸出せ」 「は?」 しばし沈黙 そして直後に魔理沙の怒り&恥じらいゲージが一気にMAXまで上昇し―――― 「ファイナルスパ――――!!」 ―――― 極悪『赤子結界』!! フフフ……抱きかかえている赤ん坊を自分の盾にしてやったぜ!! 撃てるか? 魔理沙!! ま さ に 外 道 「な…お前、子供を盾に……」 うん、俺もひどいと思う。 赤ん坊も俺のあまりの非道さに、泣きわめいている。 「ぐっ…覚えてろよ……」 その後、赤ん坊はミルクを与えたら眠ってしまった。 俺はとりあえず赤ん坊をベッドに寝かせたのだが…… 赤ん坊を手放すや否や、さっきの失言と外道な行為をしっかり覚えていた魔理沙に ファイナルスパークを5発も喰らったことは、俺は生涯忘れないだろう。 マジで死ぬかと思った。 2日後―――― 赤ん坊のほうは、捨て子の可能性もあったが一応里に伝えは出しておいた。 そして、魔理沙はここ2日俺の家に足繁く通っている。 なんでも 「赤ん坊の世話でもお前に負けるつもりはないぜ!」 ……らしい。 さすが負けず嫌い。 最初は、赤ん坊のあやし方もまともにできなかった魔理沙も、人並み程度の子供のあやし方 そして、ミルクやおしめの交換くらいはできるようになった。 「ほ~ら、いい子だな~」 「あぶぅ……あぅ~」 赤ん坊はすごく心地よさげに魔理沙に抱きかかえられている。 そして俺は、そんな彼女の姿に ……なんていうか、ものすごく母親らしさを感じて、不覚にもドキドキしてしまっている。 あの魔理沙にこんな一面があったなんて。 「ま…ま……まま~……」 「ははっ、私のこと母親と思ってるみたいだな」 「魔理沙が母親か……世も末と言うかなんというか」 「まま~……だぁー……」 「あははっ、ママだぞ~……あと○○ー お前 後でファイナルスパーク10連発だぞー」 「……ごめんなさい許してお願い…ってか、そんなにこやかに言うな 余計怖いわ」 その時、赤ん坊が俺に向かって手を伸ばして 「あぅ~…ぱぱ~」 と一言。 「「………」」 えーと、魔理沙がママで、俺がパパってことは…… 魔理沙 + 俺 = 夫婦 「わ、私たち……夫婦に思われてるみたいだな…?」 「……あ、ああ…」 夫婦っていうか、両親と思われてるんだけどな…… いや、そんなことよりも……なんだこの雰囲気は。 えっと……これって一般的によく言われてる『いいむーど』ってやつっすかダンナ? 正直、互いに互いを妙に意識してしまって居たたまれないんすけど。 「すぅー……すぅー……」 しかも、赤ん坊はいつの間にか 『さあ、イチャイチャの時間だよ、ベイビー』 と言わんばかりに眠っちまったし。 ええい、このラブキューピッドさんめ! お前も魔理沙もぶっちゃけ大好きだ!! さりげなく心の中で魔理沙への想いも暴露する。 よし、ここからだ! 今までインポッシブルだったミッションを今日こそ―――― コンコン 「「!!」」 家の扉がノックされる。 ……ああ、憎しみで人を殺せたら! 「すまない、私だ。慧音だが」 よし、慧音か。 てめーは俺を怒らせた…… 貴様は魔理沙Loveな俺の魂を舐めたッ!! 絶対に許さんッ!! でも、お前を敵に回して caved は御免だ! だ、だから、別に許してあげないこともないんだからねっ! バカッ!! 一人脳内コントを繰り広げながら、俺は家の扉を開けた。 ガチャ! 「オウ、イラッシャイ。ドウシタヨ?」 「あ、ああ…えらく機嫌が悪そうだが、何かあったのか?」 「イーヤ、別ニ」 あからさまに帰れオーラを出している俺に、慧音は若干引いていた。 が、家の中にいる魔理沙の姿を確認すると。 「……なるほど、私はお邪魔虫だったようだな。すまない。」 「な、何を言いやがりますか―――― あ、一応言っておくがその赤ん坊は俺たちの子供じゃ――――」 「――――わかっている。それにしても、やはり間違いないようだな」 「え?」 「実は、魔理沙の抱きかかえている その赤子のことなのだが――――」 そして、慧音の話によると事の顛末はこうだった この赤ん坊の母親が子供を連れて森の中を歩いていたら、数匹の妖怪が出現 ⇒ このままでは確実に喰われると判断した母親は子供を隠し、自分が囮になって子供から妖怪を引き離す ⇒ その子供を魔理沙が見つけて拾い、俺のところに連れてくる ⇒ 慧音が子供の話を聞き、連れ帰りに来る (← 今ここ) ⇒ 紆余曲折あってイチャイチャする ⇒ ギシアン突入 なお、最後の二行は俺の妄想だ。 「その子の母親は、襲われた時に怪我をしてしまってな。 命に別条はなかったのだが、ここに来ることはできなかったんだ」 「なるほど、それで慧音が引き取りにきたわけだ……あれ、父親は?」 「ああ、その子の父親は母親の看病をさせている。この辺りもあまり安全ではない。 連れて来るのは危険だったのでな」 「なるほどなー」 「あぅー……」 「じゃあな……バイバイ……」 「あぶぅ~……ぅぅー……」 慧音に連れられて行く名残惜しそうに見つめ……彼女は一言、呟く。 「また、一人になっちまったな……」 「……魔理沙?」 ……どうしたんだ? いつもの彼女と雰囲気が違う。 別にあの赤ん坊と会えなくなるわけではない。 会おうと思えばいつでも会えるはずなのに…… 「お前も……私をおいて行くのかな……?」 俺に背を向けたまま、魔理沙は、寂しそうにぽつりと呟いた。 「魔理沙…どうしたんだ?」 「ひっく、えぐっ……」 「―――――!」 本当に予想外だった。 まさか泣かれるとは…… 『お前に迷惑かけるのが生きがいだぜ』と言わんばかりのあの魔理沙が? 何故……? 「嫌だ……私を、一人に…しないでくれ……」 「……」 なるほど、そういうことか…… 初めて見る彼女の心と姿。 宴会好きなのも、寂しがり屋な性格の裏返しだったのだろう。 「……本当に、ここ数日でお前の新しい面をいろいろ見れたと思うよ」 「……ぐすっ……え…?」 彼女を背後から優しく抱きしめた。 「え…? ちょ、○○!? 何を……」 「とりあえず、お前が安心するまで こうしとく……」 「………」 「あとさ、俺は、いなくならないよ……約束する」 彼女の緊張が急速に弛緩していくのを感じていた。 「……ありがとう………なあ、○○……」 「なんだ?」 「私さ……あの子のような、かわいい子供が欲しいぜ……」 「はは、焦らなくても、いずれできるよ」 「い、いや……そうじゃなくてだな……」 「?」 「その……だから……ああ、もう! わかるだろ! これ以上言わなくても!!」 ……? ――――! もしかして、もしかすると…… 「わからないな…言ってくれ」 「うう……もう、恥ずかしすぎて言えない……」 真っ赤になってしまっている顔に、黒帽子をかぶせて見られまいとする魔理沙。 その仕草が、殺人的に可愛い。 魔理沙可愛いよ、かわいいよまりさ。 もっと苛めたいよ、イジメたいよもっと。 「言え」 有無を言わせぬ口調で命令する。 「……っ、お前……サドだぞ……」 「言ってくれ」 「だから……その……私は、お前との……子供が欲しいんだ……」 感 無 量 ! ! 御馳走様でした。 本当に御馳走様でした。 さて、この上ない感無量を味わったところで真面目モードに戻るか。 「お前さ、いい母親になれると思うよ」 「え?」 「お前、自分の子供でもないのにちゃんと優しく接して世話してあげてたろ? 正直、見直したよ」 「○○……」 「いや、惚れなおした……って言ったほうがいいかな」 「惚れなおし……って、え? ええ?」 そこで一旦言葉を切って。 魔理沙の目を見つめて。 万感の想いをこめて彼女に言った。 「愛してるよ、魔理沙」 しばらくパチクリしていたが 唐突にボソッと呟く。 「……嘘だろ?」 「いいや、大マジさ」 そうして、未だ現実を信じ切れていない彼女の唇を優しく奪った。 そうまでして、ようやく彼女は俺の心が彼女のものだということを理解したようだ。 「私も……お前のことが好き…大好きだぜ……」 再び、キスを交わす。 今度は唇を啄ばむようなキスから 深く熱い口づけを交わしあっていく。 そうして しばらく、深い口づけを交わしあった後 俺は彼女をすぐ傍にあったベッドに押し倒した。 「うわぁっ! ○○…何を…!?」 「じゃあ、早速カワイイ子供をつくるとするか?」 「え? ちょ、そんな……私にだって、心の準備が……」 「……そうか、そうだよな……残念だ」 いや、実はここで終ってしまったらマジで自殺モノのショックなんだが あえて、魔理沙が拒絶しているという風に受け取ったフリをする。 なんて策士なんだ 俺。 「ち、ちょっと待てって! …だ……ダメってわけじゃないんだよ……」 「……」 「そ……そうじゃなくてだな……」 震えてる。 いつもの強気な彼女からは想像もつかない姿。 「そ…その……わ、私は……初めてだから、できれば優しく…してほしいんだ……」 ヤバい、元から抑えるつもりなどあまりなかったが これ以上、理性を抑えられそうにない。 そんな俺の心情を知ってか知らずか―――― 「お、お願いだ……」 上目づかいで、不安げな涙目で 頬を紅く染めて、僅かに身体を震わせている魔理沙。 これに耐えられる男がいるだろうか!? いいや! いはしまい! そして、俺は魔理沙の (省略されました 詳しい描写は省きますがこの後、魔理沙は○○がおいしくいただきました。) ───────────────────────────────────────────────────────────
https://w.atwiki.jp/cirring/pages/31.html
発表された譜面 (発表日順) ←1月 2月 3月→ 権利的な問題がある作品は掲載しない。 リストへの掲載を望まない作者はCIRRING辞典総合スレッドへ連絡願います。 曲名 作曲者 難易度 作者 サイト名 発表日 備考 SNOW PROMISE D4U 1,3 asa 望光高原 2/29 tension tio 2,5 asa 望光高原 2/29 EASY譜面追加 Freesia Mame -,9 ひゅい ひゅいの物置部屋 2/29 Endless Dream SHIKI 6,- ひゅい ひゅいの物置部屋 2/29 魔理沙は大変なものを盗んでいきました イオシス -,11 saeki SPC CIRRING WORLD 2/29 Time Signal 19 -,9 リュート むみかんそう 2/28 過去作の修正 きゅうり味のビールを飲めばいいよ! イオシス -,10 saeki SPC CIRRING WORLD 2/26 超絶技巧-2 ~vision~ onokenSHIKI asa 望光高原 2/24 EXPERT MODE SEPIA SHIKI 5,8 asa 望光高原 2/24 Felys onoken -,8 asa 望光高原 2/24 Air SHIKI -,5 Clear WIND 2/24 落花狼藉 八乙女葦菜 -,10 saeki SPC CIRRING WORLD 2/24 For Your Love cranky -,11 saeki SPC CIRRING WORLD 2/24 seagull fether 3,5 ひゅい ひゅいの物置部屋 2/23 turbulence サイレフォ -,14 saeki SPC CIRRING WORLD 2/23 J-E-N-O-V-A hira 9,- saeki SPC CIRRING WORLD 2/21 月なきみそらの道化師たち hira -,11 saeki SPC CIRRING WORLD 2/21 PAL,36 cranky -,12 saeki SPC CIRRING WORLD 2/21 Mercury Lamp SHIKI -,11 saeki SPC CIRRING WORLD 2/21 R-(R) =Red-rize Remix .ver= ノクセライド -,12 iku-take iku-takeのページ 2/21 ドリームグライダー Y.W -,9 ひゅい ひゅいの物置部屋 2/16 コルダ ごきあん 2,7 ひゅい ひゅいの物置部屋 2/16 winter story a=kar -,8 け 2/16 data.txtのみ 意味わからん EASY POP 2,9 iku-take iku-takeのページ 2/16 ちょこまじ☆ろんぐ OSTER -,9 Sasa ささかふぇ 2/14 Happy chocolate cake PON -,6 Sasa ささかふぇ 2/14 Felys onoken -,7 sks Existence 2/14 藍色 なくる 4,10 iku-take iku-takeのページ 2/13 101 kittens cranky -,7 asa 望光高原 2/12 R176 cranky 5,6 asa 望光高原 2/12 For Your Love cranky 3,7 asa 望光高原 2/12 本の旅人 葉月ゆら 4,7 イーピン 2/12 data.txtのみ ピアノ協奏曲 第1番「紫陽花」 飛び亀 6,10 飛び亀 Visionary World 2/11 HARD譜面修正 winterSHIKI -四季より冬第1楽章- K@me 6,9 ひゅい ひゅいの物置部屋 2/10 springSHIKI K@me -,8 ひゅい ひゅいの物置部屋 2/10 Over the Rave takoyaki_o 4,6 ひゅい ひゅいの物置部屋 2/10 Counterattack!! サイレントマン 4,6 Sasa ささかふぇ 2/8 Time Signal 19 -,9 リュート むみかんそう 2/4 Volumy! Yamajet -,7 iku-take iku-takeのページ 2/1
https://w.atwiki.jp/thgassaku19/pages/11.html
参加者 【提出欄の凡例】○:提出/△:不備あり/×:未提出 No. 作者 国(地域) 鉄道会社 使用路線(使用列車) 区間/使用駅 使用楽曲 アレンジ元(東方原曲) 提出(音声) 提出(動画) 見込日等 1 Glanz 日本 京王電鉄 動物園線 全線 患部で止まってすぐ溶ける~狂気の優曇華院 狂気の瞳 ~ Invisible Full Moon ○ × 2 Rokkan 日本 遠州鉄道 鉄道線 新浜松~西鹿島 Hinadelic 厄神様の通り道 ○ × 3 trafy 日本 JR東海 東海道新幹線 全線 Border of Strike! 幽雅に咲かせ、墨染の桜 ~ Border of Life ○ × 4 青葉急行 日本 JR西日本 山陰本線 鳥取~倉吉 エレクトリックヘリテージ ○ × 5 arenilf, ゆっけりん 日本 小田急電鉄 全線 全線 魔理沙は大変なものを盗んでいきました 人形裁判 ~ 人の形弄びし少女, ブクレシュティの人形師 ○ × 6 むいち 日本 相模鉄道 全線 全線 アリス・ゲーム ブクレシュティの人形師 ○ × 7 ふじつう 日本 近畿日本鉄道 奈良線 大阪難波~近鉄奈良 激流三途河 彼岸帰航 ~ Riverside View ○ × 8 水流あかぎ 日本 京成電鉄 本線 本線 信仰は儚き人間の為に(激戦アレンジ) 信仰は儚き人間の為に ○ × 9 やりぎりみかん 日本 流鉄 流山線 本線 カパネットにとり 芥川龍之介の河童 ~ Candid Friend ○ × 10 ヅケまぐろ 日本 秩父鉄道 本線 全線 厄神様の通り道 ○ × 11 あいうえお 日本 札幌市営地下鉄 南北線 全線 Eis Nürburgring おてんば恋娘 ○ × 12 Meihan 日本 JR西日本 湖西線 京都~近江今津 神々が恋した幻想郷-Blest Pop Mix- 神々が恋した幻想郷 ○ ○ 13 しんかな 日本 叡山電鉄 叡山本線 出町柳~八瀬比叡山口 兎が舞い降りた ○ × 14 八ミナ 日本 京王電鉄 京王線・京王新線 新宿〜京王八王子 不思議の国のEvans 不思議の国のアリス ○ × 15 そねえち 日本 JR東日本 越後線 新潟〜柏崎 Judgement Days 六十年目の東方裁判 ~ Fate of Sixty Years ○ × 16 みずえさ 日本 JR西日本 北陸本線 金沢~福井 華のさかづき大江山 ○ × 17 はねうま 日本 京浜急行電鉄 本線 品川~三崎口 Burning Spark! 恋色マスタースパーク ○ × 18 いずみん 日本 南海電鉄 高野線 全線 ナイト・オブ・ナイツ フラワリングナイト ○ × 19 のちめ不動 ジョージア トビリシ地下鉄 全線 全線 疾走あんさんぶる 幽霊楽団 ~ Phantom Ensemble ○ × 20 桂竜 御陵 日本 天竜浜名湖鉄道 天竜浜名湖線 掛川~宮口 【疾走アレンジ】竹取飛翔 ~ Lunatic Princess 竹取飛翔 ~ Lunatic Princess ○ × 21 ともでん 日本 JR東日本 五能線 全線 幽雅に咲かせ、墨染の桜-G.K.EURO MIX- 幽雅に咲かせ、墨染の桜 ~ Border of Life, 死霊の夜桜 ○ × 22 north18 日本 JR北海道 宗谷本線 全線 霊知の太陽信仰 ~ Shall we fuse? 霊知の太陽信仰 ~ Nuclear Fusion ○ × 23 かちえ 日本 長野電鉄 長野線 全線 ほおずきみたいに紅い魂 ほおずきみたいに紅い魂-remix ○ × 24 こっぺマシマシ Tic Exe プレインエイジア ○ × 25 六軒 日本 JR四国, 西日本 土讃,予讃,瀬戸大橋線 高知~岡山 最終鬼畜妹フランドール・S U.N.オーエンは彼女なのか? ○ × 26 凡三 日本 JR東日本 津軽線 蟹田~三厩 Eientewi set 08 A ~ 少女綺想曲 少女綺想曲 〜 Dream Battle ○ × 27 ミラフォレスタ 日本 新京成電鉄 新京成線 新鎌ヶ谷〜京成津田沼 Devil s Go Through the Night 妖魔夜行 ○ × 28 Fields 日本 JR東日本 山手線 全線 遠野妖怪前線 遠野幻想物語 ○ × 29 箱根湯田中 日本 JR九州 佐世保線・大村線・長崎本線 佐世保~長崎 運命のダークサイド ○ × 30 さざめの 日本 JR東日本 東北本線 水沢~盛岡 稲田姫様に叱られるから ○ × 31 千川上水 日本 東京メトロ 南北線 全線 Sailor of Time ○ × 32 はるな橋 日本 京王電鉄 井の頭線 全線 BEAT-NEW-WORLD 懐かしき東方の血 ~ Old World ○ ×
https://w.atwiki.jp/nicong/pages/15.html
NGワード 備考 乳 牛乳などの乳製品全般がNGに 抜 「抜く」は卑猥な意味以外で使うケースが多い サーモン クルーズで「フヒヒ・・・サーモン」が流行ってたため 射命丸 「\射命丸/」を乱発した者が増えだしたせいか、2009年2月14日ごろニコニコ生放送のNGワードに「射命丸」が指定されてしまった。 バカ 「~ばかり」等で引っかかる おな 「おなじ」等で引っかかる 左翼 右翼 音なし 2011年1月頃に増えた意味不明のNGワード。1月末の公式NGワードのバグ騒動で解除された AV 『java』『avex』『avi』『Avira』『average』『save』『AVG』『avital』『have』『wav』『wave』『ava』等が引っかかる。アニマルビデオの意味合いでもNG。かつてNGワードだったが解除され11月末に再び復活。上に同じく一月末の公式NGワードのバグ騒動で解除 死 「二死」といった野球のアウト数の略、野球の「死球」「盗塁死」、「死海」「死語」「必死」などもNG。楽曲の「ビッグブリッヂの死闘」もNG。解除された今でも「死ね」等相手に向けた言葉にするとNG。9月頃に「殺」とともに一時解除されたが10月末に再び復活。現在上と同じく公式NGワードバグ騒動で解除 殺 「必殺」「相殺」「殺虫剤」等悪意が無い言葉も引っかかり不便だったが、「死」とともに9月頃解除。今でも殺すなど相手に向けた言葉にするとNG 誰 2011年4月20日~21日頃の短い期間NGワードになっていた。公式放送では常にNGであることが多い。「誰?」と言わせないため。普通の会話に出てくる「誰でもOK」「誰が言ったの?」等もNG ↓いらん~craまで 2011年10月14日NGになり27日解除されたもの いらん イラン、タイラント、アイランド、お願いランキング、富士急ハイランド、赤いランプの終列車、○○にしたいランキング、○○い(赤い、大きい、古い等)+ランから始まる言葉(ランタイム、ランダム、ランス等)等がNG。 BBA ババア、ばばぁがOKなので何がしたいかわからない。 盗 「怪盗」「盗塁」「魔理沙は大変なものを盗んでいきました」等がNG 炎上 批判 事故 放送事故等がNG。 機嫌 催眠 愚痴 うつろ ぎれ 「ギレンの野望」「それはまぎれもなくヤツさ」「ちぎれる」「はぎれ」「逆ギレ」「半ギレ」「マジギレ」「林檎もぎれビーム」「音がとぎれとぎれ」等がNG オナホ shi rap cra かす 「カスタード」「カスタム」「カスタネット」「カスミ」「バッカス」「赤坂サカス」などもNGに。また、「なんかすいません」などの文章でも引っ掛かりやすいため要注意。短縮表記「ks」、漢字の「粕」「糟」「滓」はNGではない。最低最悪の害しかないNGだったが2012年10月末頃に解除された。 からきますた 「ニコ生クルーズからきますた」というコメントが多いためと思われる。2012年10月頃削除確認 ass 「cassis」「class」「pass」「classic」「bass」がNGに。assは弱虫、意気地なし、ナイーブといった意味の英語のスラングらしい。 drug 普通の薬の意味、「drugstore」でもNG 呪 呪弾幕対策のため
https://w.atwiki.jp/propoichathre/pages/507.html
魔理沙2 1スレ目 783 @ @ @ @ @ @ 本屋 @ @ @ @ @ @ @ いつもと同じ静かな朝、そこに彼女はやってくる。 「メイド小隊A,B、ゆけー!」 ワー、キャー、ドスン、ドガン 「駄目です!抑えきれません!」 遠くでそんな声が聞こえる。にしても毎日ご苦労なこった。 「くそっ!黒い悪魔はゴキブリか!?」 いや、聞かれましてもね、人によっては違うと思いますけど。なんて思いながら俺はゆったりと仕事をやっていた。 ここは紅魔館の中の大図書館。大図書館なんていうけどその広さはどこぞの神社よりも広いかもしれない。外見は神社以下だが。 そこで俺は本の整理をしている。元々本が好きなのであまり苦にはならなかったけど。 思えば、外からやってきた右も左も解らない俺を助けてくれて、今ここに住まわせてもらっているレミリア様と咲夜さんには感謝している。 助けてくれなければ妖怪にでも食べられていただろうか・・・。 それはともかく、朝から聞こえた騒々しい音が止まった。 次に来るのは決まっている、その先を考えてため息が出た。 扉が勢いよく開かれた。こんな空け方をする人妖は紅魔館にはいない。・・・・・・例外はあると思うけど。 扉の方を見てみると、金色の長い髪に色白の肌、それと黒と白だけの服と帽子。 一見するとフランス人形の様に見えなくも無いが、黒と白の服でそのようにはあまり見えなくなっている。 「また来たの?」 この図書館の主、パチュリー様のいつもと同様の言葉、返って来る言葉はいつも同じ。 「また来たぜ」 そういいながら本棚から本を物色する。俺はため息をついて 「見るのは別にいいけど、毎回毎回散らかさないでくれ。片付けるのが大変なんだ」 毎回毎回散らかして、その上何かを持っていくんだから手におえないったらありゃしない。 そりゃあ蚊取り線香で毎回やられるリグルも切れるって。関係ないか。 「努力するぜ」 絶対しないな、こいつ。家の片付けもろくにしない人間ができるものではない。 「これと、これと・・・あとこれだな」 三冊を選んで図書館に一つしかない机に持っていく。それ以外にもあるがそこは図書館ではない。個室である。 「ほら、何してんだ?さっさと仕事しないと終わらないぜ?」 魔理沙を見ながら考え事をしていた俺に魔理沙はそっけなく言った。俺は我に返って適当に「ああ」と、答えた。 っていうか仕事が終わらないのは、あんたのせいなんだがな。 「あ、そうだ。○○、紅茶くれ」 「・・・はいはい、わかったよ」 「私のもお願い」 この本の虫型魔法使いは・・・。まぁどうせ命令だろうし、逆らったら焼かれるな。そう思いつつ紅茶を取りに行った。 「ふああ・・・、おはようございますー」 眠たそうな挨拶とともに、小悪魔がやってきた。前の時に「あんまり寝ていない」と話していたので手伝ったら、それ以来仕事のほとんどが俺に回ってきた。 「ん、おはよう。今日はA-300の本の整理だっけ?」 ここの図書館は広すぎるのでA-Zと1-500までの組み合わせで位置訳をしている。しかもまだまだ増える予定らしい。鬼か。 「・・・たぶん。それじゃあいってきま~す」 あれは絶対寝ぼけてる、足フラフラだし。水でもかけてやろうか。 「お~~~~~い!まだか~~~~!?」 おっと、そうだった。まずこっちが先だな。俺は急いで魔理沙たちがいるところへ向かった。 「遅い、遅すぎて死ぬかと思ったぜ」 「そんなことがあるのかしら?」 「あるぜ、たまにだけどな」 「あら、ぜひ聞いてみたいわね」 発言に突っ込みを入れたりトゲを入れたりしながらパチュリー様と魔理沙は紅茶を飲んでいる。 さて、俺はそこら辺で休むとするか・・・。極稀に来る暇な時間はすべて休憩に当てるのが俺流だ。意味無いけど。 「あ、そうだ。どうせならここで一緒に紅茶を飲みながら休むか?」 「いえ、お断りさせていただきます」 魔理沙の近くで紅茶を飲んだらどんな薬品を盛られるかわからん。前の時は犬耳が生えたな。あの時は咲夜さんに殺されかけたな。 なぜか俺が、だが。それはもう鬼神のようで・・・トラウマトラウマ。 「そういえば、なんで俺に紅茶を淹れさせたんだ?咲夜さんの方が、美味しいじゃないか」 ただ淹れるだけなら誰にもできるが、不味いよりは美味い方が良いだろう。 「あー?なんとなくだ」 「なんとなくで、淹れさせる人がいるかしら?」 「ここに居るぜ?」 また下手すれば弾幕ごっこスレスレの話がはじまったので意識を別のところに移す。そこで 「○○さ~ん!ちょっと来てくださ~い!」 遠くから普通の人では全く聞こえない音量の小悪魔の声が聞こえた。ここ幻想郷に来てから、凄く耳が良くなった。犬耳が原因だったりして。 とりあえず、ほんの少しの休み時間を惜しみながら暗闇の中へと進む。 「えっと、これをD-480までお願いしますね」 「ん、わかった」 と言われて渡された十冊の本。これじゃあ前が見えないです、鳥目以下。BGM ~もう本しか見えない~ つってもこれは仕事なのでやらなければいけないんだよな。 それで、運んでいってちょうどB-480に差し掛かったところで 「○○~。『メルランのめるぽと力の関係』を持ってきてくれる~?」 「そんな声じゃ、聞こえないと思うぜ」 残念ながら聞こえています。小悪魔と話しているときも聞こえていたんだけど。 あの本は確かSの・・・200だっけか?遠いなぁ・・・。 まずはこの本から持っていかないと、本気で。出ないと消し炭にされて浄化されてしまう。 「お、本当に持ってきたんだな。ってことは、聞こえていたのか」 「だからいったでしょ、たとえでは無しに地獄耳はいるって」 失礼な、俺の聞こえる範囲ではここから地獄まで聞こえるほどよくはない。 「たとえよ、たとえ」 俺の心を呼んだか読まないか、そんな事を言った。ちなみに魔理沙は俺が持ってきた本を読んでいる。 「ふむふむ、ワーハクタクも稀に暴走する・・・か」 なんか題名と全く違うんですけど。 「さて、そろそろ帰るかな。パチュリー、これ借りていくぜ」 「持っていく、の間違いじゃない?」 「じゃあ持っていくぜ」 「持ってかないで~」 どっちですか。何て思いながらも仕事に戻る。あの本は返ってくるのか解らんな、なんて考えながら。 夜だろうと昼だろうと図書館には関係無い。窓なんて無いから。パチュリー様曰く、紫外線は本の天敵らしい。 そういえば、ここ最近外に出てないな、何て思いながら咲夜さんが作ってくれたご飯を食べる。うん、不味いもう一杯って言おうとしたら ナイフが頬を掠った。あっちの方が地獄耳だわ。それはともかく最近食べる時間がなくなって租借が早くなったのは内緒だ、なんとなく。 「毎日毎日ご苦労様ね」 後ろから声をかけられたので振り向く。そこには幼いながらも威厳というかオーラらしきものが漂う、レミリア様であった。歩く音は前から聞こえていたけど。 ついでにレミリア様を見て、今が夜だという事に気付いた。 「いえ、コレが仕事ですから」 「そういえば、寝てる?あなた最近寝てないでしょ」 「でも、なれちゃいましたよ」 それでもたまに眠気が来ることがあるが、その時は根性で。 「慣れって言うのが一番怖いのよ。時にそれが命取りになるかもしれないから気を付けることね」 そのあと「それじゃ」といって出て行った。とりあえずは俺を気遣ってくれた、そう解釈していいのか? そうだな、今は仕事もないし。たまには寝ておこう。 眠気はなかったがベッドに入ったらすぐに意識が切れた。 @ @ @ @ @ @ 本蟲 @ @ @ @ @ @ 今俺は魔理沙に頼まれて一番遠いところ。つまり、Z-400まできている。まったく、読みたいって気持ちもわからんでもないが もう少し近いところにしてほしい、っていうかなんで知ってんだ。 えっと、『幽々子の胃袋は宇宙』は・・・あったあった。 「んで、パチュリー。少し頼みがあるんだ」 「何?アナタからの頼みごとなんて珍しいわね」 遠くからなのではっきりとは聞こえないが声が聞こえた。面白そうだったので少し聞いてみる事にしてみる。 「少し貸してほしいものがあるんだ」 「借りていいものと悪いものがあるわよ」 「実は、・・・だ」 ん?よく聞こえなかったな。 「あなた、それは論外よ。人に聞くもんじゃないわ」 「それでも許可が必要、だろ?」 きょ、許可!?あの本なんて有無を言わさずに持っていく魔理沙が許可だと!?幽々子が小食になるくらいおかしいよ! 「そうね、駄目かしら?」 「そうか・・・」 少し残念そうに言った。・・・ように聞こえた。 「でも、・・・・・・・だし」 いまいちよく聞こえない。元々小声だし。 「そうか!?じゃあそうさせてもらうぜ」 「犯行予告はあんまり言わないほうがいいと思うわ」 「犯行じゃないから関係ないぜ。それよりも・・・、おーい!まだなのかー!?」 あ、終わったか。これは探るのはやめた方が良いな、そう思いながらパチュリー様のところに向かう。 「遅すぎるぜ。もう少し早くならないのか?」 「そうだな、魔理沙がもう少し近いところを選んでくれれば早くなるな」 なんて言いながらも本を渡す。すると魔理沙は申し訳無くなさそうに。 「あ~、すまん。用事を思い出したから私は帰るぜ」 そう言って愛用の箒を持ってそそくさと外に出た。・・・俺の苦労は? 「丁度良いわ、○○。あなたには重要な仕事があるのよ」 「な、なんですか?」 重要な仕事って・・・魔道書の封印解いてその中の魔物を倒すとか?そういうのは小悪魔にやらせましょう。 「簡単よ。それは」 そう言って言われた仕事が、神風特攻隊よりも酷い仕事だった。 「あの本一万冊を、書いてあるところにしまって頂戴」 ぜぇ、ぜぇ。こ、コレで何往復目だろう・・・。結局一万冊といわれた量に唖然として、流石に一人では無理だという事で小悪魔と一緒に やら何やら反論して一緒に仕事をする事になったのだが、小悪魔も丑二つ時には寝てしまい、残り百冊を一人という、まだできる仕事になったわけである。 次第に数が減っていき残り十冊前後!ってところで来客が来た。 ガチャ「よう」 いや、「よう」じゃ無いって。何で魔理沙がここに居るの?良く見ると少し変だ。 「ちょっと来てほしいんだが・・・いいか?」 「来て欲しい?なんで?」 「なんでもいいだろ。YESかNOか、半分かだ」 たぶん半分は無いだろう。まぁ残り十冊だし、いいか。 「ん、まぁ別に良いよ」 「そうか!よし、それじゃあ善は急げだ!」 「うわっ!」 急に俺の腕を掴み箒に乗ってそれはもうブレイジングスターをぶっ放す勢いで紅魔館の廊下を進んでいく。 「ちょ、ま、りさ。い、くっ、てど、こ、へ?」 「決まってるだろ?外さ」 いやいや魔理沙。決まっては居ないと思うぞ? @ @ @ @ @ @ 恋色 @ @ @ @ @ @ 「はー、こうやって久しぶりに見ると星が綺麗だなー」 今俺は魔理沙につれられて紅魔館の屋上の上の箒、つまりは空中にいる。 「お前、最近外出てなかったのか?」 「見てれば解ると思うが?」 「え、あ、そそ、そうだな」 なんや今夜の魔理沙は変だ。 「それで、なんで俺をここに連れ出したんだ?」 「ん?ああ、それはだな・・・」 そこでいったん区切って、口を開けたり閉じたりしながら「あ、ええと、そのだな・・・」なんて言ったりする。早くしてくれ。 「ああ、もう面倒だ!いいか、よく聞けよ?単刀直入に言わせてもらうぜ」 なんかもったいぶった言い方に思わず息を呑む。 「私は・・・・お前の事が好きだ」 正直驚いて何がなんだかわからない。なんだって魔理沙が俺のことを好きだって?ハハハ、冗談はよしたまえそんな事がありえるわけ。 「ほ、本当だ!はじめてあった時から・・・・好きだったんだ」 「な、何で?」 頭の中がショートしている状況でようやく食いえた言葉がこれ。理由がわからなければ人に聞くべし。 「ななな何でって・・・。解らないんだよ!けど、なんか見るたびに胸がこう変な感じにだな・・・え、ええとそれと なんだ、なにかと・・・恋をしている感じ・・・なのか?」 いやいや、聞かれてもね?してないから実際わからないんだよ?なんて俺が返答困っていると。 「で?答えは?」 こっちに顔を真っ赤にしながら近づいて聞いてきた。お、落ちるって。 「こ、答えって言われても・・・」 「今言え。今言わなければ落とした上にマスタースパーク打ち込んでなかったことにしてやるぜ?」 それだけは絶対嫌だ。けどもう心の中では決まっていたのかもしれない、あとは言語化するだけど。 「そうだな、俺の答えは・・・・・・ノーだ」 「えっ・・・」 そう言って、鳩が豆鉄砲を食らったような顔をした魔理沙に、軽く口付けしてこう言った。 「なんて言うわけ無いだろう?・・・俺も、もしかしたら魔理沙のことが好きだったのかもしれない」 「・・・・・・よ」 「よ?」 「・・・よっしゃーーーー!!」 「うわっ!お、落ちるって」 無邪気に大声を出してはしゃぐ魔理沙。落ちる、死ぬ。 「決まりだな!決まりなんだな!」 「男は一度言った事を曲げないさ」 「っしゃー!」 横で騒ぐ魔理沙を軽くスルーしながら辺りを見る。そこで良いものを見つけた。 「魔理沙、あれ」 「ん?おー」 目の前に写るのは眩しい日の出。 「こういうのもいいかもな」 「どういうことだよ」 「さあね」 そんな何気ない会話をしている遠くで 「若いって良いわね・・・」「急に老けないでください。それに日が出てきましたから、館に入りますよ」 そう聞こえた気がした。 happy end 「・・・・・・・・・・あ」 「どうした?」 「・・・・仕事、忘れてた・・・・」 happy end ? @ @ @ @ @ @ 蛇足 @ @ @ @ @ @ 「それじゃあ○○は私が持っていくぜ!」 「持ってかないで~」 「なんだよ、良いって言ったじゃないか」 「私は言ってないわ」 「こういうの早い者勝ちだぜ?」 「意外とそうでもないわ」 「なんだ、やるか?」 「今日は喘息の調子が良いわ・・・」 「ハハハ、まいったな。・・・・逃げるか」 ガシッ! 『逃がさない』「ぜ!」「わよ!」 「この鬼ーーーーー!!!」 「へくしょんっ!!」 ─────────────────────────────────────────────────────────── 1スレ目 882 1 「しかし、お前が私のうちに来るなんて珍しいな。明日は雪だ、洗濯は控えにゃ」 キッチンのほうから声がする。 指先で弄んでいたマジックアイテムをテーブルに置いたのと、魔理沙がを持ってきたのはほぼ同時だった。 「そういう迷信を信じるなって。……それにしたって、この部屋、いや、もはや家中だな、少しは片付けようという気にはならねぇのか?」 そこら中に魔理沙の蒐集品が散りばめられているので足の踏み場どころか人間の暮らせそうな場所もない。 こういう場所こそ、あるいは混沌と形容すべきなのか。 「こういうの、『生活感がない』っていうんだろ?」 「ベクトルが真反対だけどな……」 差し出されたマグカップを受け取ってコーヒーを啜る。 ……コーヒー吹いた。 苦い、熱い。もともとコーヒーとはそういうものではあるが、これはどっちの限度も軽く二百由旬は超えている。 何の意趣返しだこれは。どこの世界にこんな煮え立った地獄の釜のようなコーヒーを飲む奴がいるんだ。 とりあえず人間の飲むものではない。そうかこいつ魔砲使いだからか。 「……で、その珍しいお前が来たということは何か面白い話でもあるんだろう?」 どういう発想をしたらそうなるんだ。 まあ実際俺も用があったから来たわけなんだが。 「紅魔館の門番の武勇伝かドジっ子メイド・マジ狩る☆咲夜ちゃんの話。両方実話」 「ありえないな」 軽い冗句を一蹴。さすがに厳しい。つーか根本から嘘だし。 「いや何、お前の顔が見たくなってな」 「面白くもない冗談だな……で、どうしたんだ?」 これもダメ。俺はもはやあきらめに近いものを感じ、ストレートに切り出すことにした。 瞬間的に魔理沙は凍りつく。 取りそこねたコーヒーカップが落下するが、テーブルの低空をさまよっていたのが幸いした。 「……はは、すまないな、聞き逃しちまった。もう一度、言ってくれるか?」 「帰るって言ったんだよ」 今度ははっきりと。口ごもる様なへまはせず、言葉の内部には拒絶を内包して。 「どういうことだよ……。ずっと、ずっと一緒だって、言ったじゃないか!!」 後ろ半分は涙声になりながら、叩き割らんかの勢いでテーブルに両手を叩きつける。 コーヒーメーカーが揺れ、カップが落下し甲高い音を立てて砕けた。 それでも俺は動じない。動じてはいけない。感情を殺せ。 「はぁ? まさか本気にしてたのか? おいおい、これだからガキは嫌なん……」 と、言い終わらないうちに軽快な音とともに左の頬に盛大な衝撃。ぐっと足を踏ん張って衝撃に耐える。 ゆっくりと魔理沙に視線を戻すと、やはり彼女は、泣いていた。 「……さっさと外でもどこでも帰っちまえよ!! この最低のろくでなし!!」 最後はもう絶叫に近かった。 これで良い。 「ああ、言われるまでもねぇよ。じゃあな。こんな男、さっさと忘れちまえよ?」 これで思い残すことなく現実へ帰れるのなら、安い痛みなのだ。 2 翌朝。 気分を害する程の快晴である。 吸血種であるレミリアお嬢様には昨晩のうちに挨拶を済ませておいたので、後はこの部屋を引き払うだけである。 紅魔館執事としての生活も、悪くは無かった。と思う。 「……さて、と。こんなもんか」 来た時よりも美しく整頓された寝室。 俺のような流れ者には私物はほとんどないが、幾つか愛着のある品物はある。 そういったものを小さな鞄にまとめていると、ふと一つの写真立てが目に留まった。中身は烏天狗の新聞記者に頭を下げて撮ってもらったツーショット。 恥ずかしそうにはにかむ俺と、もう俺には直視できないほどの眩しい笑顔で俺の首にぶら下がる魔理沙。 フラッシュバックする、昨日の出来事。 ……もう俺には不必要なものだろう。そのまま写真立てはチェストに伏せる。 「あら、そんなもの置いてかれても困るだけよ」 後ろから声。部屋に入ってくる気配もさせないのは当然だろう、彼女は時間を止めるのだ。メイド長、十六夜咲夜がドアのすぐ側に立っていた。 「そう言われても、俺にも不要なものなんですよ」 「ふーん。……なら、どうして今まで置いてあったのかしら?」 彼女のナイフが問答無用に、一片の容赦もなく心を貫き、抉る。 この人はっ…… 「単なる気まぐれですよ。ここに残していくものは好きに処分してくれて構いません」 「ええ、解ってるわ。だからこの写真は貴方の鞄へ」 「……勝手にしてください」 「勝手にしたわ」 そう言い終るが早いか、彼女の姿は消えていた。 多くの関係者に丁寧に別れを告げ、大きな紅い門をくぐると、いつものように門番は門柱に寄りかかっていた。 「ああ、帰るって本当なんだ。……門番隊に引き抜こうと思ってたのになあ」 「勘弁してくださいよ。不老不死でもない普通の人間なんだから、いくつ身があってももちません」 この人もいい人だった。気を使う程度の能力は平坦に読まねばならないだろう。 「お嬢様は冗談だと思ってたみたいだけど、私は本気だったよ? なんだかんだであの白黒とまともに渡り合ってたのはアンタと咲夜さんくらいだったし」 私の面目なんてないよねー。と困ったように笑いながら頭をかく。 「そういえば、アンタ、あの白黒が来たときはえらく嬉しそうに迎え撃ってたよねぇ」 その無邪気にも取れる笑顔が今、この一瞬はどれほど憎く感じられるだろう。 「……渡り合えたのはスペルのお陰ですよ。それに、仕事は多少難しい方がやりがいがある」 心象の変化を気取られぬように、出来る限り感情を殺して言う。 「成る程ね。確かに私のと違って地味だけど、アンタのは実用一点張りだもんなぁ。私も少し考えた方がいいのかな?」 解っているなら改善すればいいのに。……とは言ってもあの色とりどりの弾幕を棄てるのは惜しいと思うけど。 「ん、じゃあ、これ使ってくださいよ。どうせ外に戻れば紙くずも同然になりますから。使ってもらえるのが美鈴さんなら本望だ」 といって、内ポケットから数枚のカードを取り出す。 トランプ大の大きさのソレは、俺がこの館に就職した後に作ったスペル。 最も愛着のある品物ではあるのだが、幻想が力を失う外の世界に持っていくよりは、幻想は幻想のまま置いていくのがいいと思ったのだ。 「他人のスペルを使っても効果が薄まるわけでもないしね。……うん、ありがたく使わせてもらう」 「それじゃあ、俺はこれで」 大橋をゆっくり歩き出す俺に、美鈴さんはずっと大きく手を振っていた。 俺は一度だけそれを確認すると。踵を返して二度と振り返らなかった。 3 「よう、大嘘つき」 「なんだ酔っ払い」 大橋を越えて紅魔湖の岸に着くと、見えないところから伊吹萃香が話しかけてきた。 一瞬で目の前に現れる咲夜さんとは違ってこれはこれで気味が悪い。 「そもそも何で俺が嘘つきなんだよ」 「そりゃそうさ。アンタは人間として一番いけない嘘をついているんだ」 背中を縦横無尽に駆け巡る寒気。 これ以上は聞きたくない。 やめろ、耳をふさげ それを聞いたら俺は―― 「アンタは、自分の心に対して嘘をついているのさ」 心を覆う硬い殻にヒビが入る。 全てを見透かされたかのような悪寒。 姿は此処に居ないのに、これほどまでに感じる威圧感の前では、どんな虚言空言も灰塵と帰すだろう。 「仕方ないだろう……」 震える言葉を必死でつむぐ。 「『貴方が居ると幻想郷の秩序が崩れてしまう。幻想郷で生きられるのは幻想だけなのよ』なんて言われたら……」 自分が居ることによって彼女に害が及ぶのならば、潔く身を引くほうが良いと思ったのだ。 しかし 「……大丈夫。アンタはもう十分に幻想だよ。スペルを撃って、妖怪と互角以上に戦える。そんな人間が外にゴロゴロしてるかい?」 そんな不安をこの子鬼は、まさに一言で吹き飛ばしてしまった。 萃香はいつの間にか俺の前に現れて、あきれたような顔で腕を組みこちらを見ていた。 「大体さ、紫の言葉なんて話半分に聞かなきゃダメなんだよ。さあ、魔理沙のところへ行ってやりな。紫には私と霊夢から話をしておいてあげる」 走る。走る。野を越え、川をまたぎ、走り続ける。俺を浮かせる熱を動力に足は動き続ける。 ここは魔法の森。うっそうと木々が繁茂し、太陽が最も精力的に活動する昼でも、なお地表から大半の陽光を奪う。 薄暗い森の中をひた走る。目的地は解っている。後は到着が早いか遅いか。 「ねーねー」 頭上から降って湧いた呼びかけに思わず足を止め、自分の愚かさに思わず口元が苦笑にゆがむ。 どうやら俺は、とんでもないことを忘れていたらしい。 ここは魔法の森。うっそうと木々が繁茂し、太陽が最も精力的に活動する昼でも、なお地表から大半の陽光を奪う。 「貴方は食べられる人類?」 魑魅魍魎が住み、妖怪が跋扈する森に俺が一人で中へ入っていけば、それは彼らにとって食事と同意義だろう。 「さあな。食あたりしても知らんぞ」 森に入って十分弱。残りの行程と体力を考えれば、撒き方しだいで十分逃げ切れるだろう。 手持ちの中で最も相手を束縛出来るスペルを選ぶ。 カードを内ポケットから取り出し、宣言する。 この魔力にあふれる森の中なら、俺の能力も存分に発揮できる。 「樹海『ロスユアウェイ――――」 あれ? 内ポケットに入れてあるはずのスペルが、無い。 仕事中はもとより、外出するときでも必ず持っているのに……。 『ん、じゃあ、これ使ってくださいよ。どうせ外に戻れば紙くずも同然になりますから。使ってもらえるのが美鈴さんなら本望だ』 この光景は今でも鮮明に思い出すことが出来る。当然である、つい小一時間前の回想なのだ。畜生、誰のせいだ。 自己嫌悪に陥る暇も無く、横合いから滅茶苦茶な振りの右腕が襲い掛かる。 抵抗する手段すら持たない俺は、不本意ながら完全な狩られる側に回ってしまった。 後ろに飛んでかろうじて身をかわす。 刹那遅れて、その細腕にはあるまじき轟音とともに、俺がいた場所を正確に破壊するために盛大に空振る凶器。 「一食いで人食い~」 どこの戯言ですかそれ。あんなものをまともに受ければ食われるとかそういう話の前に俺が消し飛んでしまうのではないだろうか。 素手では抵抗できない。しかし、だからといってただでは死んでやることもできない。今の俺には目的がある。 4 男が森の中で宵闇の妖怪と死闘を繰り広げるころ。魔理沙はベッドの上でひざを抱えて、鬱々とふさぎ込んでいた。 普段の傍若無人、疾風怒濤の様子と違い、明日にでも世界が消滅しそうな雰囲気さえ醸し出している。 もちろん理由は昨夕の一件にある。あの男が放ったたった一言の言葉は魔理沙を失意と絶望のどん底に叩き落すには十分すぎるほどの破壊力を持っていたのだ。 男が空気に耐え切れず家を去った後からずっとこの調子である。 彼女には、何故自分がここまで苦しんでいるのか解らなかった。解らなかった、が、この吐き気がしそうなほどのストレスは確かに彼女が今まで味わったことのない極上品だったのは間違いないだろう。 「よう。まるで沈没船みたいじゃないか」 漂っていた極薄の妖気が集まってどこからとも無く伊吹萃香が姿を現す。 散らかっているのもお構い無しに部屋の真ん中に胡坐をかいて座ると、さも当然といわんばかりに一杯やりだした。 「……なんだよ、アル中の出歯亀」 心なしか、彼女の軽口にもトゲがあるような気がする。 「なに、出歯亀だからね。最新の知らせを持ってきてやったのさ。……良い知らせと悪い知らせ、どっちを先に聞きたい?」 「……どっちでもいい」 魔理沙の目に光は無く、その声に覇気は無い。 声には微かだが、しかし、はっきりと解る苛立ちが含まれていた。 「おいおい、つれないねぇ。じゃあ良いほうから聞かせてやるよ。……あの男は外に帰らないってさ」 いままでうずくまった形の銅像の様だった魔理沙が、一瞬、凝視しないとわからないほどの反応を見せた。 「そんな奴、知らないな。……もう、私には関係の無いことだ」 魔理沙の言葉は無視して萃香が続ける。 「次に悪い方だ。あいつは今全速力でここに向かってるよ。でも、途中で妖怪につかまってたね」 もう一度。今度はそれとわかるほどの、明らかな反応。 「……どういうことだよ」 「あいつは自分の気持ちに気付いたんだ。いや、むしろ始めから変わっちゃいなかったんだ。ただ、少しその気持ちが強すぎただけ。……さあ、今度はあんたの番だよ、魔理沙」 それを聞いて、不意に涙がこぼれた。 先ほどまでの悲しみを満たす涙ではなく、喜びから芽生える涙。 アイツは自分のために率先して悪役の衣をまとっていたのだ。 自分がいなくなっても大丈夫なように、あえて自分から離れるように仕向けたのだ。 「で、どうするんだい?」 呑むだけ呑んで満足したのか、床に散らかった蒐集品を無造作に手で除けると、横になりながら訊いた。 「……決まってるだろう?」 魔理沙は勢いよく立ち上がって二・三度袖で涙を拭くと、外へ駆け出してゆく。――もちろん右手には彼女の愛機(箒)を持って。 箒にまたがりあふれんばかりに魔力を注ぐ。逆立つ穂の一本一本に魔力が充填されていく。 外へ外へと向かいたがる魔力を十二分に凝縮するとともに限界まで加圧し、一気に吐き出すその推進力から生み出されるスピードはまさに、幻想郷最速。 「彗星『ブレイジングスター』!!」 そして高らかにカード宣言。 一条の光の矢となった彼女の瞳に憂いは無く、その言葉に影は無い。 問1:次の式を解け (1)人間-スペルカード =餌 5 さあ絶体絶命である。 死の間際かもしれない状況でこんな冗談を考えられるくらいだから俺も結構危機感が無いのかもしれない。 やれることは全てやった(と思う)。 この容姿端麗な妖の類は、その少女の姿からは想像もつかないような腕力で俺を組み伏せると、恍惚の表情を浮かべ――恍惚の表情を浮かべ――ること十分弱。 こいつは一体何をしているのか。 「あの……つかぬ事をお尋ねしますが……一体何をしているのでしょうか?」 解らないことがあったら人に訊く!! ただしひたすら腰は低く。これ、世界の真理也。オトナとはへりくだる事と見つけたり。 「えー? 久しぶりの人肉だから、どうやって食べようか考えてたの~」 ……どうも見事にピラミッド大の墓穴をスコップ一丁で掘った気がする。絶対コイツ人の命を転がしてたいそう楽しんでやがる。 「煮て良し、焼いて良しな俺だけどたたきは止めて。ワサビがしみる」 「でも決めた。やっぱり丸かじりに決・定!!」 彼女の目は一段と輝きが増し、押さえつけられて紅い爪が食い込んだ腕の皮膚がぷっつりと裂けたのが感覚できた。 「それじゃあ、いただきまー……」 突然、突風のような魔力の奔流が洪水となって俺を飲み込んだ。 そして食前の挨拶は言い終わることなく、俺の上に乗っかっていたものは瞬間的に消失した。目を見開いていたにも関わらず一体何が起こったのか把握できない。ただ一つ言えるのは――とんでもなく速い何かが目の前を通り抜けていったということだけ。 「よう。何寝てるんだ?」 あまりの眩しさに視力が落ちている。俺の枕元に誰がしゃがんでいるのか解らない。 姿ではわからないけど、この声と口調、どうして忘れることができるだろう。 「おい、何で泣いてるんだ!? さっきのでどこか痛めたか?」 声を聞いた途端、突然涙が溢れてきて止まらなくなった。 涙腺の緩むままに、恥も外聞も棄てて、嗚咽を漏らして、泣いた。 「……もう、会えねぇかと思った。もう一度会えないまま、死にたくなかった……」 上半身を起こし、ゆっくりと目を開けて体後と彼女の方を向く。だんだんと視力が戻ってきているらしい。涙のせいか光のせいか、まだ薄らぼんやりしている視界に彼女を捕らえ 「なあ、こんな俺だけど、ずっと一緒にいてくれるかな?」 「……私でよければいつまでも一緒にいてやるぜ?」 俺の些細な勘違いで反故になってしまった約束をもう一度、交わした。 そしてどちらからともなく目を瞑ると、そのままゆっくりと唇と唇が触れた。 了 おまけ 「……そこよ!! いけ、押し倒せ!!」 …………ありえない声に目を開け、仰天してそっちの方向を振り返る。 後方数メートルの至近距離に、ぱっくりとスキマが開いておりましたとさ。 「……なにやってんですか」 「あら? 私を起こしておいて『やっぱりなかったことに』なんて言うんだからこれ位は役得じゃない?」 黙れ年増。お陰でムードもへったくれもあったもんじゃない。 「大体……アンタだけならともかく、これじゃあ幻想郷勢ぞろいじゃないですか」 スキマ妖怪の隣には白玉楼の亡霊嬢が扇で顔を隠しながらも目はしっかり笑ってるし。 人形遣いと庭師と図書館の主と月の兎と美鈴さんは、顔を真赤にしながらも食い入るようにこっちを見つめているし。 巫女とレミリアお嬢様と咲夜さんはあきれた様子で緑茶を啜っている。貴方達は幻想郷の最後の常識なのですね。 ……でも最初に『押倒せ』って言ったのは咲夜さんだろ。 こちらからはこれ以上伺えないが、きっとほとんど集められているに違いない。 「まったく……プライバシーの欠片も無いのかよ、なあ、魔理沙」 魔理沙のほうを見返す。……と。下唇をかんで小刻みに震えている。 構えられたミニ八卦炉がオーバーフローを示すかのようにウォンウォン唸っている。 魔理沙も顔を真っ赤にして怒りのオーバーフローを示すかのようにフーフー唸っている。 「ちょっとまて!! その角度だと俺にも当た……」 「他人の恋路を邪魔する奴は……魔砲に撃たれて地獄へ堕ちろぉぉぉぉ!!!」 恋心『ダブルスパーク』 ギャー おしまい 後書きにかえて キャラがいっぱい出ているのは仕様です。 めっちゃ時間がかかった。 半分くらいはテンションに任せて一気に書きなぐったけど……疲れたorz このスレと住人に幸あれ。 ─────────────────────────────────────────────────────────── 2スレ目 23 俺のベッドの上で、普通の魔法使い――霧雨魔理沙が陣取っているのは そう珍しい事じゃない。 つーか、いつもの事だ。 「なぁなぁ、この枕もらってっていいか?」 目の前の少女は年相応の笑顔で、枕を抱きかかえていた。 初めて彼女と出会い、色々あって今は恋人同士…らしい。 らしいというのも、いまいち俺に実感が無い為だが。 「…枕なんて何に使うんだ?お前のって確かあっただろう?」 「あぁ、でもこれにはお前の匂いがするからな」 「…ほとんど居候同然のくせに、これ以上物をもらっていってどうする?」 彼女の枕もあるし、第一この家は霧雨邸の近くの納屋を俺が改装したものだ。 彼女からちゃんと許可ももらって、既に俺のものになっている。 「…貰っちゃダメか?」 上目遣いに訊ねられたら…俺も流石に断るのは難しいぞ。 …きっと分かってやってるに違いない。悪魔っ娘め。 「いいよ。…まったく、好きにすればいいって」 「あぁ、ありがとう」 あぁ…やっぱりこういう笑顔に俺って弱いんだな。 と改めて実感させられる。 恋か愛か知らないけど、まぁきっと恋だと信じよう。 「眠い」 魔理沙がそういう事を言ったのも、俺が片付けを始めてからだ。 いつも遅くまで起きて、何かしらやっている為だろう。 昼寝とか、彼女には必要なのかもしれない。 「…寝ればいいだろ。ベッドの上に居るんだから」 とりあえず、片付けは一時中断。 「あぁ、軽く寝るから…」 「待て、何故俺に擦り寄る」 いつの間にか、俺は魔理沙の近くに寄らされて、彼女が擦り寄っていた。 まるで猫だな。 と思う反面、こんな姿を誰かに見られたら…それこそ、ヤバイなぁ。 などと、下らない考えをしていた。 「よし、寝ようぜ」 「…今ここで寝るのか?」 幸いにも眠気はあるが、今から寝ると夜に寝られない恐れがある。 「日が出ている内に寝てもバチは当たらないぜ」 「…それは良いんだけどな」 悪魔的猫っ娘、魔理沙は俺から離れる気は毛頭ないらしい。 「ちょっとくらい離れないか?」 「いやだぜ」 こう言いだした魔理沙は聞く気はないだろう。 まぁ、俺もそれなりに嬉しいといえば嬉しいんだけど… 甘い匂いや、柔らかい感触に耐える拷問で、果たしてどれだけ俺の理性を持たせてくれるか という疑問が有ったり無かったりするのですが、如何なものでしょうか? おーばーひーと かくん。 俺の視界は完全に閉じた。安心して眠ったというよりは、気絶して眠ったとか ブレーカーが落ちたとかそう言う感じの方があってるかもしれない。 起きてみると、あたりは夕暮れになっていた。 うん、やばい。 片付けは済まなかったけど、それよりも晩御飯の支度をしていなかったという事が 最大の落ち度である。 今から準備して間に合うかどうか疑問だが、まぁ、何とかなると信じてみよう。 ふと、視線を感じた。 …魔理沙が起きている訳でもないし、鳥とか自然物が見るような視線ではない。 では? と己に問い掛けて、該当しそうな人物が数人いた。 …とりあえず、消去法を図り残った奴を考えて―― 「アリス=マーガトロイド!貴様、見ているなッ!」 と窓に視線と指を向けると、そこには確かに、金髪の少女が居た。 「!」 急に魔理沙が起きだし、八卦炉に光が点る。 まずい。 あれはまずい! 魔理沙は俺の家を破壊してもアリスの口を封じる気だッ! 「恋符――『マスター…』」 「ストップ魔理沙!」 何とか前に立ちはだかり、彼女を逃がすチャンスを与えた。 その隙にちゃんとアリスは逃げてくれたようだが。 「はぁ、何で邪魔したんだ?」 拗ねた子供のように、彼女は呟く。 その様子がおかしくて、思わず軽く笑ってしまう。 「む、何が――」 「…魔理沙って可愛いな」 「――っ」 素直に言ってみると、彼女は顔を紅くして、俯いてしまった。 「ほらほら、許してやれ。友達だろ?」 「…~、お前の頼みだからアレは不問にするけど、それでも 次は許さないつもりだからな」 今この場に居ない少女に向かって、魔理沙は怒る。 あとで、それとなく伝えてやろう。 「さて、晩飯にしよう。何がいい?」 「その前に」 何かあるのか、彼女は俺の前に立った。 俺と彼女の身長差はそれほど無い。 頭一つ分といったところか、それ以上か。 ともかく彼女が前に来ると首を下に向けるしかない。 ――唇と唇が触れた。 「…恋の魔砲を撃とうとしたからな。魔力補給だぜ」 撃っても無いのに、彼女はしゃあしゃあと言う。 やっぱり、彼女に惚れてしまったのには間違いないようだ。 改めてそう思う。 願わくば、この日々が続きますように―― 後書き ===チラシ寿司の裏=== チラシ寿司食いたいです。こーりん堂を読み直して再びそう思いました。 ===チラシ寿司の裏ここまで=== シリアス?なにそれ、おいしいの? と言うくらい、シリアス度があまり無いですけど。 て言うか、デバガメっていうネタも書いたことが無く。 要修行ですね。 リクエストに答えたのか?これは… まぁひとまず、申し訳ありませんが、これで許してください。 土下座してゴメンなさい orz オマケなギリギリネタ 「…それで、とりあえず魔法を開発中なんだ」 「いい予感はしないが、とりあえず聞こう、どんな魔法だ?」 あの後の話だ。 アリスをどうとっちめるか彼女のアイディアをずっと聞いていた。 「その魔法を放つと、何が起きるか分からない」 ……パルプンテ そんな言葉が俺の頭を過ぎった。 「んじゃ、実験台になってくれ」 あぁ、そんなオチだろうと思っていた。 仕方あるまい、こうなった彼女は聞きはしない。まぁ彼女の魔法に興味があるって 言うのも有ったけど。 「…ー…~」 魔力の収束を感じる。 それほど、高い魔力ではないが、人を傷つけるよりも、むしろ 人を治す方が、光としては近いのかもしれない。 「ハァっ!」 魔法陣が開かれて、俺達の身体を飲み込んでいく。 あまりの眩しさに、目を閉じた。 ようやく、目のチカチカが取れると、彼女は下着姿だった。 …よく見ると、俺もだったが。 某魔界村の騎士のように、見事下着一丁だ。 「…魔理沙」 「………」 彼女は帽子を深く被り顔を見られないようにしている。 「魔理沙、服先に着とけ」 俺は彼女に一応親切として言ってやった。 八卦炉をぶつけられたが。 オチリ ───────────────────────────────────────────────────────────